ブンデスリーガ、ついに再開 デュッセルドルフ日本人スタッフに聞く現状と準備
サッカーキング2020年5月16日(土)17時27分
3月、試合当日に中止となった時のデュッセルドルフ本拠地 [写真]=Getty Images
ブンデスリーガに所属するフォルトゥナ・デュッセルドルフのスタッフとして10年以上働く日本デスク担当の瀬田元吾さんが、平日21時に生配信されているYouTube番組『サッカーキング・ハーフタイム』に15日に出演。実況でおなじみの下田恒幸さんと、16日に約2カ月の中断から再開するブンデスリーガの状況について話した。
ブンデスリーガは3月12日に開催されたボルシアMGとケルンの一戦を最後に、新型コロナウイルス拡大の影響で中断に入った。当初はデュッセルドルフvsパーダーボルンが翌日の13日に開催される予定となっていたが、急きょ中止に。ブンデスリーガ全体でも実施可否判断が直前で変わるなど混乱した様子が報じられていた。
瀬田さんは「試合当日の昼、試合準備中にパーダーボルンの関係者から体調不良者が出たと連絡があり、キックオフの4、5時間前くらいに(デュッセルドルフの)会長からDFL(ドイツサッカーリーグ機構)に申し立てをして中止が決まりました。メンヒェングラートバッハとケルンの試合が史上初の無観客試合、同タイミングでのチャンピオンズリーグの試合も無観客で行いましたが、スタジアムの外に人が集まるなどしていましたし、クラブは注意喚起をしていましたが、見切り発車の部分もあったので、対応がバタバタしました」と当時の状況を振り返る。
ドイツはアンゲラ・メルケル首相と各州知事が合意したことにより、ブンデスリーガ再開が可能となったが、「ドイツは規制緩和が一週間前くらいから始まり、レストラン内での食事も可能です。強い規制はかかっていないので、『家で見てほしい』と注意喚起はしていますが、実際にどうなるかは一人ひとりの行動が問われます。そもそも規制が緩和されていないとブンデスの再開もないので、難しいところですね」と、率直に語る。
試合の準備に向けては「残留が懸かる重要な試合なので、ピッチ内でのことが気になるところではありますけど、スタッフなど運営をする人間は、そもそも円滑に試合を運営できるかについて高い緊張感を持っています。週半ばにはデモンストレーションの意味も含め、スタジアムで紅白戦をしました。その時は選手のイン、アウト、どこに座るかなどの細かいシミュレーションもしています」と話す。
ブンデスリーガは再開にあたって、運営の細かいガイドラインを策定しており、スタジアムを3つのゾーン(スタジアム内、スタンドエリア、スタジアム周辺)に分け、それぞれで中に入れる職種、人数がスタジアムオープンからクローズまで、時間を区切って定められており、出入り口なども指定されている。(例:ボールボーイはゾーン1に試合開始1時間30分前から終了時までで4人に制限、など)
選手の行動にも様々な制限がある。握手やドリンクの回し飲みは不可となるが、瀬田さんは「無意識で普段やっていることも含まれるので、チームのメンタルコーチが重要な役割を果たしています。中継で抜かれることもあるので。スタッフも初めてのことなので、緊張感を持っています」とコメント。
選手の会場入りは個人の車などできるだけ細かく分け、相手チームとの会場入り時間もズラす。ロッカールームは可能な限りの部屋を使って、各部屋を少人数に。並んでの入場や試合前の握手、整列はしないといったルールもあり、デュッセルドルフは前述のドリンク対策でも、一度口を付けたボトルは新しいものにすることでリスクを下げるなどの努力をするという。
再開前の準備としては、チームは一週間前からホテルで隔離生活となり、その間も検査を実施。15日も検査を行っており、陽性反応が出た場合は隔離措置をとられるという。デュッセルドルフの場合は、地下駐車場に検査場を設置し、ブンデスリーガが契約した外部の5つの検査機関から派遣された人間が選手、関係者の検査を行っているとのことで、リーグとしてはこれで公平性を保つことにつながるとしている。
リーグ全体では1部、2部の1700名以上を3日に1回のペースで検査をしており、選手の不安感をぬぐい切るには至らないかもしれないが、信用、安心感を持ってもらうことに寄与しているのではないか、と瀬田さんは私見を述べている。
デュッセルドルフのセールススタッフとしては中断期間中、年間シート保持者やパートナー企業などに、提供できる試合がない中で何を返すことができるのかを考え抜いているとのことで、本来提供できるものと別の形のものを提供することはどうか、などのやり取りを続けているとのこと。例えば、5~600社あるパートナー企業をつなぐアプリを3月から提供開始し、その中でコミュニケーションをしてもらうことで、新しい交流や将来的なビジネスにパートナー同士でつなげてもらうことなどに期待を寄せる。フォルトゥナ・デュッセルドルフというチームを媒介して、広がる世界を作る考えだ。
当然、再開後に状況の変化で再中断、もしくはリーグ戦中止となる可能性もある。続行不可などは各州の判断によるものであり、現在はリーグとしてシーズン終了となった場合の順位決定について議論中とのことだ。現時点ではDFL側は終了が決まった段階での順位を最終順位として優勝や昇降格を決める希望を持っており、13日のクラブを交えた会議でもその方向でいったんの決は採られたが、公平性の面などから反対する考えのクラブも多く、週が明けてから、再度ディスカッションをする見込みとなっている。
