21歳のエース候補と大ベテランへの期待を胸に…名波監督「サックスブルーは死んでいない」
サッカーキング2019年2月23日(土)12時30分
[写真]=Jリーグ
2月1日、新シーズン開幕へ向けてキャンプを行っていたジュビロ磐田の名波浩監督がDAZNのインタビューに応じた。
名波監督はチームがJ2で苦しんでいた2014年途中から磐田の指揮官に就任。すると、翌年にはチームを自動昇格に導き、J1挑戦2年目の2017年は6位と大躍進を果たした。そして、昨年は「トップ5」を目標に掲げ新シーズンへ挑んだ。
ところが、シーズンを通じてケガ人が続出。勝ち点を稼ぐことができず、残留争いに巻き込まれた。勝てば自力で残留が決まる最終節は、川崎フロンターレに逆転負けを喫し、この年から導入されたJ1参入プレーオフ決定戦に回ることとなった。J2・6位から勝ち上がった東京ヴェルディに勝利し、何とかJ1残留を果たすも、試合後には退任の可能性をほのめかすなど、最後の最後まで苦しみ抜いた。それでも、上層部からの続投要請に応え、2019年も指揮を執ることが決定した。
「クラブがずっと『例えJ2に落ちても――』ということを言ってくれていたので。非常に周りに支えられてるいると思っていましたが、自分自身が監督として、サッカー人として『自信が持てない限りは……』と思っていた中で今シーズン、またチームを率いらせてもらうことになった。昨年の反省を十分活かさないといけないですし、あの悔しさをみんなで晴らさないといけない。また、サポーターやクラブを支えるみなさんに恩返しをする意味でも強い気持ちと志を持ってやろうと思っています。具体的に『何位』とか『勝ち点いくつ』より、気持ちを前面に出して、強者に立ち向かい、90分怯まないサッカーをやっていきたいと思います」(名波監督)
21歳のストライカーに「野心を感じている」
名波監督が「得点力が少なかったのが1番苦しんだ原因」と話すように、昨シーズンのチーム得点数はリーグワースト2位の35点。川又堅碁が11得点と奮闘したが勝ち切れず、勝ち点を逃した試合が多かった。そんな中、「日本人ストライカーの重要性は十分に分かっていますし、外国人で点を取る選手をとってくれば手っ取り早いというのも分かっています。そういった葛藤の中で彼らは日々努力をしてピッチで結果を出して、さらに上を目指している。そういう野心を感じている」と指揮官が期待を込める1人の選手がいる。21歳のFW小川航基だ。
世代別代表に名を連ね、将来を嘱望されてきた。AFC U-19選手権では、エースとして日本代表を初優勝に導いた。しかし、プロ入り後の小川を待ち受けていたのは不遇の時間だった。プロ2年目の2017年は5月に左ひざの大ケガで全治6カ月の長期離脱。「エース候補」として結果が求められた昨シーズンも7月に右肩脱臼で戦列を離れ、リーグ戦13試合・1得点という結果に終わった。来年開催される東京オリンピック出場を目指す小川にとっても、新シーズンは何としてでも結果が欲しいところだろう。
一方で、ケガの影響で満足にプレーできていない状況が続いても、チームはそのポテンシャルを高く評価している。負ければ即J2行きとなるプレーオフではスタメンに抜擢されると、前半にPKを決めて先制点をもたらした。この1点が決勝点となり、チームはJ1残留を決めた。
「2020年の東京五輪に向けて、長いようで短いので、一日一日を無駄にして欲しくないです。自分のスペシャリティーな、どんな体勢でもシュートを打てる、ゴールを決めれるという場面に自分で持っていかないといけないと思う。シュート数の増加も含めて、そういった数字が結果として残れば自信がついてスタメンでもっと長い時間出れるチャンスはあると思います」
