トニー・カナーンが地元SCBに電撃フル参戦。トヨタ・カローラをドライブへ
元F1ドライバー、フェリペ・マッサのフル参戦決定に続き、南米大陸を代表するツーリングカー選手権SCBストックカー・ブラジルの2021年グリッドに、また新たなビッグネームの参戦がアナウンスされた。2004年のインディカー・シリーズ王者であり、2013年には世界3大レース『インディ500』を制覇したトニー・カナーンが、自身初の母国シリーズフル参戦を果たすこととなった。
マウリシオ・フェレイラ率いるFull Time Sports(フルタイム・スポーツ)は、2月21日付でカナーンの起用を発表し、ブラジルを代表する46歳の世界的ドライバーは、Texaco Racing team(テキサコ・レーシング・チーム)のエントリー名で戦う予定のトヨタ・カローラをドライブする。
これによりマッサを含め、4名の元F1ドライバーとのマッチアップが実現することとなり、2014年SCB王者のルーベンス・バリチェロを筆頭に、ネルソン・ピケJr.やリカルド・ゾンタとは同じトヨタのマシンで戦うなど、参戦2年目のTOYOTA GAZOO Racing・ブラジル陣営にとっても強力なラインアップが構築された。
カナーンの2021年デビュー戦は、3月末のリオグランデ州ノバサンタリタで開催されるヴェロパークが予定されているが、彼にとっては同カテゴリー初参戦ではなく、いずれも旧規定の車両ながら2005年にテストを経験し、2012年にはブラジリアとインテルラゴスで豪華ゲストドライバーを招待する“ダブルレース”にも出場している。
2021年はこのSCBフル参戦と並行して北米インディカーへの参戦も継続し、日程バッティングのない複数のオーバル戦でChip Ganassi Racing(チップ・ガナッシ・レーシング/CGR)のマシンをドライブする。そのホンダ製エンジン搭載のダラーラと南米のトヨタ・カローラは、ともに48号車としてレースに参戦する予定だ。
「これは僕のレーシングキャリア、そして人生においても新しい章の幕開けだ。ストックカーへの情熱は誰にとっても秘密ではなく、長年にわたって恋焦がれて来たカテゴリーだ。期待はとても大きいよ」と、ブラジル北東部の港湾都市サルバドール(バイーア)出身のカナーン。
「このカテゴリーの伝説的なスポンサーであるテキサコとともに、最高のストックカーチームのひとつに加入することができたし、この環境を活かしてたくさんのことを学びたいと思っている」
■カナーンの加入は「チームにとって悲願だった」
そのカナーンにとって、SCBシリーズでの最大の課題はいくつかの未知のサーキットと、まだ新しいマシンであるトヨタ・カローラの習熟になる。
「ストックカーのカレンダーを眺めると、4つか5つは知らないサーキットがある。そのトラックやマシンの特性を学ぶと同時に、このカテゴリーの週末がどのようなダイナミズムで回っていくのかも知る必要がある。でもそれが達成できる自信はあるし、期待値はとても高いよ」と続けたカナーン。
このSCBでつねにトップチームの座を争って来たフルタイム・スポーツのフェレイラ代表も、カナーンの加入は「チームにとって悲願だった」と強調した。
「まず初めに、テキサコのブランドを8シーズン連続でフォローできたのは、我々チームにとって大きな誇りの源だ。そしてトニーが素晴らしい適応力を持ち、最初から彼のパフォーマンスと才能がすべて発揮できるよう、我々は一生懸命働くつもりだ」と語ったフェレイラ代表。
「トニーの加入でチーム全体が非常にやる気に満ち、つねに最高のパフォーマンスと進化を求めているのが伝わってくる。2021年の開幕戦が本当に楽しみだよ」
その言葉を受け、カナーン自身もトラックでテキサコ・カラーを代表する意気込みと、その重要性を語っている。
「(SCBで3連覇を達成したダニエルの父で、元F1ドライバーの)チコ・セラがテキサコ・カラーのマシンでタイトルを獲得したことを覚えている。アメリカでは、この象徴的なマシンはNASCARのアーニー・アーヴァンを思い出させる。ファン-パブロ・モントーヤも、そのNASCARでテキサコのカラーリングでレースをしていたね。彼らはともにビッグネームであり、モータースポーツで非常に強力なブランドを持っているんだ」と続けたカナーン。
「そのマシンをドライブするからには、僕もその期待すべてに応えたいと思っているし、表彰台の最高位に立つためにどんな努力も惜しまない覚悟さ」
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