「強くなって戻る」Yogibo Racing休会にともない芳賀美里監督が独自チームでの復帰目指す
2023年、岩澤優吾と伊東黎明のコンビでスーパーGT GT300クラスに参戦し、多くのファンの注目を集めたYogibo Racing。しかし2024年に向けて他のGT300チームも続々と体制を発表しているなか、2月8日、Yogibo Racingがチームの公式サイト、Xで一年間スーパーGT参戦を休会する発表を行った。気になる今後について、チームを3年間率いてきた芳賀美里監督に聞いた。
“快適で動けなくなる魔法のソファ”でお馴染みのYogiboは、さまざまなスポーツにスポンサードを行ってきており、モータースポーツでも2021年にDrago CORSEとのジョイントパートナーシップでスーパーGT GT300クラスに参戦を開始。2022年からは、Yogibo RacingとしてGTワールドチャレンジ・アジアに臨んだが、2023年からはスーパーGTのエントリーの権利を獲得し、ふたたびGT300クラスに新規チームとして参戦した。
そんなYogibo Racingをまとめ牽引してきたのが、女性監督として注目を集めた芳賀美里監督。2023年の参戦時も、岩澤/伊東という若いふたりのドライバーを擁し、荒れた開幕戦岡山で4位入賞を果たすなど、印象的な活躍をみせてきた。
ただ、2024年のスーパーGTに向けて、芳賀監督は当然ながら次の活動継続に向けたプランを進めていたものの、「事業戦略の変更」という事情によりYogiboがスーパーGTに参戦することができなくなってしまったという。
「もちろん世界情勢が刻一刻と変わっていくなかで、チームオーナーの情勢判断からチームが存続できなくなってしまうのは、モータースポーツの世界ではしばしばあることです。もちろん、これまでYogiboと一緒に3年間モータースポーツ活動を続け、監督として携わらせていただいてきたことには感謝しかありません」と芳賀監督は熱く語った。
「さらにYogiboはスポンサーとしてスーパーGTに関わるのではなく、『自社チームとしてエントリー権を取得しスーパーGTに参戦したい』という強い気持ちが発足当時からありました。それを叶えるべく、さまざまな方々に協力していただき、3年目にしてやっとオーナーが求める理想のかたちとなり、エントリー権を獲得することができました」
「Yogibo Racingとしては、まさに元年とも言える新たな出発の年でしたが、2024年にこのようなかたちになり、レースを皆さんにご覧いただけないのは非常に残念です。さらに、監督という立場で現場を見てきて、そこで働いてきたメカニックやスタッフ、ドライバー、関係者の皆さま、ファンの皆さまにも大変申し訳ない気持ちです」
チームを支えてきたYogiboがスポンサー継続ができなくなってしまった状態で、簡単に参戦継続という判断を下すことはできない。しかし、これは他のチームも同様だが、芳賀監督はエントリーの権利を獲得する審査の際、「YogiboとスーパーGTの間には、最低5年参戦を継続するという約束がありました」という。
「理由があり仕方がないことなのですが、1年でこれを放棄してしまっては、苦労して獲得したエントラントの権利を手放すことになってしまいます。それは絶対に避けたいことでした」と芳賀監督は参戦継続に向けて強い意志を示した。
「2021年にYogibo Drago CORSEとしてスーパーGTに参戦して、2022年はGTワールドチャレンジ・アジア、そして2023年にまたスーパーGTに戻り、私がずっと監督として携わってきましたが、3年間かけて私もさまざまなことを学びましたし、体制も少しずつ構築されてきました」と芳賀監督は言う。
芳賀監督はYogibo、メンテナンスを務めてきたセルブスジャパン、そしてGTエントラント協会と協議を重ね、その結果2024年については、一度参戦表明をGTエントラント協会に提出した後、Yogibo RacingはGTエントラント協会に休会届けを提出した。これが受理されたことから2024年は休会が決まったが、Yogiboは2024年度の間、芳賀監督中心のチーム体制へ移行できるように、可能な限りの支援を続けるという。
芳賀監督はもともとマーケティング界では実力者であり、独自の人脈から海外への太いパイプもある。過去にはF1を目指したこともあるのはご存知のとおりで、すでにいくつかの新スポンサーの候補があるという。ただ、2024年の参戦は事実上厳しいことから休会し1年間で準備を進め、「力をつけて2025年のスーパーGT復帰を目指したいと思います」と芳賀監督は言う。
「これまで3年間、私は強い熱意でモータースポーツ、そしてスーパーGTに取り組んできました。築き上げたものを簡単には失いたくないと思っています。女性でもこうしてスーパーGTで監督として戦うことができることを、これからも示したいと思っています」
「2024年、皆さんにその姿をお見せすることはできませんが、またひとまわり強くなって戻ってきます」
サーキットでもお馴染みとなっていたブルーのカラーリングが2024年に観られないことは残念でならないが、2025年新たな姿で芳賀監督がサーキットに戻ってくることを期待したいところだ。
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