「安パイなプレーはしたくない」 22歳の新星・中村敬斗に期待したい“強気のアタック”
サッカーキング2023年3月23日(木)14時39分
[写真]=兼子愼一郎
24日のウルグアイ代表戦から、いよいよ本格的に船出する第2次森保ジャパン。やはり最大の注目は今季イングランドで公式戦9得点6アシストという目覚ましい結果を残している三笘薫だろう。その彼が担う左サイドアタッカーのポジション争いに名乗りを挙げようとしている新星が中村敬斗。今回A代表に初招集された22歳の新進気鋭のアタッカーだ。
2000年生まれの中村は2017年U-17ワールドカップ、2019年U-20ワールドカップに参戦するなど、年代別代表の頃から頭角を現していた点取り屋。三菱養和SCに在籍していた17歳の時にガンバ大阪と契約し、2018年にプロデビュー。わずか1年半後の2019年夏にはオランダ1部・トゥウェンテへレンタル移籍するほど、短期間で階段を駆け上がった。「ガンバ時代はU-23に落とされ、森下仁志監督にめちゃくちゃ鍛えられ、何とか這い上がれました。だけど欧州ではそんな足踏みしている時間はない。自分はレンタルで来ている立場だし、限られた時間でどれだけ上に行けるかだから。他のライバルとの違いを示すためにもゴールに絡む動きが必要。そうしなきゃ生き残れない」と、2019年秋の中村はオランダでギラギラ感を前面に押し出していた。
だが、その後、急速に出番を失い、2020年夏にはシントトロイデンへ。ここでもコンスタントに出番を得られず、半年後の2021年2月にはオーストリア2部のFCジュニアーズへ赴く。ここは現所属のLASKリンツの提携クラブで、活躍すれば1部に行ける道は開けていたが、リスクもあった。19歳でオランダから欧州キャリアを始めたエリートにしてみれば大胆な選択だったはずだが、本人は「まず試合に出ることを優先した」とそれほど迷わなかったという。「オーストリア2部は今まで自分がプレーしてきたリーグよりレベルが低かった。確かに一回、下がったところには行ったと思います。でもそこから『這い上がった』という感覚はない。一歩一歩成長。そう感じています」と本人は改めて強調していた。
2021年夏にLASKリンツに完全移籍してからは右肩上がりで、UEFAカンファレンスリーグも経験。今季の大ブレイクにつなげた。「ゴールにつながるようなプレーだったり、チャンスメーク、クロスに入って行ったり、ペナルティーエリア付近でのプレーが自分の魅力なので、そこに磨きをかけてきたかなと。ただ、A代表に関しては、今季自チームで活躍して、夏に移籍してステップアップしてからかなと正直思っていたので、このタイミングで呼んでいただいてめちゃくちゃ嬉しい。何とか生き残れるように頑張りたいです」と本人はようやく巡ってきたチャンスをつかみ取ろうと躍起になっている。
ただし、今すぐ三笘に真っ向勝負できるとは考えていない。欧州で5シーズン目を過ごしている彼には、イングランドとオーストリアの実力差は嫌と言うほど分かっているはず。「三笘選手は世界一のリーグで得点やアシスト、それ以外のプレーも含めて違いを見せている選手。そういう選手と自分はちょっとまだ比較はできないと思うので、ライバルと言う感覚はないです」というコメントが口を突いて出るのも理解できる。とはいえ、中村はもともと野心溢れる男。このまま黙っているわけがない。少しでも爪痕を残して代表残留への布石を打ち、夏にステップアップしてから本格的に左サイドのポジションを狙いに行くという思惑はもちろんあるだろう。現にリヴァプールなどが食指を伸ばしつつあるという報道も出ている。今回のウルグアイ・コロンビア2連戦で出場時間がどのくらい与えられるかは分からないが、ピッチに立ったらアグレッシブにゴールに突き進むこと。それが高い領域に辿り着く近道である。本人も「やってやろう」という気持ちは非常に強いはずだ。「安パイなプレーをしてミスなしでいくよりかは、ミスになったとしても何かトライしていきたいですね」と彼自身、飽くなき闘志を燃やしている。
今回は中村を筆頭に菅原由勢、瀬古歩夢、谷晃生、藤井陽也と2000年生まれが複数名を連ねている。ドイツで5部から1部に這い上がった上月壮一郎も含めて言えることだが、彼らの世代は貪欲さとアグレッシブさが頭抜けている。それも、U-15世代の頃から森山佳郎監督に「お前らみんな消えるよ、さよなら」と言われ続け、インドネシアやインド、ウズベキスタンといった異国に遠征してタフさを養ってきたから。しかも久保建英という1つ年下のスターがいたため、「タケには負けられない」という負けじ魂も培われたのだ。「2000年の子は異常に自己主張する子が多かった。みんな強烈に要求しあったし、ハーフタイムにとケンカみたいになることもあって、僕が『静かにしろ、落ち着け』と言ったくらいです」と森山監督も苦笑していたほどだ。個性の強い仲間たちとともにA代表を盛り上げ、中村自身も主力の一人になれれば理想的。「今回、代表に来る時、正直めちゃくちゃ緊張してきたけど、00でやった仲間が一緒にいるのはすごく嬉しい。みんなチームで試合に出てちょっとずつ結果に反映されてきた。それを代表でもやっていきたいですね」とゼロからのスタートを誓う中村。まずは強気のアタックを見せ、力強いA代表キャリアの一歩を踏み出してくれることを切に願いたい。