瀬田さんは「まず、ここから9試合を無事に実施できることを考えて仕事をしていきます。Jリーグ含め、日本の方に見ていただきたいですし、ヨーロッパの別の国の方たちにとっても希望の光と言いますか、『やり切れる』ということのモデルケースになれればいいと思っています。その中で自分のクラブも残留できるよう、応援していただきたいです」と、大きな注目が集まるブンデスリーガ初戦が無事に開催、終えることに全力を注いでいく。
ブンデスリーガは3月12日に開催されたボルシアMGとケルンの一戦を最後に、新型コロナウイルス拡大の影響で中断に入った。当初はデュッセルドルフvsパーダーボルンが翌日の13日に開催される予定となっていたが、急きょ中止に。ブンデスリーガ全体でも実施可否判断が直前で変わるなど混乱した様子が報じられていた。
瀬田さんは「試合当日の昼、試合準備中にパーダーボルンの関係者から体調不良者が出たと連絡があり、キックオフの4、5時間前くらいに(デュッセルドルフの)会長からDFL(ドイツサッカーリーグ機構)に申し立てをして中止が決まりました。メンヒェングラートバッハとケルンの試合が史上初の無観客試合、同タイミングでのチャンピオンズリーグの試合も無観客で行いましたが、スタジアムの外に人が集まるなどしていましたし、クラブは注意喚起をしていましたが、見切り発車の部分もあったので、対応がバタバタしました」と当時の状況を振り返る。
ドイツはアンゲラ・メルケル首相と各州知事が合意したことにより、ブンデスリーガ再開が可能となったが、「ドイツは規制緩和が一週間前くらいから始まり、レストラン内での食事も可能です。強い規制はかかっていないので、『家で見てほしい』と注意喚起はしていますが、実際にどうなるかは一人ひとりの行動が問われます。そもそも規制が緩和されていないとブンデスの再開もないので、難しいところですね」と、率直に語る。
試合の準備に向けては「残留が懸かる重要な試合なので、ピッチ内でのことが気になるところではありますけど、スタッフなど運営をする人間は、そもそも円滑に試合を運営できるかについて高い緊張感を持っています。週半ばにはデモンストレーションの意味も含め、スタジアムで紅白戦をしました。その時は選手のイン、アウト、どこに座るかなどの細かいシミュレーションもしています」と話す。
ブンデスリーガは再開にあたって、運営の細かいガイドラインを策定しており、スタジアムを3つのゾーン(スタジアム内、スタンドエリア、スタジアム周辺)に分け、それぞれで中に入れる職種、人数がスタジアムオープンからクローズまで、時間を区切って定められており、出入り口なども指定されている。(例:ボールボーイはゾーン1に試合開始1時間30分前から終了時までで4人に制限、など)
選手の行動にも様々な制限がある。握手やドリンクの回し飲みは不可となるが、瀬田さんは「無意識で普段やっていることも含まれるので、チームのメンタルコーチが重要な役割を果たしています。中継で抜かれることもあるので。スタッフも初めてのことなので、緊張感を持っています」とコメント。
選手の会場入りは個人の車などできるだけ細かく分け、相手チームとの会場入り時間もズラす。ロッカールームは可能な限りの部屋を使って、各部屋を少人数に。並んでの入場や試合前の握手、整列はしないといったルールもあり、デュッセルドルフは前述のドリンク対策でも、一度口を付けたボトルは新しいものにすることでリスクを下げるなどの努力をするという。
再開前の準備としては、チームは一週間前からホテルで隔離生活となり、その間も検査を実施。15日も検査を行っており、陽性反応が出た場合は隔離措置をとられるという。デュッセルドルフの場合は、地下駐車場に検査場を設置し、ブンデスリーガが契約した外部の5つの検査機関から派遣された人間が選手、関係者の検査を行っているとのことで、リーグとしてはこれで公平性を保つことにつながるとしている。
リーグ全体では1部、2部の1700名以上を3日に1回のペースで検査をしており、選手の不安感をぬぐい切るには至らないかもしれないが、信用、安心感を持ってもらうことに寄与しているのではないか、と瀬田さんは私見を述べている。
デュッセルドルフのセールススタッフとしては中断期間中、年間シート保持者やパートナー企業などに、提供できる試合がない中で何を返すことができるのかを考え抜いているとのことで、本来提供できるものと別の形のものを提供することはどうか、などのやり取りを続けているとのこと。例えば、5~600社あるパートナー企業をつなぐアプリを3月から提供開始し、その中でコミュニケーションをしてもらうことで、新しい交流や将来的なビジネスにパートナー同士でつなげてもらうことなどに期待を寄せる。フォルトゥナ・デュッセルドルフというチームを媒介して、広がる世界を作る考えだ。
当然、再開後に状況の変化で再中断、もしくはリーグ戦中止となる可能性もある。続行不可などは各州の判断によるものであり、現在はリーグとしてシーズン終了となった場合の順位決定について議論中とのことだ。現時点ではDFL側は終了が決まった段階での順位を最終順位として優勝や昇降格を決める希望を持っており、13日のクラブを交えた会議でもその方向でいったんの決は採られたが、公平性の面などから反対する考えのクラブも多く、週が明けてから、再度ディスカッションをする見込みとなっている。
瀬田さんは「まず、ここから9試合を無事に実施できることを考えて仕事をしていきます。Jリーグ含め、日本の方に見ていただきたいですし、ヨーロッパの別の国の方たちにとっても希望の光と言いますか、『やり切れる』ということのモデルケースになれればいいと思っています。その中で自分のクラブも残留できるよう、応援していただきたいです」と、大きな注目が集まるブンデスリーガ初戦が無事に開催、終えることに全力を注いでいく。
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