知ってるようで知らないマスターズ豆知識「本当はオーガスタで全米OPを開催したかった」
1934年に開催された第1回大会。8番グリーンでパッティングをするボビー・ジョーンズ(撮影:GettyImages)
いよいよ4月11日(木)からオーガスタナショナルGC(米国・ジョージア州)で、マスターズが始まる。2021年大会で日本人初優勝を果たした松山英樹の活躍も気になるところだが、マスターズといえばコースや歴史など、さまざまな逸話が存在する。ここでは知っているとテレビ観戦がさらに面白くなり、ゴルフ仲間にも自慢できるマスターズの歴史を振り返ってみよう。マスターズ競技委員を2度務めた川田太三氏に話を聞いた。
「マスターズの始まりからお話しましょう。これには、ボビー・ジョーンズはオーガスタナショナルで全米オープンを開催したかったのに、6月開催ができなければダメとUSGAから断られたことが関係しています。オーガスタは避寒地ですから暑い6月はオフシーズン。メンバーもプレーすることはほとんどありません」
「現在も1年の約半分、事実上クローズしています。それでもさしたる影響はなく、5月を過ぎるとメンバーは避暑地や別のホームコース、涼しいスコットランドなどでゴルフをします。クラブはこの間にコース改造を進めるというわけです」
「話を30年代に戻すと、ジョーンズは全米オープンがダメなら自分達で競技を始めようと思い立ちました。それが1934年の春に第1回を開催した『オーガスタナショナル・インビテーション・トーナメント』です。第6回の初日を迎えようとしていた39年、この大会が一躍有名になる出来事がありました」
「3月末、フロリダで大リーグのキャンプ取材を終えた全米各紙の記者達はそれぞれの地元へと帰って行きます。当時の長距離移動は鉄道がメイン。そしてそのルート上にオーガスタがありました。そう、記者達に宿と足を提供して取材してもらったのです」
「大会の評判が全米に知れ渡ったのも、ジョーンズが『そんな名前はおこがましい』と固辞していた通称『マスターズ』が正式名称になったのも、そして開催が4月の第1週になったのも、この寄り道作戦がきっかけでした」
「ジョーンズ自身は当初、出るつもりはありませんでしたが、ホストとして何度かプレーしています。止むことのないファンの熱い要望と周囲の説得を受けての出場だったそうです」
川田太三
かわた・たいぞう/ゴルフ場設計家、評論家。1944年生まれ、東京都出身。オハイオ州立大学留学。帰国後にゴルフを始め、日本アマ、日本オープンに出場。JGA委員、ナショナルチーム団長・監督、海外メジャー競技の競技委員などを歴任。マスターズ競技委員も2度務めた
◇ ◇ ◇
●同伴者と6時間近く一緒に過ごすゴルフでは、空気を読まないといけないシーンが多数存在する。アナタに非がなくても相手の地雷を踏んでしまう可能性も……。関連記事【同伴者のスカートの中が見えそう!「こんなとき、どうする?」】
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