開幕までに知識を増やそう。カーナンバーとチーム名の由来を知る:apr
新型コロナウイルスの感染拡大に揺れる国内モータースポーツ界。2020年はGT500クラスへのクラス1車両の導入、年間2戦の海外開催、熾烈さを増すGT300クラスなど数多くのトピックスがあったスーパーGTも、開幕から3戦が延期となってしまった。ただ開幕を前に、ちょっぴり知識をつけておけば、来たる開幕がより楽しく迎えられるはずだ。そこで、不定期連載となるがスーパーGT参戦チームのチーム名とカーナンバーの由来をお届けしよう。第5回目は、GT300クラスに2台のTOYOTA GR SPORTS PRIUS PHV apr GTで参戦する、aprだ。
■apr
・#30
マシン:TOYOTA GR SPORTS PRIUS PHV apr GT
ドライバー:永井宏明/織戸学
カーナンバー:30
監督:金曽裕人
タイヤ:ヨコハマ
・#31
マシン:TOYOTA GR SPORTS PRIUS PHV apr GT
ドライバー:嵯峨宏紀/中山友貴
カーナンバー:31
監督:金曽裕人
タイヤ:ブリヂストン
レーシングチームとしてだけでなく、コンストラクターとしても活動するaprが、スーパーGTの前身であるJGTC全日本GT選手権に参戦を開始したのは2000年から。もともとチューニングメーカーのアペックスの立ち上げメンバーだった現apr代表の金曽裕人が中心となり、1998年からアペックスとしてJGTCに参入した。
ただこの年はつちやMR2が年間6戦中5戦を飾った年で、99年、金曽代表は抱えていたスポンサーや新田守男/高木真一とともにつちやエンジニアリングに“弟子入り”。レーシングカー作りを学び、新田がチャンピオンを獲得した(このあたりのくだりは、レーシングオンNo.503に詳しい)。
2000年、アペックスとTRDは当時発売されたばかりのトヨタMR-SをGT300に送り出すことになるが、同年アペックスは事業拡大のため、レース部門を独立させた。そして生まれたのがaprだ。語源は“アペックス・レーシング(A’PEX Racing)”の略だが、現在はaprの社名は『株式会社 エー・ピー・アール』となっており、それぞれ完全に独立していて関係はない。
こうして生まれたaprはGT300のトップチームとして戦い、2002年には新田/高木組が、2005年には佐々木孝太/山野哲也組が、2007年には大嶋和也/石浦宏明組がチャンピオンを獲得。また、結果はもちろん多くのトップドライバーを育てた名車MR-Sの後にも、ASLガライヤ、カローラアクシオ、プリウスGT、そして現在のTOYOTA GR SPORTS PRIUS PHV apr GTと、数多くのマシンを生み出してきた。
そんなaprのエースナンバーは、今も使われる『31』だ。金曽代表にこの由来について聞くと意外な返答が来た。
「僕が31歳で独立して社長になったから。それと、トヨタ勢のカーナンバーは30番台が多く、『いつかはトヨタで一番を』という思いから」と金曽代表。
またもう1台の『30』だが、本来31をエースナンバーとして連番とするなら、『32』が理想的。ただ金曽代表によれば「『32』と『23』はニッサンの番号だから」と聞かされてきたからだという。たしかに、JTCC全日本ツーリングカー選手権の頃は、ニッサン勢が32を使っていた。
■apr思い出のマシン、ガライヤとアクシオのカーナンバーの由来
では、これまでaprで使われてきた30/31以外のカーナンバーにはどんな由来があるのだろうか。キャラクターとのコラボレーションだった2006〜2007年のTOYSTORY Racing MR-Sの『101』、2008年のLightning McQueen apr MR-Sの『95』はすぐに分かるが、特に気になるのは、ARTA Garaiyaの『43』と、カローラアクシオ時代の『74』ではないだろうか。
2000年代のGT300の主役の一台と言えるARTA Garaiyaは、2003年からJGTCに参戦。一時休止する時期もあったが、2012年まで活躍した。もともとのベース車両は、オートバックス・スポーツカー研究所(ASL)が開発したASLガライヤだが、『43』の由来はここにあるという。
1969年、富士スピードウェイで行われた日本グランプリのGP-IIクラスに、オートバックスの前身である富士ドライブショップが投入したレーシングカーが、オートバックスの創業者住野利男氏の思いがこもったマシン、『カーマン・アパッチ』だ。結果こそ残ってはいないが、この時のカーナンバーが『43』。オートバックスのひさびさのオリジナルマシンであるARTA Garaiyaには、このカーナンバーが使われることになった。
そして、新田や嵯峨宏紀、そして井口卓人や国本雄資、山内英輝や松浦孝亮などそうそうたるメンバーがドライブしたカローラアクシオだが、1台は31を、そしてオレンジ色のマシンは『74』をつけていた。
この74という数字は、当時の全国のカローラ店の販社の数が74だったことにちなむ。74のカローラ店が一致団結したマシンがこのアクシオで、オレンジ色もカローラ店のイメージカラーだ。
これまでもスーパーGTファンの脳裏に鮮烈に残っているマシンが多いapr。2019年はFR化したTOYOTA GR SPORTS PRIUS PHV apr GTは思わぬ苦戦を強いられたが、今季は巻き返しの一年になるはずだ。
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