【J1展望】狙うは、前人未到のJリーグ&ACLのW制覇! 昨季とは違う2021年版の王者に期待大|川崎
サッカーキング2021年2月25日(木)20時0分
鬼木監督は「いろいろな形ができたらいいなと思う」と、チームの変化を示唆する [写真]=Getty Images
前人未到の、JリーグとAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のW制覇。昨シーズン、数々の記録を打ち立ててリーグを席巻した川崎フロンターレは、2021シーズンに向けて高い目標を設定した。
「簡単ではないが、決して不可能ではない」。そう我々が思わされるのは、昨シーズンの独走優勝の記憶が色濃く残っているからだろう。歴代最多勝ち点や最多連勝記録の更新などを踏まえても、Jリーグ史上最強のチームと称されるほどの力を誇っていたことは間違いない。だからこそ、今の川崎ならもしかすると……、なんて思いも抱きたくなる。
ただ、高い目標を目指す前に振り返っておくべきシーズンがある。それは昨年ではなく、鬼木体制3年目となった2019シーズンのことだ。リーグ連覇した川崎は、その年に「4冠」という目標を掲げ、シーズンオフに積極補強。レアンドロ・ダミアンら7選手を加えてシーズンに挑んだ。
しかし、蓋を開けてみると、大きな期待を背に臨んだシーズンはルヴァン杯こそ制したが、ACLではグループステージ敗退、リーグ戦は4位と悔しさの残る1年になってしまった。
2019年の問題点はいくつかあるが、大きなもので言えば、それまで絶対的な選手だったエウシーニョの穴を埋められなかったことと、チームスタイルを確立できなかったことが挙げられる。ピッチ上で存在感を示していた選手が抜け、その穴を埋めるためにやり方を多少変更したことで歪みが生じ、自分たちのサッカーを見失ってしまったのだ。
今年の川崎も、昨シーズンの中心メンバーだった守田英正が移籍。その穴埋めが最大のポイントになっているのは、エウシーニョが抜けた2019年と一緒だ。例えば、ジョアン・シミッチや塚川孝輝ら新加入選手たちに昨年の守田と同様のプレーを見せろと言うのは、タイプも違うため無理がある。そのため、同じことを求めるのではなく新戦力に合った新たなスタイルを作り上げていく必要がある。
「ベストの布陣というか、いろいろな形ができたらいいなと思っています。結局、数字的な4-3-3はあるけど、人によって形や特長を変えてもいいかなと。それは、そういう選手たちが揃ったということもある。いろいろな意味で、組み合わせは面白いものがあると思っている」(鬼木達監督)
昨シーズンと同じチームを作るつもりがないことは、指揮官の言葉を聞けば分かる。今いる選手たちの特長を存分に発揮させるため、今シーズンは試行錯誤を続けていく。「僕たちのサッカーはこういうものだとあまり決めつけずにもっと進化していきたいですし、上積みしていきたい」とは、主将の谷口彰悟の言葉。昨シーズンとは違う、2021年版の川崎を作り上げる。それが成し遂げられた時、さらに進化した王者の姿が見られるはずだ。
【KEY PLAYER】18 三笘薫
「やっぱりね」という言葉が聞こえてきそうだが、1年でチームを象徴する選手の一人となった三笘薫をキープレーヤーに挙げないわけにはいかないだろう。
プロ2年目を迎える三笘に、さらなる期待を抱くことになったのは新体制発表会のことだった。クラブのオフィシャルスーツを身に纏った三笘は、中村憲剛FROと小芝居を打ち、ファン・サポーターを大いに驚かせた。プレーはもちろんのこと、ピッチ内外でエンターテイナーだった中村憲FROの現役引退はチームにとって痛手だったことは間違いない。だが、そんな不安を吹き飛ばすかのように、アカデミー育ちの選手が見せたエンターテイナーぶりは、チームの未来が安泰であることを感じさせた。
もちろん、三笘の凄みはピッチ外だけにあらず。キャンプの最終日に行われた北海道コンサドーレ札幌戦では、昨年同様キレキレのドリブルを披露。一人、二人、三人とマークが増えても、気にすることなく積極的に仕掛けていく姿勢には自信が漲っていた。今年は昨年以上に警戒されるだろうが、それを逆手にとってうまく活用することができれば、さらに背番号18の存在感は増していくはず。
