トヨタ、1-3フィニッシュで大会連覇達成。オジエがWRCメキシコで通算7勝目「完璧な週末だった」
3月19日、2023年シーズンのWRC世界ラリー選手権第3戦『ラリー・メキシコ』の最終日、デイ4がメキシコ中央高原のレオンを起点に行われ、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR WRT)のセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合優勝を飾った。僚友のエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)も総合3位で表彰台に上がり、チームはワン・スリー・フィニッシュを飾っている。
また、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合4位に。TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムから4台目のトヨタGRヤリス・ラリー1を駆り今戦に出場した勝田貴元/アーロン・ジョンストン組は、総合22位で初参戦となった中米ラウンドで完走を果たした。
16日(木)に始まった今季初のグラベル(未舗装路)ラリーは日曜日に競技最終日を迎えた。このデイ4は、サービスパークが置かれるレオン周辺の山岳地帯を中心とする4本のステージを走行する一日。SSの合計距離は61.53kmとなった。
前日のデイ3終了時点で、総合2番手につけるエバンスに対し35.8秒差を築いていたラリーリーダーのオジエは、オープニングのSS20からリスクを排した確実性の高い走りを続けらがらも、今大会最長となる35.63kmのSS21“オタテス”では3番手タイムを記録してみせる。また、続くSS22では4番手タイムとなり、エバンスとのタイムはこの時点で22.5秒に縮まった。
しかし、ボーナスポイントが懸かる最終パワーステージとして行われたSS23“エル・ブリンコ”では、抑えていた力を放出し今大会5度目となるベストタイムをマーク。開幕戦モンテカルロに続く勝利で、今シーズンの成績を2戦2勝とした。
オジエはラリー後、「30ポイントを獲得できたのだから、間違いなく完璧な週末だったと言える。必要に応じて速さを発揮することも、状況をうまくマネージメントをすることもできた」と語っている。
なお、メキシコで通算7勝目を飾った39歳のベテランは今回の“フルポイントマーク”によりドライバー選手権でトップに立ち、開幕から3戦連続で表彰台に上がりランキング2位につけるティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)を3ポイントリードした。
そのヌービルと2位の座を争ったエバンスは、総合2番手で迎えたSS21でベストタイムを刻んだ一方、サスペンションにダメージを負ってしまう。エバンスはこれをリエゾン(移動区間)で修理して続くSS22に臨み3番手タイムをマークした。最終ステージではライバルを2.7秒リードして状態で臨んだものの、わずかの差で逆転を許してしまう。それでも今季初となる3位表彰台を獲得したエバンスと2位とのタイム差は0.4秒だった。
■ラトバラ代表「本当に嬉しいし、チームを誇りに思う」
乾いたグラベルステージでは不利となる早い出走順により、デイ2で首位オジエに1分近い遅れをとったロバンペラは、デイ3終了時点で総合4番手まで順位を挽回した。シリーズの現王者は最終日の目標をパワーステージに定め、SS23でフルアタックを敢行する。
ロバンペラの駆るトヨタGRヤリス・ラリー1はコーナーで走行ラインがワイドになり、リヤスポイラーにダメージを負うも、ステージ4番手タイムを記録し総合4位でフィニッシュ。選手権ポイントとともにボーナスの2ポイントを獲得してみせた。
TGR WRCチャレンジプログラムから、ラリー・メキシコに初参戦した勝田は、デイ2でのデイリタイアを経てデイ3で再出走した後、デイ4の4本のステージを確実に走りきり総合23位でラリーを完走している。
チームを指揮するヤリ-マティ・ラトバラ代表は「驚くべき結果だ」と今戦を振りかえった。
「2022年は、このような暑くて路面が荒れているグラベルラリーではペースが上がらず、チームの誰もがここメキシコでどうなるのか確信を持てずにいた」
「しかし、このイベントの前に開発エンジニアが行ったすべての作業が状況を一変させ、ラリーで勝ち、パワーステージを制することができるクルマになったんだ。本当に嬉しいし、チームを誇りに思う」
「最終ステージでは多くの感動があり、セブ(セバスチャン・オジエ)がステージを制したのは信じられないようなことだった。エルフィン(・エバンス)は最後の最後で少しアンラッキーだったが、ふたたび表彰台に上れたことは今後に向けて大きな自信になるだろう」
「また、カッレ(・ロバンペラ)もチャンピオンシップとポイントのことを考えていい仕事をしたと思う」
TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチームが挑む次戦は、4月20日から23日にかけて、クロアチアの首都ザグレブを中心に開催される『クロアチア・ラリー』だ。2021年に初めてWRCとして開催された同イベントは、今年で3年目を迎える。ステージの路面はターマック(舗装路)だが、多くの箇所でインカット走行によって砂や泥がコース上に掻き出されれることによりグリップレベルが低下するため、難しいラリーとなることで有名だ。
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