86/BRZ第1戦:2019年シーズン開幕戦鈴鹿は全クラスで初ウイナー。プロクラスは“痛車”が制す
鈴鹿サーキットで幕を開けた、2019年のTOYOTA GAZOO Racing 86/BRZレース。プロフェッショナルシリーズでは松本武士(T和歌山OGAWA 86 DL)が優勝し、そしてクラスが二分化されたクラブマンシリーズではEXPERTクラスを水野大(GRG新大阪86デルタ&ピース)が、OPENクラスを湯川祐太朗(C名古屋GRガレージ86)が制し、3クラスともに初優勝が飾られている。
プロドライバーが参戦するプロフェッショナルシリーズとアマチュア主体のクラブマンシリーズのふたつで構成されている86/BRZレースは、2019年からクラブマンシリーズに2クラス制を導入。EXPERTクラスとOPENクラスに分けられることになった。
土曜日のうちに予選、決勝が行われたOPENクラスでは、岡田整(AGIC MAXORIDO 86)がポールポジションを奪い、決勝でもスタートを決めるも、後続を振り切るまでに至らず。早めの勝負に討って出た石塚弘晃(トヨタカローラ三重86)が、2周目のシケインでトップに躍り出る。だが、石塚には駆動系のトラブルが発生。3周目のダンロップコーナー脇でマシンを止めた。
これで岡田がトップに返り咲くも、続いて襲いかかってきたのが予選4番手だった湯川。「岡田さんはフラフラしていたし、得意なコーナーだったので」と4周目のダンロップコーナーでインを刺し、トップに浮上してからは、湯川がそのまま逃げていった。
一方、岡田にはなおも後続が迫り、最終ラップのシケインで堪えきれずに4番手に後退。うち1台はショートカットのペナルティで降格となり、岡田は志賀俊方(c.s.i GR水戸北インター86)に次ぐ3位となったが、表彰台には上がれなかった。
EXPERTクラスでは水野がポールポジションを獲得。だが、神谷裕幸(N中部GRGミッドレス86)が僅差で続き、また昨年の最終戦を制した、大島和也(Team MDI/P京都WM 86)が3番手につけており、決勝も接戦となるものと思われた。
スタートを決めたのは神谷で、1コーナーには水野を従え、トップで飛び込んでいく。その直後に大島が追突されて、あえなくリタイアとなったのは予想外ではあったが……。
S字でもアクシデントが発生したこともあり、セーフティカーランが2周にわたって実施。トップを争うふたりはリスタートも完璧に決め、水野は神谷に食らいついて離れず。だが、5周目のシケインで神谷に痛恨のシフトミス。この隙を逃さず、ストレートで前に出た水野は、なおも続いた神谷との攻防を最後までしのいで、嬉しい初優勝を飾ることとなった。
「今まで4位が最上位で、寸止めばかりだったんです。スタートが今イチだったし、展開に恵まれました。SCが出なければ、多分厳しかったでしょう。次からは単独で逃げられるように」と水野。
■プロフェッショナルシリーズは予選赤旗で波乱
プロフェッショナルシリーズの予選は、開始早々にアタックしたドライバーのなかで、体制一新の脇阪寿一(Owltech 86)がトップに立って注目を集めるも、やはり路面状態の向上で後半アタック組が有利だったよう。最後の最後に逆転を果たしたのは近藤翼(神奈川トヨタ☆DTEC86R)で、さらに松本も2番手に浮上。寿一は3番手となった。
一方、ディフェンディングチャンピオンの谷口信輝(KTMS 86)はアタック中に赤旗が出てしまう不運に見舞われた。再度アタックをかける時間はあったものの、すでにタイヤのピークは過ぎていたようで、10番手に甘んじてしまう。
決勝ではまたもスタート直後にアクシデントが発生。S字、ダンロップで相次いでアクシデントが発生したため、セーフティカーが1周入ることに。トップに立っていたのは松本で、近藤は「白線で滑って」出遅れ、そして寿一は堤優威(ADVICSカバナBS 86)に抜かれて4番手に後退。リスタート後は、この4人による激しいトップ争いが繰り広げられる。
おそらく過去において相見えたことはないだろう4人だったが、そのバトルはいたってクリア。特に松本にとっては86/BRZレースでトップを走るのは初めてながら、スーパー耐久やランボルギーニ・スーパートロフェオで激戦を経てきた経験が大いに生かされることに。「後半タイヤがきつくて防戦一方だったんですが、最後まで耐えきれて良かったです」と松本。
近藤、堤、寿一の順でゴールしたが、その背後につけていたのはなんと谷口だった。「予選の赤旗がすべて。もう少し前から走れていたら、また違っていたよね」と、谷口は連覇への手応えを、かすかに感じ取っていたようだった。
2019年の86/BRZレース、第2戦は4月20〜21日に富士スピードウェイで行われる。
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