【アイルトン・セナの思い出】PART6:デニス「セナはウイリアムズに移籍するのをある意味で後悔していた」
5月1日で、レース界の伝説アイルトン・セナが死去してから25年になる。1994年のサンマリノGPの週末は酷いものだった。ローランド・ラッツェンバーガーが予選中に事故で死亡し、翌日には決勝レース中に、セナが単独クラッシュで命を失ったのだ。
元マクラーレンの会長兼CEOのロン・デニスは、1988年から1993年にかけてマクラーレンに在籍し、3度の世界タイトルをチームにもたらしたセナについて、多くの思い出を持っている。
これは本シリーズにおける、セナについてのデニスの6回目の談話だ。
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1993年の終わりまでに、セナはマクラーレンを離れ、より競争力のあるウイリアムズに移籍することを決断した。
デニスにとって、アイルトンをウイリアムズに取られるのはどれだけ辛かったのだろう。そして、デニスはアイルトンがマクラーレンに戻ってくると常に期待していたのだろうか?
「その段階でアイルトンは何よりも友人だった。しかし友人としてさえ、感情的に完全に前向きにはなれないだろう」とデニスは語った。
「その時期、私は少々不快で気分を害していた。その前年、アイルトンが提示してきた報酬の要求額が、行き過ぎたものだったからだ。我々はスポンサーにスポンサー料を上げるよう働きかけて、その要求額を確保するのに役立てようと、緊密に働いた」
「彼の報酬は、会社のフリー・キャッシュフローから多くが充てられた。そのため我々はマシン開発するための資金不足に悩むことになった。一方のウイリアムズの状況はというと、ドライバーの報酬は低く、チームはマシンに集中していた」
「正しい考えではないかもしれないが、私のなかでは、チームの開発に不利益を被りつつも、アイルトンの要求額に応えようと2年間を過ごしたのかと感じる部分があった。いっぽうで資金を集中的にマシン開発に充てていたウイリアムズに乗り換えるのかとね。これは負の思考プロセスだ」
「肯定的なことを言えば、私はアイルトンが勝ちたいからレースをしており、勝つための可能な限り最高のポジションを決して逃しはしないということを、完全に理解していた」
「フォードのエンジンを積んだ優れたマシンで5度の優勝を飾るという、大成功だった1993年の終わりに、マニクールにいた時のことを鮮やかに覚えている。我々は古びた邸宅かどこかに泊まっていて、戸外で話をしていた」
「アイルトンがウイリアムズに移籍するのをある意味では後悔していることを、その時の会話から私ははっきりと感じた。なぜなら彼は複雑な感情を抱いていたのだ」
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