開幕までに知識を増やそう。カーナンバーとチーム名の由来を知る:R&D SPORT
新型コロナウイルスの感染拡大に揺れる国内モータースポーツ界。2020年はGT500クラスへのクラス1車両の導入、年間2戦の海外開催、熾烈さを増すGT300クラスなど数多くのトピックスがあったスーパーGTも、開幕から5戦が延期となってしまった。ただ7月の開幕を前に、ちょっぴり知識をつけておけば、来たる開幕がより楽しく迎えられるはずだ。そこで、不定期連載となるがスーパーGT参戦チームのチーム名とカーナンバーの由来をお届けしよう。第9回目は、GT300クラスのR&D SPORTだ。
■R&D SPORT
マシン:SUBARU BRZ R&D SPORT
ドライバー:井口卓人/山内英輝
カーナンバー:61
監督:本島伸次
タイヤ:ダンロップ
まだ周囲に多くのJAF-GTマシンやFIA-GT2マシンも参戦していた2012年、GT300クラスに投入されたのがSUBARU BRZ R&D SPORT。多くの改良を受けながら参戦を続け、2020年は9年目のシーズンを迎えることになるが、トップクラスの実力を保ち続け、熱心なスバリストたちの声援を受ける人気のマシンの一台だ。
そんなSUBARU BRZ R&D SPORTを走らせるのが1991年に設立されたR&D SPORT。もともと、1981年に設立された東京R&Dのレース部門として(現在は資本関係はなし)本島伸次代表によって立ち上げられ、90年代は全日本F3000に参戦するアドスポーツやナビ・コネクション、レイジュンなどのメンテナンスを担当してきた。
そして2001年、R&D SPORTはスーパーGTの前身であるJGTCに参戦を開始する。1年間のポルシェでの活動の後、2002年第2戦にデビューしたのが、東京R&Dのライトウェイトスポーツカー、RD180を流用したヴィーマックRD320R。R&D SPORTとモーラが共同で開発したマシンは、柴原眞介/密山祥吾のドライブでデビューウイン。GT300の世界に衝撃を与えた。
2003年には、ザイテックエンジンを積んだRD350RでGT500クラスに挑戦したが、3メーカーの壁はあつく、2004年に無限MF408エンジンを積んだRD408Rの開発に費やし、最終戦のみ参戦。いずれも成績は残らなかったが、ここで積まれた経験が後に活きることになる。また、ヴィーマックも多くのチームに愛用されるマシンとなった。
RD350RやRD408Rはその後WILLCOM R&D SPORTとしてチームのスーパーGT参戦に使用され、GT300のトップチームとして活躍するが、2009年途中からスバル/STIとのコラボレーションで、新たにR&D SPORT LEGACY B4を送り込むことになった。AWDの意欲的なマシンは、2010年にはFRに換装され鈴鹿で山野哲也/佐々木孝太のコンビで初優勝を飾る。ちなみにR&D SPORTのマシンが鈴鹿を得意とするのは、2012年にレガシィの後を受けて参戦を開始したBRZにも受け継がれていった。
さて、そんなR&D SPORTのエースナンバーである『62』の由来について本島伸次代表に聞くと、「原子番号ですよ(笑)」という。原子番号というのは、元素の一覧として周期表に記載される科学用語。1は水素で元素記号はH、2はヘリウム(He)、3はリチウム(Li)とされ、118まである。
そのなかで原子番号62は、サマリウムという金属。サマリウムコバルト磁石などに用いられ、モーターやハードディスク等々幅広く使用されるものだが、その元素記号はSm。つまり、本島代表のイニシャルなのだ。
こうして62番がR&D SPORTのエースナンバーとなり、メンテナンスを担ったレイジュンが63や、密山/谷口信輝のコンビで参戦したアネブルが61を使ったことはあるが、ヴィーマック、レガシィまで62が使用される。
しかし2012年から参戦したBRZからは、数がひとつ減り『61』が使用されることになった。これについて本島代表は「スバルさんの意向」だという。気になる意味については、ファンならばピンときている方はいるかもしれないが、スバル=六連星が一番に……という意味が込められているよう。
2019年はまさかの未勝利に終わり、チームも井口も山内も、今季にかける意気込みは強い。新たにチェリーレッドが増えたカラーリングとともに、ひさびさの勝利を狙う。
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