【F1チーム代表の現場事情:メルセデス】2026年まで復活は困難か。衰退ムードに歯止めをかけるべく奮闘するウォルフ
大きな責任を担うF1チーム首脳陣は、さまざまな問題に対処しながら毎レースウイークエンドを過ごしている。チームボスひとりひとりのコメントや行動から、直面している問題や彼のキャラクターを知ることができる。今回は、メルセデスF1チーム代表トト・ウォルフに焦点を当てた。
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2024年のF1カレンダーを考えると、一部のグランプリには出席しないと決めたチーム代表がいるのは不思議なことではない。オーストラリア、日本、中国の3戦には、長距離フライトが複数回必要となり、自宅から長期間離れて過ごさなければならない。
そうしたことから、メルセデスのチーム代表トト・ウォルフは当初、日本GPの週末は、鈴鹿には行かずにヨーロッパから指揮を執るつもりだった。特に新しいアプローチではないものの、今年のメルセデスが困難なスタートを切ったことで、ウォルフのその計画は英国メディアの間で大きな注目を集めてしまった。結局ウォルフはプランを変更し、鈴鹿に行くことを決めた。
「ヨーロッパ(の本拠)でやることがたくさんあるため、日本には来ないつもりだった」とウォルフ代表は説明した。
「しかし日本に行かないのは間違った選択だと感じた。レースチームと一緒にいることも重要だと思ったのだ。現場の活動をそばで見ることも、私にとっては良いことだ。今、我々はいくつかの実験をしている。そういう時にチームと一緒にいることによって、エネルギーをもらうことができるのだ。チームのメンバーもそうであることを期待している。そうしたわけで、私はヨーロッパにとどまるという計画を取りやめた」
日本GPの初日は、メルセデスにとってポジティブな一日となった。今年、メルセデスはフラストレーションの募る週末を過ごしてきたが、ルイス・ハミルトンは日本GPの金曜日にポジティブな感触を持つことができたのだ。予選でハミルトンは7番手にとどまったが、それでもW15のパフォーマンスとハンドリングの良さを指摘し、それまでよりも自信を持って攻めることができ、楽しんで走っていると述べていた。
そういった日に現場にいたことは、ウォルフにとって良いことだったはずだ。それ以外にも、サーキットにいることが重要な理由はあった。ウォルフは来年に向けて、ハミルトンの後任ドライバーを探さなければならない。ドライバーマーケットは非常に流動的であり、それについての詳しい情報を常につかんでいる必要があるからだ。
理想的には、メルセデスはジュニアドライバーのアンドレア・キミ・アントネッリを起用したいところだろうが、それができない場合に備えて、他の選択肢についても検討し続ける必要がある。
そういった点において、ウォルフが鈴鹿を訪れたことには大きな意味があった。とはいえ、決勝日には彼は、自分の決断を多少後悔していたかもしれない。メルセデスは赤旗後にハードコンパウンドタイヤでの1ストップを狙ったが、戦略をうまく実行することができず、結局7位と9位という結果に終わった。
チームのそばにいることでエネルギーをもらうことができるし、困難な週末であってもチームをリードしていくことができると述べていたウォルフ代表だが、日本GPの決勝を終えた直後には、メルセデスの復活について悲観的な見方を示した。諦めたわけではないものの、今年も、そしておそらく来年になっても、マックス・フェルスタッペンに近づける者はいないだろうと示唆したのだ。ウォルフ代表は、すでに新レギュレーションが導入される2026年について語り始めた。それまでにまだ40戦以上のレースがあるにもかかわらずだ。
「今年、勝つという野心を定める必要があるし、その野心を来年も絶対に手放したくはないと思っている。だが、2026年には大きなリセットがある。そのリセットによって、どのチームにとっても、レッドブルを倒す現実的なチャンスが最も高まるのは間違いないだろう」
「それまでにまだ1シーズンと4分の3シーズンがある。今後の18カ月で大苦戦せずに済むことを願っている」
競争力を発揮できないレースを経るごとに、メルセデスのチームメンバーたちは、衰退をより強く感じるようになってきている。ウォルフ代表は、チームのムードをポジティブに保とうとしているものの、その仕事がますます困難になっている状況だ。
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