「川崎の試合を見ていると正直悔しい」…巻き返しへ、倉田秋が「みんなの道標になる」
サッカーキング2021年5月7日(金)11時50分
“昨季の1位・2位対決”を迎えるが、今季の成績は好対照だ。首位を快走する川崎フロンターレに対し、ガンバ大阪は消化試合数こそ少ないが降格圏の18位に沈んでいる。
「僕らは川崎と一緒のレベルにはないということを認識して、チャレンジャーの意識でぶつかっていくしかないと思います」。巻き返しへ、10番を背負う倉田秋が川崎戦に懸ける熱い思いを語ってくれた。
取材・文=下薗昌記
――現在1勝4分け3敗という成績ですが、まずは今季ここまでの現状をどう捉えていますか?
倉田 やはりまだ1試合しか勝てていなくて、得点も2点しか取れていないという現状は良くないですよね。サッカーは点を取ってなんぼのスポーツですし、どう改善していくのかはチーム全員でしっかりと話し合いながらやれていると思います。何点か取れれば、ドンドン取っていける気はしますけどね。
――新型コロナウイルスの影響で活動休止を余儀なくされた2週間、倉田選手は川崎のサッカーをかなりご覧になったと話していましたが、その理由を聞かせてください。
倉田 『理想のサッカー』って人それぞれあると思いますが、やはりあれだけ攻撃的にやれているという点ではJリーグナンバーワンだと思うので、「どうしてそういったプレーができているのか」を探るというのが理由ですね。あとは川崎を倒したいという思いも強いので、どこに穴があるのかを見ていました。研究ということもありますし、サッカーは立ち位置がとても大事なので、どこに立ってボールを回しているのか、どう守備に行っているのかを参考にしながら見ていました。
――倉田選手が考える川崎強さの理由は何でしょうか?
倉田 選手全員のサッカー脳が高い。誰がどこにいるのか、どこのポジションに人がいなければいけないのか。そういったことを全員が把握してプレーしている印象があります。それが強さの理由だと思います。個人の技術の高さや能力ももちろんそうですけど、そういった周囲の状況を試合中に把握できている選手が多い印象です。
――昨年8月の対戦以降、公式戦では川崎に4連敗中です。そういった部分をクローズアップされがちですが、宮本恒靖監督就任後は川崎に2連勝と決して相性は悪くなかったと思います。現在連敗が続いている要因は何だと思いますか?
倉田 要因は一つじゃないですね。守備も攻撃もそうですけど、課題はすごく多いです。川崎と比べて攻撃では自分たちのリズムや形がまだ完成していないし、守備に関しても切り替えのスピードや全員でハードワークするという部分が足りていないと思います。
――ホームで対戦した昨年8月の一戦でも前半は互角以上の内容でした。今年のスーパーカップでも追いついたあとは、逆転してもおかしくない勢いを見せ、選手個々の力では引けを取っていないというガンバの地力を感じました。手応えという面ではいかがでしょうか?
倉田 手応えを感じた時間帯もあります。ただトータルで見たら川崎の方が上ですし、しかも4連敗という数字にも表れていますよね。やはり僕らは川崎と一緒のレベルにはないということを認識して、チャレンジャーの意識でぶつかっていくしかないと思います。
――先週の大阪ダービーでは開幕戦以来の『4-3-3』で臨みました。布陣的にも現在の川崎は今季ガンバが目指すサッカーの参考になるのでしょうか?
倉田 参考にすべきは立ち位置じゃないですかね。川崎の試合を見ていたらプレーが整理されているし、練習でやっていることが試合でもできているのだと思います。
――「プレーの整理」ということに関して言うと、経験値のある倉田選手のプレーも川崎戦の一つのポイントになりそうですね。
倉田 そうですね。どういうサッカーをするのか、試合の流れを読んでどういったプレーが必要なのかをみんなに伝える役割もあります。試合に出場できたら、そこを意識してやりたいですね。
――ガンバも若い選手も増えてきた中、倉田選手はチームの潤滑油として機能しています。この川崎戦では決定的な仕事も自身の中で意識するところではありますか?
