苦しむ新型ポルシェ911 GT3 R勢「あまりにも差が大きい」とBoP調整に期待。三味線疑惑は否定/IMSA
ポルシェ・モータースポーツのボスであるトーマス・ローデンバッハは、GTDプロとGTDの両クラスでトップから「大きく離された」新型ポルシェ911 GT3 Rに対して、IMSAが土壇場でのBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)調整を行うことに期待している。
フェラーリやランボルギーニとともに今週末のデイトナ24時間レースで新しいGT3ホモロゲーションをデビューさせるドイツのメーカーは、先週末のロア・ビフォア・ザ・ロレックス(デイトナ公式テスト)のスタート時からGT3カテゴリーで苦戦を強いられている。
IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の開幕戦にエントリーしている計7台のタイプ992ポルシェのレースカーは、予選前の合同テストセッションの結果ですべてのタイムチャートの後方を占め、GTDプロとGTDを合わせたランキングではライト・モータースポーツのヤン・ヘイレンが21番手タイムを記録。これがポルシェ勢の最上位となっている。
IMSAはポルシェにBoPの変更を行わず、ロアからレースウイークの間にも2023年の新車にも変更を加えなかったため、この傾向は木曜日のロレックス24のプラクティス・セッションまで続き、ポルシェはランニングオーダーの最下位に近かった。
ローデンバッハはSportscar365に対し、「結果を見れば、我々は(トップのクルマから)遠く離れているのは明らかだ」と述べた。
「『新車だから慎重に、トップダウンではなくフィールドに持ち込む』というIMSAが行っているアプローチを受け入れ、尊重する。これについて私側からは何の不満もない」
「新しいクルマをシリーズに持ち込むなら、これ(BoP)に対するコンサバティブなアプローチであることは誰もが知っていることで、それは理解している」
「ただ、純粋なラップタイムの差を見るとこの差はあまりにも大きすぎる。我々は離れすぎている」
IMSAテクニカルディレクターのマット・クルドックは具体的なBoPの決定に関するコメントを避けたが、ポルシェ、フェラーリ296 GT3、ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2は現在新車として“プロベーション期間”にあり、競技規則の付録2に従って特定のルールを適用していることを明かした。
「このデイトナで導入された3つの新しいGT3プラットフォームがある。2022年のデータがないため、それらは確かに異なる(BoP)プロセスに従っている」とクルドックはSportscar365に語った。
「我々は確かにレースをキックオフし、ウェザーテック選手権クラスのすべてのクルマの真のパフォーマンスがどのようなものであるかを見ることを楽しみにしている」
■ポルシェ勢による三味線を否定したローデンバッハ
クルドックは水曜日、レース前のBoP調整はこれ以上行わないことを示唆した。
しかしローデンバッハは、IMSAの技術委員会と密接に連絡を取り合っており、前向きな結果を期待していると語った。
「我々はまだ彼らと議論しているところだ」と同氏。「彼らは話をする用意がある。ドアが閉まっているわけではない。それがIMSAのいいところだ」
「だから、まだドアは開いていると考えているし、今日も交渉ができると考えている。その後に結果を見ることになる。私はまだそれ(BoPの調整)を望んでいるんだ」
「非常に厳しいのは、我々の(カスタマー)チームだ。これは見たくないことだ。彼らは明らかに大金を費やしているし、そのために多大な努力を払っている」
「誰もライバルとの2秒差があるなかでレースをスタートしたくはないだろう。
「IMSAが行っているプロセスには感謝している。私たちはまだ彼らと密接に連絡を取っている。私は彼らを非難しているのではない」
「少なくとも、ポルシェが戦える位置、集団のどこかにいられる位置にまで引き上げてくれることを望んでいるんだ」
「優位性を持ちたいのではない。これはボトムアップによるものだと理解しているが、いまの状況はかなり(理想から)かけ離れている」
同氏は、ポルシェがなぜ今のような性能になったのか、という質問に対し「IMSAが予選のデータを考慮していない」と述べた。
これはクルドックが水曜日にSportscar365に語ったことと矛盾している。
「私たちが受けた説明は、彼らがシミュレーションで紙の上の数字を取ることによって理論的なアプローチを取り、それが結果になったというもので、私にとってはそれでいいのだが、明らかに充分な精度ではない」と、ローデンバッハは語った。
「私にとっては現実が重要であり、現実は明確な数字を示している」
「もし、我々が三味線を弾いていたという噂に言及しているのであれば、私が言える唯一のことは絶対に違うということだ。我々はいかなるパフォーマンスも隠していない」
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