スズキ、ジクサーSF250/250は若年層がターゲット。油冷エンジンを採用した理由や開発コンセプトは?
スズキ株式会社は3月19日、新型コロナウイルスの感染拡大を懸念し、オンライン上で新商品説明会を行い『ジクサーSF250』と『ジクサー250』の発売日や価格を発表し、開発コンセプトやエンジン仕様を説明した。
ジクサーは、インドを拠点に2014年から販売がスタートし、国内では2017年1月に初代モデルのジクサー150が発売開始。2020年1月にはフルモデルチェンジを果たし、車体の剛性アップとABSを装備して現在発売されている。
そのジクサーのシリーズ化を目指して、スズキは250ccクラスの『ジクサーSF250』と『ジクサー250』をラインアップに追加した。Straight-Ahead Sport Bikeをコンセプトに、日々の通勤通学からツーリングなどの多用途に対応する汎用性をもたせながら、ライトウエイトスポーツバイクとしてスポーツ走行も楽しめることを目的として開発された。
このコンセプトにより、最新のトレンドを取り込んだスタイリングデザインや、快適で扱いやすい車体はジクサー150をベースに、フレームやスイングアームの剛性などすべてが見直されている。
■油冷SEPエンジンを搭載したジクサー250
近年、単気筒エンジンが主流だった250cc市場だが、現在は2気筒や4気筒エンジンを積むハイパワーマシンを各メーカーが開発している。しかし、ジクサーSF250/ジクサー250は油冷単気筒エンジンを搭載している。
昨年開催された第46回東京モーターショー2019で初お披露目されたことで、詳細が明らかになったこの2モデルは、249cc油冷4サイクル単気筒SOHC4バルブエンジンを搭載することで注目を集めた。
ジクサー150が空冷エンジンなのに対して、今回発表された2モデルは新開発の油冷SEPエンジンに仕様変更。“SEP”はスズキ・エコ・パフォーマンスの略称であり、低燃費を実現しつつ、高出力にも貢献する小さくて軽量なエンジンだという。
油冷システムはスズキが初めて量産化に成功したもので、1985年販売のGSX-R750から2008年生産終了のGSX1400まで23年間生産されてきた。しかし現在は、より高パフォーマンスな水冷方式が主流となり多くのバイクが取り入れている。
そんななかでスズキが再度油冷に着目した理由は、超高性能エンジンでない限り二輪車は空冷でも冷却が可能だからだという。新設計の油冷システムは、新しく生み出したピストンや小型ヘッドにより、高出力で燃費が良く、部品が少ない軽量なエンジンへと仕上がった。
また、水冷では冷却水関係のメンテナンスが必要だが、油冷はこれが不要だという利点もある。ほかに、オイルクーラーに電動ファンが装着されているため真夏の渋滞でも安心だという。
ジクサーの250ccエンジンは同社のGSX250Rのエンジンと比較すると2馬力高く、最高出力は26馬力/9,000rpm、最大トルク22Nm/7,300rpmを発揮。高回転域でのパワーや快適な車体に仕上がっており、GSX250Rより20kg軽量された。158kg(ジクサーSF250)の軽量な車体は、低重心なエンジンにより引き起こしやハンドリングが軽くなるようだ。
より軽快で凝縮感のあるネイキッドのジクサー250と、伸びやかで精悍なフルカウルのジクサーSF250。共通パーツも多い両モデルだが、ハンドルポジションや、LEDヘッドライトはそれぞれ専用のものが取り付けられ個性が異なる。
■若年層をメインターゲットに最適な価格へ
年間販売計画台数は両モデルをあわせ1800台。ジクサーSF250は発売日は4月24日で、メーカー希望小売価格は48万1800円。ネイキッドモデルのジクサー250の発売日は6月17日で、メーカー希望小売価格は44万8800円となる。
ジクサーSF250とジクサー250は若年層をメインターゲットにしており、ベテランユーザーにも納得してもらえる価格に設定された。53万6800円のGSX250Rと比較すると最適な価格設定にできたと開発者は語った。
ほかに、男女混成のダンス&ヴォーカル&DJグループのlol(エルオーエル)のメンバーが、普通二輪免許を取得して、その経験をSNSで発信していくプロモーションを行っていくという。免許取得後は、ドラマ形式でWEB動画を展開していくようだ。
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