2019年デビューの新型フォード・マスタング、豪州スーパーカー公式テストでトップ3独占
VASCオーストラリア・ヴァージン・スーパーカーの開幕前公式プレシーズンテストが2月14日にフィリップアイランドで開催され、2019年から新規参戦を果たすフォード・マスタング・スーパーカーがトップタイムを記録。ワン・ツー・スリーとタイムシート上位を独占する満点の公式セッションデビューを飾った。
メルボルン市内で開催されたシーズンラウンチ・パーティを経て、その翌日には公式トラックテストに向けフィリップアイランドに移動したVASC参戦チーム一行は、レギュラードライバーの24名に加えて、シリーズ後半戦に用意されるレース距離500マイル越えの耐久戦“エンデューロ・カップ”登録されるセカンドドライバーを含め、多くのドライバーが今季初テストに臨んだ。
このテストで注目を集めたのは、シリーズの歴史上初となる2ドアボディの新型マシン、マスタング・スーパーカーの公式セッションデビューで、北米フォード・パフォーマンスの支援を受ける開発チームのDJRチーム・ペンスキーが2台、かつてはワークス指定チームとして活動したティックフォード・レーシングが3台、そして彼らのサテライトとして今季からファクトリーサポートを得る23Red Racingの1台を加えた合計6台の車両が姿を見せた。
午前最初のセッションこそエレバス・モータースポーツのタイトル候補、デビッド・レイノルズのホールデン・コモドアZBにトップタイムを譲ったものの、新型モデルに起きやすい初期トラブルも見せずマスタング勢は順調にマイレージを消化。
最終的にモンスターエナジー・レーシングのキャメロン・ウォーターズが76ラップを走破し、1分30秒7265のトップタイムを記録し、同じくマスタングで87周を消化したシェルVパワー・レーシングのファビアン・クルサードを0.0118秒上回ってみせた。
また、ウォーターズのチームメイトであるスーパーチープ・オート・レーシングのチャズ・モスタートも、耐久カップでペアを組むジェームス・モファットとマシンをシェアしながら77周を周回し、1分30秒9390の3番手タイムとなり、新型マスタング・スーパーカーが初の公式テスト参加でトップ3を独占する結果となった。
以下、ルーク・ヨールデンと交代でセットアップ確認を進めたエレバスのレイノルズが4番手でホールデン最上位。23Redのウィル・デイビソンが5番手に続き、ここでもマスタングの速さが証明される結果となるも、王者スコット・マクローリンは今季新たに導入されるリニアツインスプリングダンパーのセット変更が影響し1分31秒0656の8番手タイムに留まり、マスタング勢最下位は移籍組となるBottle-O Racingのリー・ホールズワースによる10番手タイムとなっている。
「エアロマップはとても良くて、空力バランスは優れている。それは間違いないね」と、初テストの首尾を語った新王者マクローリン。
「空力は確かにマスタングの強みだけど、今季から導入される共通パーツのリニアスプリング、これが本当に曲者だ。エンジニアにどうフィードバックするか、どういうドライビングが最適かを見極めて、最後までなんとか慣れようとしたんだけどね」
「もしかしたら、僕たちは何かをあきらめなければならないかもしれない。このツインスプリングはコーナーリング中に、他パーツの機能を助ける働きをしているのかもしれないが、もしフロントにいいグリップとフィーリングを求めた場合、リヤの挙動は最低になってしまうんだ」
「ともあれ今はそのドライブを楽しんでいるし、誰もがこれを乗りこなさなければいけないんだから、そこまで心配してはいない。他の多くのドライバーからも不満が聞こえてきたけど、予選は最高に楽しいんじゃないかな。ファンはリヤを振り回してスモークを上げながらアタックするマスタングが見られるかもしれないね」
さらにホールデン勢ではウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッドのスコット・パイが6番手、ジェームス・コートニーが9番手に入り、2台ともにトップ10圏内で復活を期す好走を見せると、同じくエレバスのアントン・デ・パスカーレも7番手で2台そろってのシングルに。
しかし、チャンピオンチームであるトリプルエイト・レースエンジニアリング、レッドブル・レーシング・オーストラリアの2016年王者シェーン-ヴァン・ギズバーゲンは14番手、“セブン・タイムス・チャンピオン”のジェイミー・ウインカップは19番手止まりと、両名ともに「言い訳できない」と漏らす苦しい幕開けとなった。
その他の注目ドライバーとして、今季からプライベーター・ニッサンとしてシリーズを戦うことになったリック・ケリーが13番手でニッサン・アルティマ最上位。13年間所属したフォードを離れ、初のホールデンをドライブした2015年王者マーク・ウインターボトムはフロントのアンチロールバーに始まり、新型共通ECU、新スペックコントロールタイヤなどトラブル連発の1日となり、IRWIN Racingでの船出は最終的に67周を走破して16番手に終わっている。
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