S広島R、“甘さ”出た2失点から追い上げ意地のドロー…藤生の意識と髙橋の嗅覚で劇的同点弾
サッカーキング2024年3月18日(月)14時34分
S広島RのFW髙橋美夕紀[写真]=WEリーグ
サンフレッチェ広島レジーナは16日、WEリーグ第10節で新本拠地『エディオンピースウイング広島』にマイナビ仙台レディースを迎えて対戦し、2-2で引き分けた。
新スタジアム2戦目で初白星を狙うS広島Rは試合を通じて攻め続けたが、再三のチャンスを決めきれず、逆に好調の仙台FW廣澤真穂に2ゴールを許して2点を追う展開となった。
試合の立ち上がり6分、自陣でボールを失うと、こぼれ球を拾った廣澤に強烈なミドルシュートを叩き込まれて先制点を与えた。相手のシュートのうまさもあったが、DF市瀬千里は「イレギュラーな形でボールを失った時にもっと守備陣が打たせないように出るところとか、全部が後手で全部が甘かった」と対応を悔やんだ。
64分にはDF高平美憂にクロスを上げられると、MF太田萌咲の落としを廣澤に押し込まれて2失点目。中村伸監督は「自分たちが押し込む展開の中で、相手にボールを握られて動かされたとき、相手選手に行けていない瞬間が2つ3つ重なってしまった。やっぱりミスが重なると失点につながるし、まだまだ我々の甘さや弱さがこういう結果につながっている」と指摘した。
“甘さ”が失点に直結した。どちらの失点シーンも相手選手に十分なプレッシャーを与えられず、相手の思うようにやられていた。中村監督は「関わった選手もチームとしても、プレー場所や時間帯などを理解してプレーの判断をしないといけない」と話し、市瀬は「もっと危機感を持たないといけないし、いらない失点は本当に無くさないといけない」と気を引き締めた。
それでも、新スタジアムで連敗スタートを避けたいS広島Rは、2点ビハインドを追いつく意地を見せた。68分、MF中嶋淑乃がMF瀧澤千聖とのワンツーで左サイドを抜けてクロスを送ると、中央に走り込んできたMF上野真実が右足ボレーを沈めてゴール。鮮やかな流れで1点を返した。
さらに、後半アディショナルタイム3分、DF藤生菜摘が味方のクロスのこぼれ球を相手から奪い返すと、ペナルティエリア右で上野の落としを受けてゴール前にグラウンダーのパス。これをFW髙橋美夕紀が流し込んで同点ゴールを決めた。
WEリーグ初スタメンを飾った藤生は、「緊張するかと思ったけど、スタジアムに入って応援を聞いた時に、『やるしかない』、『楽しむしかない』っていう気持ちで試合に入れました」と気合が入っていた。アシストのシーンは、普段見ている海外サッカーでの学びを意識していた。
「ペップの作るサッカーが好きでマンチェスター・シティはよく見ています。自分の頭にないとできないプレーがあるので、選択肢を増やすために映像は見るようにしている」と明かし、「プレミアリーグでも似たようなシーンでゴールする形があった。ゴール前のスペースが空くと思っていたので、そのスペースを意識して、ゴール前で味方が触るか触らないかぐらいで合わせられるようなパスを出した。意図を持ったプレーだったのでよかったです」と頭にあったイメージ通りのアシストに胸を張った。
そのパスを同点ゴールにつなげた髙橋は、S広島R加入後初のベンチスタートだったが、「特に考えることなく、むしろ体の力が抜けて自然体で入れた」と明かし、得点できる予感も持ちながら75分に途中出場した。
「こういう立場の時は点を取りやすいと思っているし、今日は『あるな』って思っていた。負けている状況だったけど、試合を通していいボールが上がっていたし、ゴール前のチャンスも作れていたので、そこで『自分が決める』ということだけを考えて入りました」
チームを救った得点シーンは、「絶対にボールがこぼれてくると思っていたので、ゴール前にいようと思っていた」とストライカーの嗅覚が働いた。パスの出どころはハッキリと見えていなかったが、「ボールが来る準備はできていたから足を合わせられた。押し込むだけでした」と振り返り、「追いつけたのが良かったので、(得点は)うれしかった。でも、とにかく逆転するところまで考えていました」と心境を明かした。
髙橋は今季リーグ戦10試合目で待望の初ゴールとなった。これまで最前線で体を張り、ボールを追って献身的なプレーでチームを助けていたが、肝心の得点が遠かった。「今までも(得点を)取るチャンスがあった中で自分が外してきただけなので、そこは本当に自分の力不足」と悔しさや責任を背負っていたが、今季リーグ初得点を決めて「ちょっと遅くなったけど、ここから巻き返していきたい。チームも勝ててないので、勝つための得点を取れるように頑張りたい」と得点量産を誓った。
S広島Rは試合を通じてシュート20本を放ち2得点のみ。その一方で相手のシュートは2本だったが、全てをゴールにつなげられた。詰めの甘さやゴールを決め切る力といった課題が浮き彫りになり、中村監督は「小さなことでも大きなことでも向き合って1つずつ整理して成長してきたチームなので、引き続き目を背けずに、向き合って成長していきたい」と前を向いた。