取材・文=元川悦子
2000年生まれの中村は2017年U-17ワールドカップ、2019年U-20ワールドカップに参戦するなど、年代別代表の頃から頭角を現していた点取り屋。三菱養和SCに在籍していた17歳の時にガンバ大阪と契約し、2018年にプロデビュー。わずか1年半後の2019年夏にはオランダ1部・トゥウェンテへレンタル移籍するほど、短期間で階段を駆け上がった。「ガンバ時代はU-23に落とされ、森下仁志監督にめちゃくちゃ鍛えられ、何とか這い上がれました。だけど欧州ではそんな足踏みしている時間はない。自分はレンタルで来ている立場だし、限られた時間でどれだけ上に行けるかだから。他のライバルとの違いを示すためにもゴールに絡む動きが必要。そうしなきゃ生き残れない」と、2019年秋の中村はオランダでギラギラ感を前面に押し出していた。
だが、その後、急速に出番を失い、2020年夏にはシントトロイデンへ。ここでもコンスタントに出番を得られず、半年後の2021年2月にはオーストリア2部のFCジュニアーズへ赴く。ここは現所属のLASKリンツの提携クラブで、活躍すれば1部に行ける道は開けていたが、リスクもあった。19歳でオランダから欧州キャリアを始めたエリートにしてみれば大胆な選択だったはずだが、本人は「まず試合に出ることを優先した」とそれほど迷わなかったという。「オーストリア2部は今まで自分がプレーしてきたリーグよりレベルが低かった。確かに一回、下がったところには行ったと思います。でもそこから『這い上がった』という感覚はない。一歩一歩成長。そう感じています」と本人は改めて強調していた。
2021年夏にLASKリンツに完全移籍してからは右肩上がりで、UEFAカンファレンスリーグも経験。今季の大ブレイクにつなげた。「ゴールにつながるようなプレーだったり、チャンスメーク、クロスに入って行ったり、ペナルティーエリア付近でのプレーが自分の魅力なので、そこに磨きをかけてきたかなと。ただ、A代表に関しては、今季自チームで活躍して、夏に移籍してステップアップしてからかなと正直思っていたので、このタイミングで呼んでいただいてめちゃくちゃ嬉しい。何とか生き残れるように頑張りたいです」と本人はようやく巡ってきたチャンスをつかみ取ろうと躍起になっている。
ただし、今すぐ三笘に真っ向勝負できるとは考えていない。欧州で5シーズン目を過ごしている彼には、イングランドとオーストリアの実力差は嫌と言うほど分かっているはず。「三笘選手は世界一のリーグで得点やアシスト、それ以外のプレーも含めて違いを見せている選手。そういう選手と自分はちょっとまだ比較はできないと思うので、ライバルと言う感覚はないです」というコメントが口を突いて出るのも理解できる。とはいえ、中村はもともと野心溢れる男。このまま黙っているわけがない。少しでも爪痕を残して代表残留への布石を打ち、夏にステップアップしてから本格的に左サイドのポジションを狙いに行くという思惑はもちろんあるだろう。現にリヴァプールなどが食指を伸ばしつつあるという報道も出ている。今回のウルグアイ・コロンビア2連戦で出場時間がどのくらい与えられるかは分からないが、ピッチに立ったらアグレッシブにゴールに突き進むこと。それが高い領域に辿り着く近道である。本人も「やってやろう」という気持ちは非常に強いはずだ。「安パイなプレーをしてミスなしでいくよりかは、ミスになったとしても何かトライしていきたいですね」と彼自身、飽くなき闘志を燃やしている。
今回は中村を筆頭に菅原由勢、瀬古歩夢、谷晃生、藤井陽也と2000年生まれが複数名を連ねている。ドイツで5部から1部に這い上がった上月壮一郎も含めて言えることだが、彼らの世代は貪欲さとアグレッシブさが頭抜けている。それも、U-15世代の頃から森山佳郎監督に「お前らみんな消えるよ、さよなら」と言われ続け、インドネシアやインド、ウズベキスタンといった異国に遠征してタフさを養ってきたから。しかも久保建英という1つ年下のスターがいたため、「タケには負けられない」という負けじ魂も培われたのだ。「2000年の子は異常に自己主張する子が多かった。みんな強烈に要求しあったし、ハーフタイムにとケンカみたいになることもあって、僕が『静かにしろ、落ち着け』と言ったくらいです」と森山監督も苦笑していたほどだ。個性の強い仲間たちとともにA代表を盛り上げ、中村自身も主力の一人になれれば理想的。「今回、代表に来る時、正直めちゃくちゃ緊張してきたけど、00でやった仲間が一緒にいるのはすごく嬉しい。みんなチームで試合に出てちょっとずつ結果に反映されてきた。それを代表でもやっていきたいですね」とゼロからのスタートを誓う中村。まずは強気のアタックを見せ、力強いA代表キャリアの一歩を踏み出してくれることを切に願いたい。
取材・文=元川悦子
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