2022年にワークス撤退のスズキがレースに復帰。サステナブルアイテムで鈴鹿8耐に参戦へ/東京モーターサイクルショー
3月22日、スズキ株式会社は東京ビッグサイトで開催されている『第51回 東京モーターサイクルショー』でプレスカンファレンスを開き、レースに復帰することを発表した。2024年の鈴鹿8時間耐久ロードレースに複数のサステナブルアイテムを使用して参戦する。
スズキは2015年にMotoGPに復帰してチーム・スズキ・エクスターを運営し、2021年からはFIM世界耐久選手権(EWC)にヨシムラSERT Motulとしてファクトリー体制で参戦していた。MotoGPでもEWCでもチャンピオンを獲得するなど優れた成績を残してきたが、2022年シーズンを最後に撤退することを同年7月に発表した。
その際にスズキは「サステナビリティの実現に向け、経営資源の再配分に取り組まねばならない中で、この度のMotoGPとEWCの参戦終了という決断をいたしました。二輪レース活動は常に技術革新・人材育成の場としてチャレンジをしてきた場所であります。この度の決断は、レース活動を通じて培ってきた技術力・人材を、サステナブルな社会の実現へ振り向け、新たな二輪事業の創生に挑戦していくことを意味しております」とコメントを残し、全関係者への感謝も綴っていた。
撤退が決まった2022年7月からシーズン終了まではMotoGPとEWCの活動を努め、2023年以降は全日本ロードやEWC(鈴鹿8耐)に参戦するスズキチームへのサポートに留まっていた。
そんななか、東京モーターサイクルショーの会場でサプライズな報告があった。プレスカンファレンスが12時40分から催されることはアナウンスされていたが、レースに関連する発表だという情報は事前に告知されておらず、文字通り驚きの『レース復帰』が明かされたのだ。
チームスズキCNチャレンジとしてエントリーするのは7月19〜21日に行われる鈴鹿8耐。マシンはGSX-R1000Rを使用するが、その内容は実験的クラスとして設定される『エクスペリメンタルクラス』に参戦するというもの。40%バイオ由来のFIM公認サステナブル燃料、プロジェクトに賛同したパートナー企業のタイヤ、オイル、カウル、ブレーキなどサステナブルな新技術の開発を兼ねた挑戦となる。2022年のレース撤退で語られて「サステナビリティの実現」が叶い、レースに戻ってくることになったようだ。
チームは、スズキ社内で選抜したメンバーを中心に構成で、ライダーは未定。パートナー企業とともに課題を克服しながら『レース完走』を目指して走行を通しデータを収集。その後次のステップに向けて新たな目標を定めるという。ゼッケンは『0』となるが、カーボンニュートラルを目指す姿勢を象徴するナンバーを選んだ。
また、今回の参戦は、「耐久レースの厳しい条件の中での実走行を通して環境性能技術の開発を加速することを目的としており、参戦で得られる貴重なデータを検証することによってより高い目標を見出し、今後の製品への技術フィードバックを推進していきます」としている。
■鈴木俊宏(代表取締役社長)
「今回サステナブル燃料で鈴鹿8耐に参戦する機会をいただいた、FIM、EWCオーガナイザー、鈴鹿サーキット各位に感謝いたします。スズキは、サステナビリティに関わる技術の開発促進に向け、経営資源の再配分に取り組んでまいりました。世界耐久選手権は長時間の連続走行を強いられるマシン、ライダー、チームにとって非常に過酷なレースです。そこでサステナブル燃料やヨシムラジャパンをはじめとする協力各社様のサステナブルなアイテムの開発に挑戦できることは、スズキの環境性能技術向上のみならず、人材育成やモチベーション向上にもつながり、将来よりよい製品を作っていくことにもつなげられると考えています。皆様のご声援をお願い申し上げます」
■田中強(二輪事業本部長)
「二輪車にとって、特に中型や大型の二輪車にとって今後も必要と考えられる内燃機関でカーボンニュートラル実現を進めるために、今回の取り組みは非常に大きな意味を持つと考えています。走行性能と同時に耐久性が求められる耐久レースという開発に最適な場を使って、燃料だけではなくさまざまなサステナブルアイテムを試し開発することは、広い意味で将来の二輪業界を元気にできる活動であると胸を張って言えます。この参戦を今回限りとせず、来年以降さらに高い目標を掲げて継続する活動にできるよう、しっかり取り組みたいと思います。応援をよろしくお願いします」
■参戦車両 GSX-R1000R ヨシムラ SERT EWC CN 仕様
●使用予定のサステナブルアイテム
燃料:エルフMoto R40 FIM 40%バイオ由来原料
マフラー:ヨシムラジャパン 触媒内蔵サイレンサー
タイヤ:ブリヂストン 再生資源・再生可能資源比率を向上したタイヤ
オイル:MOTUL バイオ由来ベースオイル
カウル:JHI 再生カーボン材(プリプレグ材)
前後フェンダー:トラス スイスBcomp(天然亜麻繊維を使用した革新複合材料)
前ブレーキ:サンスター技研 熱処理廃止鉄製ディスク、ローダストパッド
バッテリー:エリーパワー 車載LFPバッテリー、ピット電源供給用蓄電池
●チーム体制
チーム名:チームスズキCNチャレンジ
ライダー:(3名)未定
プロジェクトリーダー兼チームディレクター:佐原伸一
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