役所広司、アンゼルム・キーファー&ヴィム・ヴェンダースにコメント「人間が忘れてはならない記憶を掘り起こす」

2024年5月21日(火)10時2分 オリコン

役所広司

写真を拡大

 「第96回アカデミー賞」国際長編映画賞に“日本代表”としてノミネートされた『PERFECT DAYS』(2023年)の監督、ヴィム・ヴェンダースが手がけたドキュメンタリー映画『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』(6月21日より全国順次公開)について、『PERFECT DAYS』で主演を務めた俳優の役所広司がコメントを寄せた。

 「かつて映画監督を夢見た画家、アンゼルム・キーファーの強烈な作品の世界を、かつて画家を夢見た映画監督ヴィム・ヴェンダースが映画で表現する。二人の芸術家によって、人間が忘れてはならない記憶を掘り起こす。」(役所広司)

 昨年5月の「第76回カンヌ国際映画祭」で、『PERFECT DAYS』と同時にプレミア上映された本作は、戦後ドイツを代表する芸術家であり、ドイツの暗黒の歴史を主題とした作品群で知られるアンゼルム・キーファーの生涯と、その現在を追ったドキュメンタリー。

 アンゼルム・キーファーは、ナチスや戦争、神話などのテーマを、絵画、彫刻、建築など多彩な表現で壮大な世界を創造する、戦後ドイツを代表する芸術家。1999年、高松宮殿下記念世界文化賞・絵画部門を受賞。ヴェンダース監督と同じ、1945年生まれであり、初期の作品の中には、戦後ナチスの暗い歴史に目を背けようとする世論に反し、ナチス式の敬礼を揶揄する作品を作るなど“タブー”に挑戦する作家として美術界の反発を生みながらも注目を浴びる存在となった。

 1971年からは、フランスに拠点を移し、わらや生地を用いて、歴史、哲学、詩、聖書の世界を創作している。彼の作品に一貫しているのは戦後ドイツ、そして死に向き合ってきたことであり、“傷ついたもの”への鎮魂を捧げ続けている。

 本作の制作には2年の歳月を費やし、3D&6Kで撮影。従来の3D映画のような飛び出すような仕掛けではなく、絵画や建築を、立体的で目の前に存在するかのような奥行きのある映像を再現し、ドキュメンタリー作品において新しい可能性を追求した。「先入観を捨てて、この衝撃的なビジュアルをただ楽しんでもらいたい」とヴェンダース監督は語っている。

 出演は、アンゼルム・キーファー本人のほか、キーファーの青年期を息子のダニエル・キーファーが演じ、幼少期をヴェンダース監督の孫甥、アントン・ヴェンダースが務めている。

 あわせて解禁となった新たな場面写真は、アンゼルム・キーファーのさまざまな作品を収めたもの。焼け焦げたひまわりの下で寝そべる自身を描いた絵画、白いドレスを着た顔のない女性像の立体作品、アンゼルムの背丈をはるかに超え、画面には収まり切れないほどの大きな絵画作品、戦闘機や潜水艦を髣髴とさせる大きなインスタレーションなど、多岐にわたる表現方法で作品を生み出している。

 来年(2025年)3月下旬から6月下旬まで、世界遺産・二条城でアンゼルム・キーファーの大規模個展が開催されることも決定。また、東京・青山にあるファーガス・マカフリー東京で、アンゼルム・キーファーの個展「Opus Magnum」が現在開催中。展示は6月29日まで。

オリコン

「役所広司」をもっと詳しく

「役所広司」のニュース

「役所広司」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