名波監督がそう話すように、限られた時間でも積極的なプレーを見せ、“ゴール”という結果を残せば、チャンスは自ずと増えてくる。その先に磐田の復活、小川の東京五輪出場が見えてくるはずだ。
「このクラブをまた選んでくれたことを感謝している」
昨シーズン終了後、磐田OBの川口能活をはじめ、楢崎正剛、小笠原満男、中澤佑二ら多くのベテランたちが現役引退を表明した。そんな中、磐田は40歳の中村俊輔と契約を延長。23年目のシーズンを迎えようとしている。昨シーズン、中村は右足首の負傷に苦しんだ。リーグ戦出場数は高卒1年目にJリーグデビューを果たして以降、最も少ない16試合(2002年は7月にレッジーナへ移籍し、Jリーグは8試合出場)。さらに、Jリーグでは初の無得点に終わった。
それでも、“大ベテラン”の存在はプレー以外でもチームに大きな影響を与えてくれる。特に2017シーズンの躍進は中村抜きには語れない。同年から磐田に加入すると、豊富な経験とリーダーシップでチームを牽引。卓越した戦術眼で攻撃にリズムを生み、得意のフリーキックでゴールも奪った。その姿に触発されるかのようにチームは勝ち点を伸ばし、6位でシーズンを終えた。
名波監督は、「俊輔は40歳だろうが45歳であろうが、それで戦力だと思えば、ずっと契約の話は我々は出すと思うので。このクラブをまた選んでくれたことを感謝していますし、彼のその立ち振る舞い、言動が既存の選手たちにどれだけ影響与えるか。ここ2年ではっきりと答えは出ました」と、改めて揺るぎない信頼を強調した。
未来を担うエース候補、全幅の信頼を寄せる大ベテランへの期待を胸に、いよいよ新シーズンの幕が上がる。苦しみ抜いた昨シーズンからの巻き返しへ、名波監督は最後に、「昨年の悔しかった思いを十分に晴らすべきシーズンにしたいですし、『サックスブルーがまだ死んでいない』ということを日本のサッカーファンに見せたいと思います」と決意を新たにした。
2019明治安田生命J1リーグは22日に開幕。磐田は23日にホームで松本山雅と対戦する。
提供=DAZN
文=加藤聡
名波監督はチームがJ2で苦しんでいた2014年途中から磐田の指揮官に就任。すると、翌年にはチームを自動昇格に導き、J1挑戦2年目の2017年は6位と大躍進を果たした。そして、昨年は「トップ5」を目標に掲げ新シーズンへ挑んだ。
ところが、シーズンを通じてケガ人が続出。勝ち点を稼ぐことができず、残留争いに巻き込まれた。勝てば自力で残留が決まる最終節は、川崎フロンターレに逆転負けを喫し、この年から導入されたJ1参入プレーオフ決定戦に回ることとなった。J2・6位から勝ち上がった東京ヴェルディに勝利し、何とかJ1残留を果たすも、試合後には退任の可能性をほのめかすなど、最後の最後まで苦しみ抜いた。それでも、上層部からの続投要請に応え、2019年も指揮を執ることが決定した。
「クラブがずっと『例えJ2に落ちても――』ということを言ってくれていたので。非常に周りに支えられてるいると思っていましたが、自分自身が監督として、サッカー人として『自信が持てない限りは……』と思っていた中で今シーズン、またチームを率いらせてもらうことになった。昨年の反省を十分活かさないといけないですし、あの悔しさをみんなで晴らさないといけない。また、サポーターやクラブを支えるみなさんに恩返しをする意味でも強い気持ちと志を持ってやろうと思っています。具体的に『何位』とか『勝ち点いくつ』より、気持ちを前面に出して、強者に立ち向かい、90分怯まないサッカーをやっていきたいと思います」(名波監督)
21歳のストライカーに「野心を感じている」
