トヨタ、得意のWECスパで可夢偉組7号車が今季初優勝。8号車に発生の問題は「徹底的に精査し解決する」
5月7日、WEC世界耐久選手権第2戦スパ6時間レースがベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで行われ、ハイパーカークラスに参戦しているTOYOTA GAZOO Racingの7号車トヨタGR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組)が今季初優勝を挙げた。一方、もう1台のトヨタGR010ハイブリッドである8号車(セバスチャン・ブエミ/平川亮/ブレンドン・ハートレー組)はハイブリッドシステムのトラブルに見舞われ、当時首位を走りながらリタイアとなっている。
シリーズのハイライトであるル・マン24時間レースの“前哨戦”に位置づけられているWECスパは、サーキットがチームの拠点であるドイツ・ケルンから近いことから、トヨタにとっては“第2のホームレース”とされているイベントだ。
そんな今ラウンドの決勝をセカンドロウから開始した2台のトヨタGR010ハイブリッドのうち、4番手グリッドからスタートを切ったブエミのドライブする8号車は、1周目に2番手へとポジションを上げる好ダッシュを見せる。
16周目、8号車がトップのグリッケンハウスを捉えて首位に浮上すると、僚友7号車のコンウェイもライバルを交わし、トヨタがワン・ツー体制を構築した。しかし、スタートから1時間ほどが経過したところで雨が降り始め、ときを同じくしてLMP2カーのクラッシュによりレースは赤旗中断となった。
25分間の中断のあと、レースはセーフティカー(SC)先導で再開されるも、この時点で首位につけていた8号車が動き出せず。ようやく動き出したものの直後に、2度にわたってコース脇にストップし、最後はブエミが車両を降り8号車はリタイアとなった。
チームメイトに代わって首位に立った7号車だったが、その後雨脚が強まったため、ウエットタイヤに交換するためにピットへ。これによって3番手に順位を落とす。
レースはさらに強まった雨とアクシデントの影響で2度の赤旗を経て、残り2時間強で再開に。雨が止み、徐々に路面が乾き始めるコンディションの中で、レース再開時に総合2番手につけていた可夢偉の7号車は、総合首位に立っていた地元チームのWRT 31号車オレカをパスし首位を奪還。終盤戦をロペスに託した。
インターミディエイトタイヤで最終スティントに向かったロペスは、ハイパーカークラスの3台による接近戦を制し、最後は2位となったアルピーヌ36号車に27.473秒差をつけてトップでフィニッシュを果たしてみせた。これによりチームはWECスパ戦で6年連続勝利を飾っている。
彼らが次に挑むのは2019年以来、3年ぶりに6月に開催されるル・マン24時間だ。トヨタチームは引き続き2台のトヨタGR010ハイブリッドで、2018年から続く連勝の更新、ル・マン5連覇に挑戦する。
“スパ・ウェザー”による大荒れのレースを戦い終えた、TOYOTA GAZOO Racingチームメンバーのコメントは以下のとおりだ。
■7号車トヨタGR010ハイブリッド/優勝
●小林可夢偉(チーム代表兼ドライバー)
「素晴らしいチームワークにより今季初勝利を上げることができました。私はドライバーであるととも、チーム代表でもあるため、両方の車両に対して責任があります。8号車に起きたトラブルに関してクルーには申し訳ない気持ちですし、徹底的に精査し解決していきます」
「チーム全体として、今回のレースにはとても満足しています。我々の7号車は非常に難しいレースコンディションにもかかわらず、マイクとホセが素晴らしい走りを見せてくれ、またエンジニアとピットクルーも、このコンディションのなか、ミスなく完璧な作業で支えてくれました」
「次戦はシーズン最大のイベントであるル・マンなので、しっかり準備する必要があります。我々はパフォーマンスを上げるため常に努力を続けていますが、ル・マンへ向けては、信頼性の向上も必要です。今日8号車に起こったようなトラブルは必ずなくしていきます」
●マイク・コンウェイ
「勝利への道は容易なものではなかった。最初の1時間は好天に恵まれたが、一気に天候が変わり、大雨になってしまった。大変な状況だったが、そこでミスすることなく頑張ったことが勝利への鍵になった」
「多くの車両がコースアウトするなど、難コンディションに苦しむなか、ホセも可夢偉もミスなく走り抜いたことを素晴らしく思う。他のクルーも着実に作業をこなしてくれ、ピットストップも1日を通して、とてもよかった。この優勝で多くのポイントを獲得したので、これでようやくチャンピオン争いに加わることができる。一方、8号車のトラブルは残念だった」
「次はル・マンだが、我々は今日の勢いを活かしていけることを願っている。今日のレースでは、我々が望んでいた勝利とポイントを勝ち取ることができたからね」
●ホセ-マリア・ロペス
「前戦セブリングではリタイアに終わったが、今日は良いレースができ、チャンピオン争いへの最高の再スタートが切れた。今日はチームとしては勝利と残念な面の両方を味わうことになったが、まずはチームの今季初勝利を挙げられたことが重要だと思う」
「可夢偉とマイクはあの大変なコンディションにもかかわらず、驚くべき走りを見せてくれた。本当にタフなレースで、一時はコース上に留まることすら困難だったんだ。可夢偉とマイクの力走のあと、僕がステアリングを引き継いでからは、レースの最後まで、全力でプッシュを続けた」
「アルピーヌ(2位)に何度かかなり接近され、黒い雲がピットの向こうに見えたので、難しい判断を強いられたが、チームは正しい選択をしてくれた。スパで勝てたことは最高だし、チャンピオン争いの点でも、最大のポイントを獲得できてとてもうれしいよ」
■8号車トヨタGR010ハイブリッド/リタイア
●セバスチャン・ブエミ
「良いレースが戦えると思っていただけに、今日の結果は本当に残念だ。4番手グリッドからのスタートでトップに立ち、その後は燃料消費を抑えて最初のスティントでの周回数を1周伸ばすこともできていた。このようなコースでは、大抵フルコースイエローが何度も出るのでそれも味方したんだ。しかし、その後トラブルが発生し、車両を停めざるを得なかった」
「7号車が優勝できたことは本当にうれしく思います。彼らは見事な仕事ぶりで、チームに今季初優勝をもたらしてくれた。次戦ル・マンで勝利を争うためにも、今日のトラブルについて解明しなくてはならない」
●ブレンドン・ハートレー
「スパでノーポイントに終わったのは本当に残念だ。とても良いレースができると思っていただけにね。セブは最初のスティントで素晴らしいスタートを切ったが、その後トラブルに見舞われてしまった。レースでは時にあることだ」
「このトラブルがル・マンでなくここスパで発生したことは不幸中の幸いだけど、悔しいし、チャンピオン争いにおいても厳しい結果となってしまったのは事実だ」
「一方で、チームが今季初優勝を飾ったことはうれしいよ。7号車は素晴らしい戦いぶりでチームに勝利をもたらしてくれた。ここからはチーム一丸となって、ル・マンに集中していく」
●平川亮
「今日は残念ながら我々8号車の日ではありませんでした。ブレンドン同様、私も決勝レースで走る機会はありませんでした。セブは素晴らしい走りで一旦は首位に立ちました。リタイアに終わったとは言え、チームとしては良いパフォーマンスでしたし、シーズン初優勝を飾れたのは良かったです」
「マイク、可夢偉、ホセと7号車のクルー全員に祝福を送ります。これからはル・マンへの準備に専念します。TGRのチームの一員として初めて、ル・マンというビッグレースで優勝を争うことを本当に楽しみにしています」
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