WRC:トヨタ、メキシコ3日目でタナクが表彰台圏内に。「ヤリス全車が速さと信頼性を発揮」
現地3月9日に行われたWRC世界ラリー選手権第3戦メキシコの競技3日目。3台のトヨタ・ヤリスWRCを投じるTOYOTA GAZOO Racing WRTは、オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が総合2番手と2.2秒差の総合3番手に浮上し、表彰台を射程圏に捉えた。
今大会最長32.27kmのステージを含む構成で争われた競技3日目は高い気温や標高だけでなく、荒れた路面もクルーを苦しめる要素になった。
前日、総合3番手につけていたクリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)は途中終了となったSS10で、直近のライバルであるエルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)を12.1秒引き離してトップタイムを記録し、総合首位に浮上したが、続くSS11でパンクに見舞われてしまう。
ステージ途中でパンクしたミークだったが、マシンを停めてタイヤ交換をせずに走行を続行。最終的にトップから90秒以上の遅れを取り、総合5番手に後退してしまう。
さらにパンクしたタイヤでステージを走行した影響でサスペンションにもトラブルが発生。SS12ではスロー走行を余儀なくされ、最終的には総合5番手で3日目を走り終えたものの、トップとは4分37秒1のギャップがついてしまった。
そのミークに代わり、トヨタ陣営のトップにつけたのがタナク。競技2日目は先頭走者を務め、荒れた路面を切り開く“掃除役”を務めたタナクだが、この日は出走順が後ろになったため、持ち前のペースを発揮した。
タナクは最長距離のSS14“オタテス2”と続くSS15“エル・ブリンコ2”でステージ優勝を飾るなど活躍して、総合3番手でフィニッシュ。首位のセバスチャン・オジエ(シトロエンC3 WRC)とは29.2秒差、総合2番手のエルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)とは2.2秒差となっている。
競技2日目終盤にオルタネータートラブルでリタイアを余儀なくされたヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)はマシントラブルを解決し、競技3日目に参加。SS11“オタテス1”とSS12“エル・ブリンコ1”でトップタイムを記録して総合8番手までポジションを上げている。
■トミ・マキネン「今日は3台のヤリス全車が速さと信頼性を発揮」
チームの指揮を執るトミ・マキネンは「今日はオット(タナク)が素晴らしいパフォーマンスを発揮し、総合2位争いを演じてくれた。明日も今日のような戦いをしてくれるはずだ」とコメントしている。
「今週末の戦いは、まだ60kmほど残っているし、これだけタフな状況では何が起きても不思議ではない。今日は3台のヤリスWRCすべてが速さを信頼性を発揮してくれた」
「総合首位に立った直後に、クリス(ミーク)がパンクしたことは残念だったが、あのステージの路面はかなり荒れていて、大きな石も転がっており、運悪くパンクしてしまった。それでもまだポイントを獲得できる順位につけている」
「そしてヤリ-マティ(ラトバラ)は遅い出走順を最大限に活かして、ステージトップタイムを複数回記録している。昨日、ああいった幕切れを迎えてドライバーにとっては大事なことなんだ」
表彰台圏内につけるタナクは「今朝は滑りやすい路面コンディションだったが、うまくマネジメントできた。午後は戦うチャンスがあったから、タイムを縮めようと努力したよ」とコメント。
ミークは「(SS11で)パンクした後、タイヤ交換せずに走り切る選択をした。ステージタイムを考えれば正しい判断だったと思うけど、代償としてリヤサスペンションにダメージを負ってしまったんだ」と述べている。
「総合5番手までポジションを落とした上に、何かを争うような状況ではなくなったことは残念だけど、チームのために貴重なポイントを持ち帰ることは大事なことだ」
前日、マシントラブルでデイリタイアしていたラトバラは「昨日と比べれば、パフォーマンスは明らかに改善しているから、1日全体で考えれば満足できる」とコメントしている。
「明日も今日と同じようなスピードで走ることができれば、総合7位(獲得)も十分可能だと思う。また、選手権にとって重要となる、パワーステージでのポイント獲得も狙っていくよ」
競技最終日となる現地10日はSS19〜21の3SSで争われる。ステージの多くはこれまでに走行していたSSと重なる場所があるほか、最終SS21は上位5名にボーナスポイントが与えられるパワーステージとして行われる。
全3SS合計の走行距離は60.17km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は181.98kmだ。
「WRC」をもっと詳しく
「WRC」のニュース
-
勝田貴元、4台目出走で見せた意地と速さ。勝者オジエからの“金言”と限界領域での課題/WRCポルトガル5月15日2時50分
-
WRCトヨタ育成2期生、ラリー2で初のグラベルに挑戦もデイ2で悔しいリタイア/ラリー・ポルトガル5月14日17時40分
-
タナクが復調の2位表彰台「土曜のパンクがなければ勝利を掴めた」/WRCポルトガル後コメント5月13日14時47分
-
トヨタが8度目のポルトガル制覇、ランチアとシトロエンに並ぶ。GRヤリス・ラリー2のWRC2初優勝も達成5月13日11時54分
-
豊田章男会長、オジエの戦いぶりに「“真のプロ”の仕事」。ペースノート紛失への追伸も/WRC第5戦後コメント5月13日10時51分
-
【ポイントランキング】2024年WRC第5戦ラリー・ポルトガル後5月12日23時36分
-
オジエが2連勝。突然の濃霧もお構いなし、自身6度目のラリー・ポルトガル制覇【WRC第5戦最終日】5月12日21時28分
-
【最終結果】2024年WRC第5戦ラリー・ポルトガル パワーステージ後5月12日21時19分
-
総合3番手に急浮上のヌービル「昨日の時点からは信じられない展開」/WRCポルトガル デイ3後コメント5月12日13時21分
-
カッレ・ロバンペラと勝田貴元を襲った苦難のデイ3「すべてをコントロールできていると感じていた」5月12日12時44分