ブランパンGT:アウディと17年王者ランボルギーニが開幕勝利。レクサスは苦しい週末に
ヨーロッパで人気を博すGT3レース、ブランパンGTシリーズが4月6〜8日、ベルギー・ゾルダーで開幕。スプリントカップ第1戦として行われた2レースでディフェンディングチャンピオンのGRTグラッサー・レーシング・チームの63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3(ミルコ・ボルトロッティ/クリスチャン・エンゲルハート組)、アテンプト・レーシングの66号車アウディR8 LMS(スタイン・ショーホースト/ケルビン・バン・デル・リンデ)が勝利を分け合っている。
日欧の自動車メーカー7社のGT3マシンが集結し覇を競う2018年のブランパンGTシリーズ・スプリントカップ。その開幕戦は昨年、スタート直後に多重クラッシュが発生したゾルダーが舞台となった。
7日(土)に行われたレース1では、前日の予選でポールポジションを獲得したベルジャン・アウディクラブ・チームWRTの2号車アウディR8を先頭に概ねクリーンなスタートが切られた。
コース幅が狭くオーバーテイクが難しいゾルダーでは、動きの少ないレースとなることが多いが、今季もその性格は変わらず。スタート直後から2番手スタートの63号車ランボルギーニ、予選3番手のベルジャン・アウディクラブ・チームWRTの1号車アウディR8のトップ3台が数秒間隔で並ぶ静かな戦いが繰り広げられていく。
そうしたなかで迎えたレース中盤、60分レースのスタートから25分から35分までの10分間に限って許されるピット作業時間が訪れると、このタイミングで1秒差で2番手を争っていた63号車ランボルギーニと1号車アウディが同時にピットイン。
このピット対決では順位に変動は起きなかったが、翌周、首位を走る2号車アウディがピットに戻りコースに復帰していくと、エンゲルハートからバトンを引き継いだボルトロッティ駆る63号車ランボルギーニが、ピットレーンからコースに合流してきた2号車アウディを僅差で逆転。レース中盤で首位に躍り出ることに成功した。
昨年のシリーズチャンピオンはそのままリードを広げ、最後はウィル・スティーブンスがドライブする2号車アウディを3.4秒引き離してトップチェッカー。3位は1号車アウディ、4位は5番手スタートの66号車アウディ、5位には2017年のスプリントカップ王者のベルジャン・アウディクラブ・チームWRTの17号車アウディR8がつけた。6〜7位にもランボルギーニとアウディが入り、開幕戦レース1はウラカンとR8の兄弟車がトップ7を独占する結果となっている。
「シーズン開幕戦でこれ以上ないスタートを切れてうれしいよ」と語ったボルトロッティは、「アウトラップもうまくいったが、クリスチャン(・エンゲルハート)のインラップとチームの素晴らしいピット作業によってウィル(・スティーブンス)の前に出ることができた」と勝因を語っている。
昨年までは決勝レース1の結果がそのままグリッド順位となっていたレース2は、今季から金曜日に行われる予選2回目の結果でスタート順が決定するフォーマットに変更されているが、8日(日)のポールは63号車ランボルギーニが獲得。2番手に2号車アウディが入り、奇しくもレース1でトップ争いを繰り広げた2台がフロントロウに並ぶこととなった。
迎えた決勝は、3番手スタートとなった66号車アウディのバン・デル・リンデが1コーナーでスティーブンス駆る2号車アウディを攻略して2番手に浮上。トップの63号車を追いかけていく展開となる。
しかし、ペースでは王者ボルトロッティが勝り、時間の経過とともに2台の差は大きくなっていく。スタートから25分後のピットウインドウ・オープン時までにそのギャップは8秒にまで広がっていた。
トップをキープするのに十分なマージンを築いた63号車ランボルギーニはピットウインドウ・オープンから1周後にピットに戻るが、ここでシートベルトがはまらないアクシデントが発生。同時にピットボックス入ってきた3番手の2号車アウディに先行を許してしまう。
その後、暫定首位に立った66号車アウディがピットに戻りドライバー交代後、コースに復帰すると、先にピット作業を終えていた2号車アウディがアンダーカットを成功させトップに浮上する。
その後、2号車アウディを駆るドリス・バンスールは後続に9秒あまりのギャップを築くが、チェッカーまで残り22分となったところで無情にもドライブするーペナルティを科されてしまう。バンスールはピットアウト時に、ピットレーンに置かれたパイロンをなぎ倒しながらマシンを発進させていた。
また、首位から4番手に後退した63号車ランボルギーニもピット作業違反によりドライブするーペナルティを受け、大きくポジションを落とすこととなっている。
上位陣の相次ぐ脱落によってチャンスを得た66号車アウディは、レース残り20分あまりを危なげなく走り切ってトップチェッカー。うれしいチーム初優勝を決めた。
2位はAKKA ASPの88号車メルセデスAMG GT3、アンドレア・カルダレッリを擁すGRTグラッサー・レーシング・チームの19号車ランボルギーニ・ウラカンGT3が3位に入ったことでレース2はトップ3を3メーカーが分け合う形となった。
2018年シーズンからフル参戦を開始したエミール・フレイ・レーシングの2台のレクサスRC F GT3はいずれのレースでも苦戦。14号車レクサスはレース1のスタート直後にコースアウトしフロントにダメージを負ってリタイアとなったほか、レース2でも周回遅れになるなど波に乗れず。僚友114号車レクサスも2レースを通して13位が最高位と厳しい船出となっている。
ブランパンGTシリーズ次戦、エンデュランスカップ第1戦は4月20〜22日、イタリア・モンツァで開催される。エンデュランスカップではニッサン、ポルシェ、マクラーレンなども戦いに加わる予定だ。
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