【センバツ】落選理由「総合力」って何?横浜、高田商、鳴門…繰り返される悲劇
3月18日に甲子園で行われるセンバツ高校野球の選考委員会が1月27日に行われ、昨秋関東大会8強で有力候補とみられていた名門、横浜(神奈川)は落選した。ほかにも激戦が予想された「近畿」で高田商(奈良)、「中国・四国」で鳴門(徳島)が落選した。
昨年、聖隷クリストファー(静岡)が東海準優勝で落選し、選考説明も不十分だったことで、世間の大きな批判を浴びた。反省を踏まえ、選考ガイドラインが作成され、高校野球連盟(高野連)は理由説明にも時間をかけた今回。「どれだけ納得感があるか」がポイントだったが、説得力に欠ける説明もあり、明確な選考基準を設けない弊害が今年も出る形になった。
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【関東・東京(7)】
山梨学院(山梨)2年連続6度目
専大松戸(千葉)2年ぶり2度目
健大高崎(群馬)2年ぶり6度目
慶応(神奈川)5年ぶり10度目
作新学院(栃木)6年ぶり11度目
東海大菅生(東京)2年ぶり5度目
二松学舎大付(東京)2年連続7度目
昨秋の関東ベスト8敗退校のうち、準優勝の専大松戸に惜敗した作新学院が関東5枠目に選ばれた。注目は関東・東京のラスト1枠だった。
高野連は「横浜と二松学舎大付を検討しました。投手力では経験のあるエース杉山(遥希)のいる横浜を推す声があった。ただ2試合で4点と打線が振るわなかった。打力は、1年生の片井(海斗)を中心とした二松学舎大付を高く評価する声があり、総合力で二松学舎大付を選んだ」などと説明した。
「総合力」という便利であいまいな言葉には、説得力がない。参考材料となる負け試合の比較では、「8失点で6点差負け」の二松学舎大付より、「5失点で3点差負け」の横浜がやや上とみる声が多かった。さらに横浜は激戦の神奈川大会で優勝している。
落選を伝え聞いた横浜のエース杉山は「センバツがあると信じてやってきたので気持ちの整理がつかない」とショック状態で、ナインも涙した。落選理由の決め手が「総合力」では納得できるはずもなく、やり場のない悲しみにくれた。
〜参考データ〜
▼関東大会準々決勝
健大高崎5−2●横浜
▼東京大会決勝
東海大菅生8−2●二松学舎大付
【近畿(7)】
大阪桐蔭(大阪)3年連続14度目
報徳学園(兵庫)6年ぶり22度目
智弁和歌山(和歌山)4年ぶり15度目
龍谷大平安(京都)4年ぶり42度目
履正社(大阪)4年ぶり10度目
彦根総合(滋賀)初出場
社(兵庫)19年ぶり2度目
昨秋の近畿ベスト8勢のうち高田商(奈良)だけが選ばれなかった。準々決勝敗退校では内容と戦績で他校を上回る履正社、彦根総合が選出された。残り1枠を、社(やしろ)と高田商の公立校同士で争った。
準々決勝で智弁和歌山にコールド負けした社だが、高野連は「近畿初戦で、社が奈良1位の天理に打ち勝った(13−7)」ことを評価した。高田商も初戦で京都1位の乙訓(おとくに)に1−0でサヨナラ勝ちしている。ともに県優勝校を倒したにもかかわらず、「奈良のレベルが低い」と判断された。
高田商は「地域性」で有利とみられていた。昨年策定された選考ガイドラインには「評価が並んだ場合、地域性を考慮する」とある。8強以上では唯一の奈良県勢で、社は兵庫県勢では報徳学園に次ぐ2番手。ところが高野連の説明は「地域性以前の比較で、社に決まった」と戦力差を理由とした。「地域性」というキーワードを選考基準として出しながら、あいまいな線引きに高田商が泣かされた。
〜参考データ〜
▼近畿大会準々決勝
大阪桐蔭9−4●彦根総合
報徳学園9−6●履正社
龍谷大平安5−0●高田商
智弁和歌山7−0●社
【中国・四国(6)】
広陵(広島)2年連続26度目
光(山口)初出場
鳥取城北(鳥取)2年ぶり4度目
英明(香川)5年ぶり3度目
高松商(香川)4年ぶり28度目
高知(高知)2年連続20度目
中国・四国とも決勝進出2校ずつは順当に選出。記念大会で1枠増えた四国の3校目は、優勝した英明を9回一打同点まで追いつめた高知が選ばれた。中国・四国のラスト1枠を、ともに地区大会4強に入った鳥取城北、鳴門が争った。
優勝した広陵に準決勝で接戦を演じた鳥取城北の評価が高く、最終枠に滑り込んだ。戦績も内容も悪くなかった鳴門が落選したのは、それこそ「地域性」もあった。21世紀枠で、同じ徳島県勢の城東が選出されたことが影響した可能性が高い。中国3枠、四国3枠のほうが収まりがよく、角も立たない。同じ21世紀枠でも、石橋(栃木)が選ばれ、当落線上にあった作新学院も選ばれた栃木県勢とは明暗が分かれた。
〜参考データ〜
▼四国大会準決勝
英明4−2●高知
高松商4−1●鳴門
▼中国大会準決勝
広陵8−6●鳥取城北
光2−1●高川学園
そもそも「関東・東京」「中国・四国」のように、異なる2つの大会を比較対象とすること自体に無理がある。基準はあってもないようなもので、選考委員の主観頼みで、とってつけたような理由になってしまう要因だ。選考の根拠をはっきりと示さない限り、納得できない高校球児が毎年涙を流すことになる。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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