世界ラリークロス:ル・マン勝者アレックス・ブルツがノルウェー戦にエントリー
元F1ドライバーでル・マン24時間で2度の総合優勝を果たしているアレクサンダー・ブルツが、6月開催のWorldRX第6戦ノルウェー・ヘル・ラウンドにスポット参戦する。かねてから参戦を模索してきたラリークロス世界選手権へのデビューを実現することとなった。
ブルツがWorldRXデビュー戦でドライブするのは、この数年越しでともに参戦機会を探ってきたマックス・プッシャー率いるMJPレーシング・チーム・オーストリアのフォード・フィエスタRXスーパーカーEvo.3で、ブルツは2016年の後半に欧州ラリークロス選手権(ユーロRX)の会場であるオーストリア・グラインバッハのトラックで初テストを経験している。
そのテスト直後にマシンの感触を語っていたブルツは「このマシンのパワー感は最高で、本当に印象的でクールなものだった。なぜこのスポーツとドライビングに僕が惹かれていたのか、一瞬にして理解することができたよ」と、その魅力を熱く語っていた。
F1時代にはベネトンやマクラーレン、ウイリアムズで活躍したブルツは、その後スポーツカー耐久に舞台を移し、1996年にはチーム・ヨーストのポルシェWSC95、2009年にはプジョー908HDi FAPで2度の総合優勝を達成。2012年からはTOYOTA GAZOO Racingに移籍し、WEC世界耐久選手権でチームのタイトル獲得に貢献した。
そんなブルツの幼少期に彼のキャリアを決定づけたルーツこそがラリークロスであり、父のフランツ・ブルツは1974年を皮切りに、76年、82年と欧州選手権で3度のチャンピオンに輝くなど、ラリークロスで活躍を演じたドライバーとして知られている。
2016年のグッドウッド・フェステバル・オブ・スピードでは、その直前にレストアが完了した父フランツのタイトル獲得マシン『ランチア・ストラトス』をドライブ。その際にも、自身のルーツであるラリークロスへの意欲を明かしていた。
「僕は父に連れられてラリークロスのトラックで育ったようなものだ。だから、他のドライバーにも増してこうしたマシンをドライブできるのは最高に興奮する出来事なんだ。だから、キャリアの終盤に自分自身が育った場所に戻ってドライブを楽しむことができれば、本当にセンセーショナルだろうね」
昨季のMJPレーシング・チーム・オーストリアは、WorldRXにレギュラー登録チームとして参戦。2度のDTMドイツ・ツーリングカー選手権王者であるティモ・シャイダーとケビン・エリクソンを起用し、シャイダーは初参戦ながら開幕戦のスペイン・ラウンドでファイナルに進出し、表彰台を獲得している。
今季2018年シーズンはレギュラー登録から外れたものの、チームはこの週末となる5月25〜27日に開催される第4戦WorldRXオブ・グレートブリテン”スピードマシーン・フェスティバル”から散発的なエントリーを計画。2013年のBTCCイギリス・ツーリングカー選手権王者のアンドリュー・ジョーダンと、WorldRXで優勝経験も持つ元GRCグローバル・ラリークロス王者トーマス”トピ”ヘイキネンを起用する。
また、この第5戦ノルウェー・ラウンドのエントリーリストでは他にも有力ドライバーのスポットエントリーが発表されており、イギリス戦に引き続き元ユーロRX王者のトミー・ラスタッドが今季2戦目のWorldRX参戦でホームイベントに登場。
現役ユーロRX王者のアントン・マルクランドとともに、マルクランドHRBレーシングのフォルクスワーゲン・ポロRXスーパーカーをドライブ。また、同じくイギリス戦から続けてのエントリーとなるオリバー・ベネットは、完全ブランニューモデルとなるBMWミニ・クーパーRXスーパーカーを持ち込む予定となっている。
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