今シーズン、進化を続ける三笘はどんなパフォーマンスを見せるのか。新シーズンが楽しみでならない。
文=林遼平
「簡単ではないが、決して不可能ではない」。そう我々が思わされるのは、昨シーズンの独走優勝の記憶が色濃く残っているからだろう。歴代最多勝ち点や最多連勝記録の更新などを踏まえても、Jリーグ史上最強のチームと称されるほどの力を誇っていたことは間違いない。だからこそ、今の川崎ならもしかすると……、なんて思いも抱きたくなる。
ただ、高い目標を目指す前に振り返っておくべきシーズンがある。それは昨年ではなく、鬼木体制3年目となった2019シーズンのことだ。リーグ連覇した川崎は、その年に「4冠」という目標を掲げ、シーズンオフに積極補強。レアンドロ・ダミアンら7選手を加えてシーズンに挑んだ。
しかし、蓋を開けてみると、大きな期待を背に臨んだシーズンはルヴァン杯こそ制したが、ACLではグループステージ敗退、リーグ戦は4位と悔しさの残る1年になってしまった。
2019年の問題点はいくつかあるが、大きなもので言えば、それまで絶対的な選手だったエウシーニョの穴を埋められなかったことと、チームスタイルを確立できなかったことが挙げられる。ピッチ上で存在感を示していた選手が抜け、その穴を埋めるためにやり方を多少変更したことで歪みが生じ、自分たちのサッカーを見失ってしまったのだ。
今年の川崎も、昨シーズンの中心メンバーだった守田英正が移籍。その穴埋めが最大のポイントになっているのは、エウシーニョが抜けた2019年と一緒だ。例えば、ジョアン・シミッチや塚川孝輝ら新加入選手たちに昨年の守田と同様のプレーを見せろと言うのは、タイプも違うため無理がある。そのため、同じことを求めるのではなく新戦力に合った新たなスタイルを作り上げていく必要がある。
「ベストの布陣というか、いろいろな形ができたらいいなと思っています。結局、数字的な4-3-3はあるけど、人によって形や特長を変えてもいいかなと。それは、そういう選手たちが揃ったということもある。いろいろな意味で、組み合わせは面白いものがあると思っている」(鬼木達監督)
昨シーズンと同じチームを作るつもりがないことは、指揮官の言葉を聞けば分かる。今いる選手たちの特長を存分に発揮させるため、今シーズンは試行錯誤を続けていく。「僕たちのサッカーはこういうものだとあまり決めつけずにもっと進化していきたいですし、上積みしていきたい」とは、主将の谷口彰悟の言葉。昨シーズンとは違う、2021年版の川崎を作り上げる。それが成し遂げられた時、さらに進化した王者の姿が見られるはずだ。
【KEY PLAYER】18 三笘薫
「やっぱりね」という言葉が聞こえてきそうだが、1年でチームを象徴する選手の一人となった三笘薫をキープレーヤーに挙げないわけにはいかないだろう。
プロ2年目を迎える三笘に、さらなる期待を抱くことになったのは新体制発表会のことだった。クラブのオフィシャルスーツを身に纏った三笘は、中村憲剛FROと小芝居を打ち、ファン・サポーターを大いに驚かせた。プレーはもちろんのこと、ピッチ内外でエンターテイナーだった中村憲FROの現役引退はチームにとって痛手だったことは間違いない。だが、そんな不安を吹き飛ばすかのように、アカデミー育ちの選手が見せたエンターテイナーぶりは、チームの未来が安泰であることを感じさせた。
もちろん、三笘の凄みはピッチ外だけにあらず。キャンプの最終日に行われた北海道コンサドーレ札幌戦では、昨年同様キレキレのドリブルを披露。一人、二人、三人とマークが増えても、気にすることなく積極的に仕掛けていく姿勢には自信が漲っていた。今年は昨年以上に警戒されるだろうが、それを逆手にとってうまく活用することができれば、さらに背番号18の存在感は増していくはず。
今シーズン、進化を続ける三笘はどんなパフォーマンスを見せるのか。新シーズンが楽しみでならない。
文=林遼平
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