ソン・フンミンも「守ってほしい」と危惧する逆風 同じ2位通過でも日本とは全く異なる韓国の事情【アジア杯】
ともに2位でグループを突破した日本と韓国。しかし、両代表を取り巻く状況はあまりに違う。(C)Getty Images
現在カタールで開催中のアジアカップは、グループステージの全日程が終了。決勝トーナメントに勝ち進んだ16チームが出揃った。
顔ぶれを見る限り、大方の下馬評通りと言える。カタール、オーストラリア、サウジアラビア、イラン、韓国、そして日本という22年のワールドカップ出場チームを筆頭に、いわゆる強国が順当に勝ち上がっている。
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史上最多5度目のアジア制覇を目指している森保ジャパンも2位通過となったが、最後は地力の違いを見せつけ、ベスト16入りを決めた。
大会初戦のベトナム戦を4-2で勝利したチームは、格下のイラク戦でまさかの敗戦(1-2)。ここでグループの大勢が崩れるかと思われたが、インドネシアとの最終戦は3-1と快勝。危なげなく決勝トーナメントに進んだ。
無論、3試合連続失点とやや安定感に欠けるパフォーマンスに批判の声がないわけではない。それでも「目の前の一戦に全力で、戦い抜くということを準備していきたい」と力説する森保一監督を中心に、結束力を高めてきたサムライブルーに対する世間の風当たりはさほど強いように思えない。
そんな日本と真逆とも言える苦境にあるのが韓国だ。
64年ぶりの大会制覇を宣言して臨んでいる“アジアの虎”は、バーレーンとの大会初戦に3-1で勝利。幸先のいいスタートを切ったが、残る2戦は苦戦。ヨルダン(2-2)とマレーシア(3-3)といずれも勝ち点を分け合い、最終的に2位でのグループ通過となった。
結果だけを見れば、日本と同じように決勝トーナメント進出は決めている。しかし、韓国国内では、ソン・フンミンを中心とする豊富なタレント力を活かしきれないサッカーに“逆風”が起きている。
とりわけ明確なスタイルが見えないユルゲン・クリンスマン監督に対する風当たりは強い。日刊紙『朝鮮日報』は後半アディショナルタイムに両国が点を取り合ったマレーシア戦後に「『非常にエキサイティングな試合だった』? 監督、他の国の試合を見ましたか?」と、刺激的な見出しの記事を発信。そのなかで「韓国のサッカー関係者やファンは騒然としている。世界最高峰のリーグを席巻する欧州組が総出動させた弱小マレーシアとの試合で3ゴールを許した指揮官の発言は、あまりに無責任だ」と糾弾している。
さぁいよいよ決勝トーナメントだという最中での批判は重い。国内からの当たりの強さには、大黒柱ソン・フンミンがマレーシア戦後に「選手たちを動揺させないでほしい。選手を守ってほしいという言葉をぜひ伝えたい。多くのファンもソーシャルメディア上で度を越えた発言をしている。残念だ。家族がいて、仲間、友達がいるのに、そんなことを言われると心が痛む」と共闘を訴えるほど。日本とはあまりに状況が違うと言える。
東アジア勢として勝ち残った日本と韓国。同じ2位通過でも異なる状況にある両代表が、どのようなパフォーマンスを見せるのか。その一挙手一投足は興味深いものとなりそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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