名波監督が「得点力が少なかったのが1番苦しんだ原因」と話すように、昨シーズンのチーム得点数はリーグワースト2位の35点。川又堅碁が11得点と奮闘したが勝ち切れず、勝ち点を逃した試合が多かった。そんな中、「日本人ストライカーの重要性は十分に分かっていますし、外国人で点を取る選手をとってくれば手っ取り早いというのも分かっています。そういった葛藤の中で彼らは日々努力をしてピッチで結果を出して、さらに上を目指している。そういう野心を感じている」と指揮官が期待を込める1人の選手がいる。21歳のFW小川航基だ。
世代別代表に名を連ね、将来を嘱望されてきた。AFC U-19選手権では、エースとして日本代表を初優勝に導いた。しかし、プロ入り後の小川を待ち受けていたのは不遇の時間だった。プロ2年目の2017年は5月に左ひざの大ケガで全治6カ月の長期離脱。「エース候補」として結果が求められた昨シーズンも7月に右肩脱臼で戦列を離れ、リーグ戦13試合・1得点という結果に終わった。来年開催される東京オリンピック出場を目指す小川にとっても、新シーズンは何としてでも結果が欲しいところだろう。
一方で、ケガの影響で満足にプレーできていない状況が続いても、チームはそのポテンシャルを高く評価している。負ければ即J2行きとなるプレーオフではスタメンに抜擢されると、前半にPKを決めて先制点をもたらした。この1点が決勝点となり、チームはJ1残留を決めた。
「2020年の東京五輪に向けて、長いようで短いので、一日一日を無駄にして欲しくないです。自分のスペシャリティーな、どんな体勢でもシュートを打てる、ゴールを決めれるという場面に自分で持っていかないといけないと思う。シュート数の増加も含めて、そういった数字が結果として残れば自信がついてスタメンでもっと長い時間出れるチャンスはあると思います」
名波監督がそう話すように、限られた時間でも積極的なプレーを見せ、“ゴール”という結果を残せば、チャンスは自ずと増えてくる。その先に磐田の復活、小川の東京五輪出場が見えてくるはずだ。
「このクラブをまた選んでくれたことを感謝している」
昨シーズン終了後、磐田OBの川口能活をはじめ、楢崎正剛、小笠原満男、中澤佑二ら多くのベテランたちが現役引退を表明した。そんな中、磐田は40歳の中村俊輔と契約を延長。23年目のシーズンを迎えようとしている。昨シーズン、中村は右足首の負傷に苦しんだ。リーグ戦出場数は高卒1年目にJリーグデビューを果たして以降、最も少ない16試合(2002年は7月にレッジーナへ移籍し、Jリーグは8試合出場)。さらに、Jリーグでは初の無得点に終わった。
それでも、“大ベテラン”の存在はプレー以外でもチームに大きな影響を与えてくれる。特に2017シーズンの躍進は中村抜きには語れない。同年から磐田に加入すると、豊富な経験とリーダーシップでチームを牽引。卓越した戦術眼で攻撃にリズムを生み、得意のフリーキックでゴールも奪った。その姿に触発されるかのようにチームは勝ち点を伸ばし、6位でシーズンを終えた。
名波監督は、「俊輔は40歳だろうが45歳であろうが、それで戦力だと思えば、ずっと契約の話は我々は出すと思うので。このクラブをまた選んでくれたことを感謝していますし、彼のその立ち振る舞い、言動が既存の選手たちにどれだけ影響与えるか。ここ2年ではっきりと答えは出ました」と、改めて揺るぎない信頼を強調した。
未来を担うエース候補、全幅の信頼を寄せる大ベテランへの期待を胸に、いよいよ新シーズンの幕が上がる。苦しみ抜いた昨シーズンからの巻き返しへ、名波監督は最後に、「昨年の悔しかった思いを十分に晴らすべきシーズンにしたいですし、『サックスブルーがまだ死んでいない』ということを日本のサッカーファンに見せたいと思います」と決意を新たにした。
2019明治安田生命J1リーグは22日に開幕。磐田は23日にホームで松本山雅と対戦する。
提供=DAZN
文=加藤聡
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