新チームながら一時トップを奪ったTGM大湯都史樹。タイヤアクシデントに見舞われるも魅力的な速さとレースでの課題
今年新チームとして大湯都史樹とジェム・ブリュクバシェのラインアップでスーパーフォーミュラに参戦したTGM Grand Prix。もともと速さに定評のあった大湯が、富士スピードウェイでの第2戦の予選で3番グリッドを獲得すると、レースでは得意のスタートを決めて、ポールポジションの野尻智紀(TEAM MUGEN)にTGR(1)コーナーでアウトから並び、トップを奪う走りを見せた。そのままトップ争いが見られるかと思った矢先、大湯にとってはさまざまな悪循環に見舞われてしまった。
「オープニングでいいスタートが切れて、トップまで出ることができました。ただ、そのあとは結構、セーフティカーが出るまでもペース的には野尻選手に軍配が上がっているような状態でした。野尻選手が自分に近づくと高速コーナーではダウンフォースが抜けたりもするので、その部分でなんとか抑えられていた感じで、僕のクルマのストレートが遅いんですけど、抑えるのは大変でした」と、スタート直後の序盤戦を振り返った大湯。
それでも、トップ走行のオープンエアによるダウンフォースの恩恵を活かして、少しづつ2番手野尻との差を広げ、大湯の展開に持ち込めているような流れに見えた……が、7周目のTGR(1)コーナーでジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM’S)と太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が接触し、アレジがストップしてしまったことでセーフティカー(SC)が入ったことから大湯の状況が急展開された。10周目からのタイヤ交換義務でほぼ全車がピットインすることになったのだ。
「あのセーフティカーのタイミングは『ちょっと勘弁して』という感じでしたね。案の定、みんな同時にピットに入ることになって、ピット作業で軍配が決まるという状況になってしまいました」
「ピット作業自体は悪くはなかったのですけど、結局、ピットの場所の問題(ピット順は1コーナー側から昨年の成績順でTGMは真ん中より最終コーナーより)で、作業が終わっても後ろから(ファストレーンに)来ているので、なかなか(ファストレーンに)入れなくて、野尻選手に前に行かれた感じでした」
この時の状況を、大湯担当の上城直也エンジニアが振り返る。
「ピットストップではメカニックがいい作業をしてくれたのですけど、後ろからどんどん来て、前のピットのトムスのクルマともタイミングが合ってしまって、そこで出したら交錯するので、メカニックがきちんと見てくれていました」
混雑するピットアウトを無事にクリアしたものの、結果的に2番手でコースに復帰することになった大湯。ストレートでは野尻の方が速いため、再スタートのワンチャンスに臨みをかけた。
「やっぱり野尻選手の方がペースが速そうでしたので、あのピットで前に行かれたら、もうセーフティカー明けしかチャンスはないと思って、なんとか最終コーナーからベタベタに後ろにくっつけれたんですけど、やっぱりストレートがあまり伸びていなくて。たぶん、あそこまでビタビタにつけていたら普通なら抜き切れていると思うんですけど、僕はそこからの伸びがない状態だったのもあって、もう、並びきるところまでも行けなかったですね」
「それでなんとかブレーキングで行くしかないというところになって、あれで止まり切れていたら良かったんですけど、ちょっと無理があった。ちょっとしたタイヤロックだったんですけど、そこで若干フラットスポットができたことと、それプラス、もともとフロントタイヤをいじめがちなセットアップになっていたこともあって、どんどんフロントが厳しくなりました」
14周目に坪井翔(P. MU/CERUMO・INGING)にポジションを奪われて3番手となった大湯は20周あたりから急にペースが厳しくなった。タイヤのグリップがなくなってしまい、右フロントタイヤはトレッド面が剥離している状態で、緊急ピットインを余儀なくされ、そこで実質、大湯のレースは終わり、11位フィニッシュ。
「ポールを取りたい気持ちはありますけど、予選はしっかり前に行けていますし、決勝もちょっとペースが悪いにしても、なんとか抑えられるくらいのところにセーフティカー前くらいまではいたので、そういう意味でポジティブに終われた週末かなと思います」と第2戦の良い面を振り返る大湯。
「ただ、普通のタイミングのセーフティカーとか、入るにしても、普通にレースができていればたぶん、勝てていたと思うので、非常に悔しさ満点のレースでした」
改めて、野尻とのトップ争いでセーフティカーが入っていなかったタラレバを聞いた。
「(野尻選手を)抑え切れていたと僕は思います。あの展開になったことで、すべてが良くない方向に行っちゃいました」
上城エンジニアもタラレバを聞いた。
「セーフティカーが出なければ、ストレートが少し伸びない状態ではあったのですけど、なんとか抑えて、上位では終えられていたと思いますので、ちょっとアンラッキーが続いたレース展開だったかなと思います」
その上城エンジニアにドライバーとしての大湯の特徴について聞いた。
「端的にいうと、やっぱり速いです。エンジニアリング面ではセットアップがちょっとズレていても、速いタイムで乗ってきてくれる。それでもいろいろ気になる部分をきちんと直してあげたら、本当にトップ3に入るくらいのタイムで帰ってきてくれる。エンジニア的にもやりがいがあるドライバーですし、かなり魅力的なドライバーだと思いますね」
課題のレースペースを改善できれば、決勝でも優勝争いの常連になりそうなポテンシャルの高さを見せたTGM Grand Prixと大湯都史樹。第3戦の鈴鹿は大湯の得意なサーキット、果たしてどんなパフォーマンスを見せてくれるだろうか。
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