取材・文=湊昂大
新スタジアム2戦目で初白星を狙うS広島Rは試合を通じて攻め続けたが、再三のチャンスを決めきれず、逆に好調の仙台FW廣澤真穂に2ゴールを許して2点を追う展開となった。
試合の立ち上がり6分、自陣でボールを失うと、こぼれ球を拾った廣澤に強烈なミドルシュートを叩き込まれて先制点を与えた。相手のシュートのうまさもあったが、DF市瀬千里は「イレギュラーな形でボールを失った時にもっと守備陣が打たせないように出るところとか、全部が後手で全部が甘かった」と対応を悔やんだ。
64分にはDF高平美憂にクロスを上げられると、MF太田萌咲の落としを廣澤に押し込まれて2失点目。中村伸監督は「自分たちが押し込む展開の中で、相手にボールを握られて動かされたとき、相手選手に行けていない瞬間が2つ3つ重なってしまった。やっぱりミスが重なると失点につながるし、まだまだ我々の甘さや弱さがこういう結果につながっている」と指摘した。
“甘さ”が失点に直結した。どちらの失点シーンも相手選手に十分なプレッシャーを与えられず、相手の思うようにやられていた。中村監督は「関わった選手もチームとしても、プレー場所や時間帯などを理解してプレーの判断をしないといけない」と話し、市瀬は「もっと危機感を持たないといけないし、いらない失点は本当に無くさないといけない」と気を引き締めた。
それでも、新スタジアムで連敗スタートを避けたいS広島Rは、2点ビハインドを追いつく意地を見せた。68分、MF中嶋淑乃がMF瀧澤千聖とのワンツーで左サイドを抜けてクロスを送ると、中央に走り込んできたMF上野真実が右足ボレーを沈めてゴール。鮮やかな流れで1点を返した。
さらに、後半アディショナルタイム3分、DF藤生菜摘が味方のクロスのこぼれ球を相手から奪い返すと、ペナルティエリア右で上野の落としを受けてゴール前にグラウンダーのパス。これをFW髙橋美夕紀が流し込んで同点ゴールを決めた。
WEリーグ初スタメンを飾った藤生は、「緊張するかと思ったけど、スタジアムに入って応援を聞いた時に、『やるしかない』、『楽しむしかない』っていう気持ちで試合に入れました」と気合が入っていた。アシストのシーンは、普段見ている海外サッカーでの学びを意識していた。
「ペップの作るサッカーが好きでマンチェスター・シティはよく見ています。自分の頭にないとできないプレーがあるので、選択肢を増やすために映像は見るようにしている」と明かし、「プレミアリーグでも似たようなシーンでゴールする形があった。ゴール前のスペースが空くと思っていたので、そのスペースを意識して、ゴール前で味方が触るか触らないかぐらいで合わせられるようなパスを出した。意図を持ったプレーだったのでよかったです」と頭にあったイメージ通りのアシストに胸を張った。
そのパスを同点ゴールにつなげた髙橋は、S広島R加入後初のベンチスタートだったが、「特に考えることなく、むしろ体の力が抜けて自然体で入れた」と明かし、得点できる予感も持ちながら75分に途中出場した。
「こういう立場の時は点を取りやすいと思っているし、今日は『あるな』って思っていた。負けている状況だったけど、試合を通していいボールが上がっていたし、ゴール前のチャンスも作れていたので、そこで『自分が決める』ということだけを考えて入りました」
チームを救った得点シーンは、「絶対にボールがこぼれてくると思っていたので、ゴール前にいようと思っていた」とストライカーの嗅覚が働いた。パスの出どころはハッキリと見えていなかったが、「ボールが来る準備はできていたから足を合わせられた。押し込むだけでした」と振り返り、「追いつけたのが良かったので、(得点は)うれしかった。でも、とにかく逆転するところまで考えていました」と心境を明かした。
髙橋は今季リーグ戦10試合目で待望の初ゴールとなった。これまで最前線で体を張り、ボールを追って献身的なプレーでチームを助けていたが、肝心の得点が遠かった。「今までも(得点を)取るチャンスがあった中で自分が外してきただけなので、そこは本当に自分の力不足」と悔しさや責任を背負っていたが、今季リーグ初得点を決めて「ちょっと遅くなったけど、ここから巻き返していきたい。チームも勝ててないので、勝つための得点を取れるように頑張りたい」と得点量産を誓った。
S広島Rは試合を通じてシュート20本を放ち2得点のみ。その一方で相手のシュートは2本だったが、全てをゴールにつなげられた。詰めの甘さやゴールを決め切る力といった課題が浮き彫りになり、中村監督は「小さなことでも大きなことでも向き合って1つずつ整理して成長してきたチームなので、引き続き目を背けずに、向き合って成長していきたい」と前を向いた。
取材・文=湊昂大
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