勝田貴元、難関ターマックラリーで3年連続の6位完走も「もっといい結果を」/WRCクロアチア
TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの1期生としてコドライバーのアーロン・ジョンストンとともにWRC世界ラリー選手権に参戦中の勝田貴元が、4月20日〜23日にクロアチアで開催されたWRC第4戦『クロアチア・ラリー』にトヨタGRヤリス・ラリー1を駆って出場し、路面コンディションが頻繁に変わる難関ラリーで総合6位完走を果たした。
2021年から世界選手権のカレンダーに組み込まれ、WRCの一戦としての開催は3年連続3回目となった今回のクロアチア・ラリー。首都ザグレブ周辺を舞台とするステージは、舗装のコンディションが頻繁に、そして大きく変わることで知られ、それに伴いグリップレベルも大幅に変化する難しいターマック(舗装)路面が特徴だ。
また、このラリーではコーナーを最短距離で抜けるために多くのドライバーがコーナー内側の未舗装部分を通過する“インカット”を行う。これによって泥や砂利が舗装路に掻き出され、出走順が後方のドライバーに滑りやすいコンディションをもたらしていることも、クロアチア・ラリーがトリッキーなラリーである要因のひとつになっている。降雨に見舞われた2022年大会と比較すると今大会は安定したコンディションであったが、それでも路面の変化を読むことは難しく、多くのドライバーがトリッキーな路面に手を焼くこととなった。
■ウエットタイヤの選択が仇に
勝田は競技初日となった金曜日の朝から順調に走行し、他のマシンがパンクやホイールのダメージによって遅れをとるなかで総合5番手に浮上した。ここまで順調だった勝田だが、午後の最初のステージではスピンを喫してタイムを失い、続くSS6では濡れた路面でのタイム向上を狙って選択したレインタイヤが裏目に出るかたちとなり、総合7番手まで順位を落としてしまう。しかし、その日最後のステージとなったSS8では4番手タイムを記録し、総合6番手のポジションまで挽回することに成功した。
競技2日目の土曜日、勝田はTGR WRTのチームメイトで過去2大会の優勝者であるふたりのワールドチャンピオン、セバスチャン・オジエとカッレ・ロバンペラを含む3人のライバルと総合4番手争いを展開。難しいコンディションのステージで5、6番手タイムを何度も記録する健闘を見せるが、チームメイトのふたりには先行を許し、順位は総合6番手のままとなった。
最終日はボーナスの選手権ポイントが与えられるパワーステージに狙いを定めて臨み、まずは3ステージのうち2ステージで4番手タイムを記録。そして最後のパワーステージも4番手タイムでフィニッシュし、ボーナスの2ポイントを獲得することに成功した。総合では2021年大会、2022年大会に続いて3年連続となる6位での完走だ。
WRCチャレンジプログラムにおいて勝田のインストラクターを務めるユホ・ハンニネン氏は、昨年に比べて勝田とトップドライバーたちとのタイム差はかなり縮まっているとしつつも次のように語った。
「グリップの変化が多いこのようなラリーでもっと自信を持って戦えるように、さらに努力する必要があるね。それでも、ラリーを走り切り、パワーステージでも2ポイントを獲得できたことは、次のポルトガルに向けて良い追い風になったはずだよ」
■ダーティなセクションで自信を持つことも難しかった
難しいラリーでの6位完走という結果に対し勝田は、決して悪い結果ではないとしながらも、もっといい結果を出したいと今後への期待を語った。
「苦しんだ2戦の後に、大きなミスなくクリーンな走りでこのラリーを終えることができて良かったです」
「過去2年間出場して、とても厳しく、難しいコンディションのラリーであることはわかっていました。今年は天気は悪くなかったのですが、それでもどこでプッシュすればいいのか、グリップレベルを把握することが難しく、またダーティなセクションで自信を持つことも難しかったです」
「日曜日のステージはもっともトリッキーでしたが、クルマのセットアップが上手くいったのでフィーリングはかなり良くなりました。クロアチアはこれで3年連続で6位となり、難しいラリーであることを考えればけっして悪い結果ではありませんが、もちろん、もっと改善していい結果を出したいと思っています。次のラリー・ポルトガルを楽しみにしています」
勝田の次戦は5月11日(木)〜14日(日)にポルトガル北部で開催されるWRC第5戦『ラリー・ポルトガル』だ。2023年シーズン2回目のグラベルラリーとなるポルトガルは、2021年、2022年と2年連続で総合4位に入るなど、勝田が得意としているラリーのひとつ。2022年大会では経験豊かなベテランのダニ・ソルド(ヒョンデ・シェル・モビスWRT)と最後まで激しい表彰台争いを展開した。
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