プレッシャーに強いスイング 畑岡奈紗は“右ヒジ維持の右サイド上げ”【石井忍のスイングチェック】
畑岡奈紗のドライバースイングを解説していく(撮影:福田文平)
2024年の米国女子ツアーに挑戦している日本勢のドライバースイングをツアープロコーチの石井忍が解説。今回は畑岡奈紗のスイングを深掘りしていく。
日本ツアー6勝、米ツアー通算6勝を挙げている日本のエース。2016年の米女子ツアーのQTで14位に入り、翌年から米国を主戦場に戦っている畑岡。18年の「ウォルマートNWアーカンソー選手権」では、当時大会最少スコアを更新するトータル21アンダーで回り米ツアー初優勝を遂げた。現在も、女子世界ランキングで日本勢トップをキープしている。
そんな畑岡のスイングについて石井は「アドレスでは適度な脱力感があってとてもいいです。軸を1本に保ったまま体の回転でボールを捉えていく。プレッシャーがかかるシーンでも強いですね」と話す。
体の回転でボールを捉えていくというのは?
「まず、バックスイングの初動が手先ではなく、体で上げています。肩の回転と骨盤の回転する方向が同じ角度で回っているから前傾が維持できるんですね」
畑岡の場合、アドレス時の肩と骨盤の角度がキープされたまま、同調して回転をしていく。スイング中に前傾姿勢を維持できる要因はそこにあった。
石井はダウンスイング時の右ヒジの位置と、フェースの向きにも注目する。
「ダウンスイングのときに右ヒジが下がり過ぎてしまうと、クラブが立ってしまい飛ばなくなるんですが、畑岡さんの場合は切り返した時に高い位置をキープできているのでとてもいいですね」
他にも特徴的なところがあった。
「体の回転だけでインパクトを迎えたときにスクエアになるような、手元が腰の高さにあるときにフェース面が正面に向いている下ろし方よりややオープン。意図して開いているわけではなく、ニュートラルに動かして、最後に右サイドを上げていくことでボールをつかまえています。大きな筋肉でつかまえてるような感じです」
右サイドを上げてつかまえるというのは「右腰、右肩が上がっていきながらつかまえているんです。テニスや卓球のドライブをかけるような動きに似ています」ということ。
右ヒジの位置を維持しながら、最後に右肩と右腰の位置を少し高い位置で回転させて打っている。そこに畑岡の非凡さがあるのだ。
■石井忍(いしい・しのぶ)1974年生まれ、千葉県出身。東京学館浦安高等学校、日本大学のゴルフ部で腕を磨き、98年プロテスト合格。2010年にツアープロコーチとして活動を始め、多くの男女ツアープロを指導。また「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアへの指導にも力を入れている。
<ゴルフ情報ALBA Net>
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