倉田 それがチームにとって一番の貢献になりますからね。そういった仕事を変わらずやりながらも、今チームがうまく回っていない中で、みんなの意見をまとめることも大事だという意識も自分の中で大きいですね。みんなの道標になることをもっと意識したいと思います。
――近年のガンバはどちらかというと堅守速攻のスタイルだと思います。倉田選手がルーキーだった頃(2007年)は、現在の川崎のように圧倒的にボールを握ってJリーグでも一番質の高い攻撃サッカーを披露していました。当時の記憶が倉田選手の中にも残っていると思うのですが、今のチームに足りないものやさらに改善する必要がある部分を聞かせてください。
倉田 ボールを持った時の余裕や相手の逆を取ること、当時のような遊び心のあるプレーが最近の試合では少ないと思います。公式戦のプレッシャーがある中、遊び心のあるプレーを少し心掛けるだけでも攻撃は良くなるはずです。
――川崎に置き換えると、その遊び心を見せている存在が家長昭博選手なのでしょうか?
倉田 いや、川崎は全員がそういったイメージでやれているはずです。練習から試合の時以上のプレッシャーでやっているからこそ、そういったプレーが公式戦でできるはずなので、僕らも参考にしないといけないと思います。
――今の川崎に勝てばガンバにとって大きな自信になると思います。今季序盤の大一番になりそうですね。
倉田 そうですね。大阪ダービーに勝っていい流れで川崎戦に挑みたかったのが本音ですけど。川崎に勝てばいい流れになるし、自信にもなる。今季を占う試合になると思います。
――去年、遠藤保仁選手が移籍した後に「ヤットさんと同じことはできないけど、ヤットさんにできないことも僕にはできる」と話をされていました。
倉田 周囲への声かけや自分が泥臭い熱量のあるプレーをすることで付いてきてくれたら嬉しいですね。今のガンバは波に乗れば強いと思います。今はまだあまり勝てていなくて気持ちも上がっていない状況ですが、気持ちを上げて挑まないと川崎は絶対に倒せない。そういう意味でも僕が盛り上げていきたいですね。
――昨季はJリーグ、天皇杯と2度目の前でタイトルを阻まれて、選手たちの中にも川崎は倒さないといけない壁だという意識があると思います。
倉田 どのクラブの選手に聞いても川崎戦は特別だと感じていると思いますよ。それくらい魅力のあるチームですし、Jリーグでも抜けている存在です。リスペクトはしますけど、試合では臆することなく堂々とぶつかって、ぶっ倒すくらいの勢いでやりたいですね。
――ガンバもかつては攻撃サッカーで一時代を築いた強豪です。今の川崎との力関係のままではいられないというガンバのプライドもあるのではないでしょうか?
倉田 そうですね。川崎の試合を見ていると正直悔しいというか、自分の中でちょっとイラつくことも本音としてあります。自分たちも川崎のような攻撃的なサッカーをしたいと思うことも理由ですし、そういった意味でも絶対に負けたくないですね。
「僕らは川崎と一緒のレベルにはないということを認識して、チャレンジャーの意識でぶつかっていくしかないと思います」。巻き返しへ、10番を背負う倉田秋が川崎戦に懸ける熱い思いを語ってくれた。
取材・文=下薗昌記
――現在1勝4分け3敗という成績ですが、まずは今季ここまでの現状をどう捉えていますか?
倉田 やはりまだ1試合しか勝てていなくて、得点も2点しか取れていないという現状は良くないですよね。サッカーは点を取ってなんぼのスポーツですし、どう改善していくのかはチーム全員でしっかりと話し合いながらやれていると思います。何点か取れれば、ドンドン取っていける気はしますけどね。
――新型コロナウイルスの影響で活動休止を余儀なくされた2週間、倉田選手は川崎のサッカーをかなりご覧になったと話していましたが、その理由を聞かせてください。
倉田 『理想のサッカー』って人それぞれあると思いますが、やはりあれだけ攻撃的にやれているという点ではJリーグナンバーワンだと思うので、「どうしてそういったプレーができているのか」を探るというのが理由ですね。あとは川崎を倒したいという思いも強いので、どこに穴があるのかを見ていました。研究ということもありますし、サッカーは立ち位置がとても大事なので、どこに立ってボールを回しているのか、どう守備に行っているのかを参考にしながら見ていました。
――倉田選手が考える川崎強さの理由は何でしょうか?
倉田 選手全員のサッカー脳が高い。誰がどこにいるのか、どこのポジションに人がいなければいけないのか。そういったことを全員が把握してプレーしている印象があります。それが強さの理由だと思います。個人の技術の高さや能力ももちろんそうですけど、そういった周囲の状況を試合中に把握できている選手が多い印象です。
――昨年8月の対戦以降、公式戦では川崎に4連敗中です。そういった部分をクローズアップされがちですが、宮本恒靖監督就任後は川崎に2連勝と決して相性は悪くなかったと思います。現在連敗が続いている要因は何だと思いますか?
