快挙達成のTSRホンダ藤井監督、ル・マン24時間は「あくまで通過点に過すぎない」
2017-2018FIM 世界耐久選手権(EWC)第2戦となるル・マン24時間耐久レースで優勝を挙げたF.C.C.TSRホンダ・フランス。チームを率いる藤井正和総監督は優勝を喜びつつも、ル・マンは「あくまで通過点にしか過すぎない」という。
ル・マン24時間のレースウィーク初日から順調に準備を進めていったTSRホンダ。公式予選初日はジョシュ・フックが1分38秒174、フレディ・フォーレイが1分37秒137、アラン・テシェが1分37秒500、トータル平均1分37秒603で暫定総合2番手につけた。
予選初日でチームの実力、ライバルたちの力が見えてきたというTSRホンダは、最終予選セッションには義務周回をこなすのみでアタックは行わなかった。これは、予選順位にはこだわらず、あくまで決勝レースのみを照準にしたものだという。
迎えた決勝レース、スタートライダーを務めたフレディが好スタートを決め、TSRホンダは序盤で3番手〜4番手の位置を確保する。トップに立ったのは昨年のチャンピオンであるGMT94ヤマハだ。
GMT94ヤマハは、6時間経過の段階で全チームを周回遅れにしていたが、18時間経過を前にしてダビデ・チェカが転倒を喫しマシンが大破。チェカは再スタートを切り、ピットへと戻ったが、トップの座は降りることになった。
これにより、18時間経過前に単独2番手をキープしていたTSRホンダがトップに立つ。TSRホンダは、その後もポジションを守り切りトップでチェッカー。ル・マン24時間耐久レースで優勝という快挙を達成した。
レース後、藤井監督は「遠いフランスの地で、3回目の挑戦となるル・マン24時間で表彰台の中央に日の丸が上がり、君が代を聞いた時は思わず涙がこぼれるくらい震えたね」とレースを振り返る。
「フランス人に成り切らなければ、ボルドールとル・マンというふたつの24時間レースを持つフランス人には勝てない、と真剣に移住を考え、まず自分自身を変えるところから始めた。それが今回の結果につながり、F.C.C.とホンダ・フランスがジョイントしていきなり優勝ということを実現できたと考えている」
また藤井監督は、ル・マンはあくまで通過点であり、最終目標はEWCチャンピオン獲得にあるとコメントしている。
「我々は今年のEWCでチャンピオンになる!ということが目的であり、今回のこのル・マンは優勝とはいえあくまで通過点にしか過ぎません。鈴鹿8耐で日本に戻った時、みなさんの前でチャンピオンを披露できれば、それに越したことはありません」
EWCの24時間レースでは、8時間と16時間の経過時点でボーナスポイントがあり、1位から10位までポイントが加算される。TSRホンダは8時間、16時間ともに2番手で経過しており、さらに優勝したことで58ポイントを獲得。ランキングトップだったGMT94ヤマハを逆転し、チームランキングでポイントリーダーとなった。
次戦のEWC第3戦スロバキアリング8時間耐久レースは5月12日に開催。スロバキアからTSRホンダは、ホンダCBR1000RRのSC59をベースとしたCBR1000RR TSR-EWC仕様から新型CBR1000RR SP2 EWC耐久モデルにマシンを変えて挑む。
最終戦の鈴鹿8耐までは残り2戦。TSRホンダはこのままポイントリーダーを守り、EWCチャンピオンを獲得することができるのか。次戦もTSRホンダの活躍に期待したいところだ。
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