4回のチャンピオンを誇る谷口信輝が2023年のTGR GR86/BRZ Cupに参戦せず
1月30日、KTMS KOBE TOYOPET MOTORSPORTSは、神戸トヨペットのホームページ上に、『TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 現チーム体制の解散についてご報告』と題したページを掲載した。2013年にTGR 86/BRZ Raceがスタートしたときから谷口信輝を擁し、10年に渡って参戦してきた現体制を解散し、育成に切り替えていくとした。
プロフェッショナルシリーズでは、国内屈指のドライバーが争い、毎戦激しいレースが展開されているTGR GR86/BRZ Cup。その前身であるTGR 86/BRZ Raceは2013年にスタートしたが、その2年目となる2014年、そして2015年と連覇を飾ったほか、2018〜2019年と4回のチャンピオン、二度の連覇を飾ったのがKTMSと谷口だ。
経験豊富な谷口と牧田克哉監督率いる活動を通じ、チャンピオンが獲れた年、そうでない年も「それまでレース経験が無かった弊社とゼロからチームを立ち上げ、弊社のお客様のみならず、多くの方へモータースポーツの魅力をお伝えしていただきました。その活動を通して安全に楽しく走る方法、交通安全の思いを伝えて頂くなどKTMSの原形となる黎明期を支えていただきました」と神戸トヨペットのメカニックにレースの基礎やノウハウを伝えることに貢献したとしている。
「これまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。谷口選手の優勝にかける情熱、そして正確なマシンコントロール、牧田監督の技術と考えうるありとあらゆる的確なセッティングのノウハウを持ってしても、プロが戦うワンメイクレースの厳しい条件では勝利に手が届かないレースもありました」と感謝を伝えるのは、KTMSの西村公秀代表。
「その中でもチーム全員で情熱を持って試行錯誤し続けることで、4度のシリーズチャンピオンを獲得することに繋がったと感じています。モータースポーツファンの皆様へ本当に多くの感動とドラマを届けて頂いたお二人に心より深い感謝を申し上げます」
今後に向けてKTMSでは、「本年より参戦する全カテゴリにおける体制と活動をすべて『育成』にシフトし再出発を致します」とした。KTMSはスーパー耐久シリーズにも参戦しているが、この活動は2022年にST-2クラスチャンピオンとなったものの、主眼は若手育成だった。
TGR GR86/BRZ Cupでも育成を行うことで、「より若手ドライバーがツーリングカーで経験を積める場を増やし、そしてその経験を生かしてより高いステージへ進める新たな場を提供し続けていきたいと考えております」という。
「お客様が大切な愛車を、より楽しく安心安全にお乗り頂き笑顔になっていただけるよう、サポート向上にもつなげて参ります。すでに高い技術と能力を兼ね備えたエンジニアが、より高みへと挑戦できる場をより多くつくり、極限の環境下で心と体を鍛えたエンジニアを育成し、その中で培われた知見と技術を、神戸トヨペットグループを通し、お客様、そしてモータースポーツファンの皆様へ還元して参ります」と西村代表。
「多くの人々にもっとモータースポーツの楽しさを体験して頂けるよう、GR Garage宝塚を中心に神戸トヨペットグループ全体で向き合い、これからも挑戦し続けて参ります」
谷口は自身のブログ内で、「本日、神戸トヨペットから発表がありましたが、2023年のGR86/BRZ Cupに僕は参戦致しません。神戸トヨペットは『育成』をテーマにレース活動を行うということで、僕の使命は終わりました。86レースを10年。チャンピオンを4度。スポンサーを11年。長きに渡り、大変お世話になりました。(中略)本日をもって僕はKTMSチームを卒業しますが……これからのKTMSチームの活躍に期待してください」と綴っている。
最多チャンピオンの谷口がKTMSを離れシリーズに参戦しないという報は、TGR GR86/BRZ Cupにとっても大きな出来事なのは間違いないだろう。
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