倉田 要因は一つじゃないですね。守備も攻撃もそうですけど、課題はすごく多いです。川崎と比べて攻撃では自分たちのリズムや形がまだ完成していないし、守備に関しても切り替えのスピードや全員でハードワークするという部分が足りていないと思います。
――ホームで対戦した昨年8月の一戦でも前半は互角以上の内容でした。今年のスーパーカップでも追いついたあとは、逆転してもおかしくない勢いを見せ、選手個々の力では引けを取っていないというガンバの地力を感じました。手応えという面ではいかがでしょうか?
倉田 手応えを感じた時間帯もあります。ただトータルで見たら川崎の方が上ですし、しかも4連敗という数字にも表れていますよね。やはり僕らは川崎と一緒のレベルにはないということを認識して、チャレンジャーの意識でぶつかっていくしかないと思います。
――先週の大阪ダービーでは開幕戦以来の『4-3-3』で臨みました。布陣的にも現在の川崎は今季ガンバが目指すサッカーの参考になるのでしょうか?
倉田 参考にすべきは立ち位置じゃないですかね。川崎の試合を見ていたらプレーが整理されているし、練習でやっていることが試合でもできているのだと思います。
――「プレーの整理」ということに関して言うと、経験値のある倉田選手のプレーも川崎戦の一つのポイントになりそうですね。
倉田 そうですね。どういうサッカーをするのか、試合の流れを読んでどういったプレーが必要なのかをみんなに伝える役割もあります。試合に出場できたら、そこを意識してやりたいですね。
――ガンバも若い選手も増えてきた中、倉田選手はチームの潤滑油として機能しています。この川崎戦では決定的な仕事も自身の中で意識するところではありますか?
倉田 それがチームにとって一番の貢献になりますからね。そういった仕事を変わらずやりながらも、今チームがうまく回っていない中で、みんなの意見をまとめることも大事だという意識も自分の中で大きいですね。みんなの道標になることをもっと意識したいと思います。
――近年のガンバはどちらかというと堅守速攻のスタイルだと思います。倉田選手がルーキーだった頃(2007年)は、現在の川崎のように圧倒的にボールを握ってJリーグでも一番質の高い攻撃サッカーを披露していました。当時の記憶が倉田選手の中にも残っていると思うのですが、今のチームに足りないものやさらに改善する必要がある部分を聞かせてください。
倉田 ボールを持った時の余裕や相手の逆を取ること、当時のような遊び心のあるプレーが最近の試合では少ないと思います。公式戦のプレッシャーがある中、遊び心のあるプレーを少し心掛けるだけでも攻撃は良くなるはずです。
――川崎に置き換えると、その遊び心を見せている存在が家長昭博選手なのでしょうか?
倉田 いや、川崎は全員がそういったイメージでやれているはずです。練習から試合の時以上のプレッシャーでやっているからこそ、そういったプレーが公式戦でできるはずなので、僕らも参考にしないといけないと思います。
――今の川崎に勝てばガンバにとって大きな自信になると思います。今季序盤の大一番になりそうですね。
倉田 そうですね。大阪ダービーに勝っていい流れで川崎戦に挑みたかったのが本音ですけど。川崎に勝てばいい流れになるし、自信にもなる。今季を占う試合になると思います。
――去年、遠藤保仁選手が移籍した後に「ヤットさんと同じことはできないけど、ヤットさんにできないことも僕にはできる」と話をされていました。
倉田 周囲への声かけや自分が泥臭い熱量のあるプレーをすることで付いてきてくれたら嬉しいですね。今のガンバは波に乗れば強いと思います。今はまだあまり勝てていなくて気持ちも上がっていない状況ですが、気持ちを上げて挑まないと川崎は絶対に倒せない。そういう意味でも僕が盛り上げていきたいですね。
――昨季はJリーグ、天皇杯と2度目の前でタイトルを阻まれて、選手たちの中にも川崎は倒さないといけない壁だという意識があると思います。
倉田 どのクラブの選手に聞いても川崎戦は特別だと感じていると思いますよ。それくらい魅力のあるチームですし、Jリーグでも抜けている存在です。リスペクトはしますけど、試合では臆することなく堂々とぶつかって、ぶっ倒すくらいの勢いでやりたいですね。
――ガンバもかつては攻撃サッカーで一時代を築いた強豪です。今の川崎との力関係のままではいられないというガンバのプライドもあるのではないでしょうか?
倉田 そうですね。川崎の試合を見ていると正直悔しいというか、自分の中でちょっとイラつくことも本音としてあります。自分たちも川崎のような攻撃的なサッカーをしたいと思うことも理由ですし、そういった意味でも絶対に負けたくないですね。
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