仮想TCRレーシングカー!? 横浜ゴムブースの謎のカローラスポーツの狙いは
1月11日、千葉県の幕張メッセで開幕した東京オートサロン2019。実際にレースに戦うマシンはもちろん、数多くのチューニングカーが展示されているイベントだが、今回横浜ゴムのブースには、ある一台の“意欲的”な車両が置かれている。その名も『トヨタ・カローラスポーツ-TCR 改 ver.ADVAN』。これはいったいどんなクルマなのだろうか。
ブラックとレッドのアドバンカラーに彩られたこのカローラスポーツは、フロントには大柄なチンスポイラーを備えるほか、前後フェンダーが大きく張り出し、リヤウイングを備える迫力の威容を誇る。ホイールはアドバンレーシングGTを履いている。
実はこの車両、その名のとおりTCRマシンをイメージしたものだ。「横浜ゴムがワンメイクタイヤを供給するWTCR世界ツーリングカーカップに、もしカローラスポーツが参戦したら……」というコンセプトで、横浜ゴムが“仮想TCR車両”として製作した。
車両のデザインを手がけたのは、オートスポーツ誌等で、将来登場しそうなマシンのイラストをしばしば手がけている加藤浩哉さん。エアロパーツはオートガレージHKYが作り上げ、スコーチコーポレーション、アンダー鈴木がリヤウイングの据え付けと車両製作を行った。そして全体を監修したのが、スーパーGTではLEXUS TEAM WedsSport BANDOHとして参戦している坂東商会だ。
この車両の“仕掛け人”とも言えるのが、坂東商会の坂東正敬代表。「TCRをこんな風にやりませんか? とトヨタにもプレゼンしようかと思っています」と坂東代表は語る。たしかにこのカローラスポーツは、車格としてもスタイリッシュなボディとしても、TCR車両のベースマシンとしてはかなりマッチしている。特に『カローラスポーツ』という車名を名乗るならば、モータースポーツシーンにぜひ活用して欲しい一台と言える。
近年はトヨタ車の人気が高い東南アジアでも盛んにTCRを使ったレースが開催されているが、残念ながら日本車はホンダ・シビック・タイプR TCRしかない。もしカローラスポーツTCRが開発されるならば、カスタマーレーシングカーとしてその販売のポテンシャルは高いはずだ。
現在のところ、『トヨタ・カローラスポーツ-TCR 改 ver.ADVAN』の中身は市販車のままで、トヨタにTCRの開発意図があるという噂は聞いていないが、イギリスで開催されているBTCCイギリスツーリングカー選手権には、2019年からカローラスポーツをベースとしたマシンが出場する。この一台は存在だけでも、TCRへ向けたいいプレゼンテーションになりそうだ。
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