トヨタ、WRCポルトガルでエバンスが今季初優勝。オジエが3位となり1-3フィニッシュ達成
5月23日、WRC世界ラリー選手権第4戦『ラリー・ポルトガル』の競技最終日が、ポルトガル北部の都市であるポルト近郊のマトジニョスを基点に行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTはエルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)が今シーズン初優勝を飾った。また、チームメイトのセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合3位に入り、ワン・スリー・フィニッシュを達成している。
前日にメカニカルトラブルのためデイリタイアとなったカッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)は再出走を果たし総合22位でラリーを完走。TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加している勝田貴元は、WRCでの自己ベストリザルトを更新する総合4位でフィニッシュした。
21日(金)から3日間のスケジュールで争われてきたラリー・ポルトガルの最終日デイ3。この日はサービスパークの北東エリアで5本のSS、計49.47kmのステージで争われた。デイ2で総合首位に立ったエバンスは、オープニングステージとなったSS16で、2番手タイムの選手に8.9秒という大差をつけるタイムでSSベストタイムを刻んでみせる。
その後も続くSS17、そして午後のSS19でもステージ最速タイムを記録し、総合2位のライバルとのギャップを26.2秒に広げて迎えた最終パワーステージ、ここでも安定した走りをみせたエバンスはステージ5番手タイムでフィニッシュ。2021年シーズンの初優勝を決めた。
ウェールズ人ドライバーは、この勝利でキャリア通算4勝目、2020年にトヨタに加入してからは3回目となる総合優勝を手にした。またポイントランキングでは、優勝の25ポイントにパワーステージでのボーナスポイント1点を加え、ドライバー選手権での順位をひとつ上げてランキング2位となっている。
「優勝という形でラリーを締めくくることができたのは、もちろん素晴らしいことだ」と喜びを語ったエバンス。
「この週末はすべてが順風満帆というわけではなかったし、僕たちは最速でもなかったかもしれない。それでも、ペースはとても良くパフォーマンスも全体的に安定していた」とラリーを振りかえった。
ラリーの初日は路面の“掃除役”となったことで大きくタイムを失ったオジエは、粘りの走りで競技2日目の最後には総合3番手に浮上する。一方で2番手との差が開いていたため、7冠王者はパワーステージに向けデイ3でタイヤを温存することに。
“ファフェ”で行われた最終SS20では3番手タイムを記録し、総合3位表彰台と狙いどおりボーナスポイントの3点を持ち帰ることに成功。これによってオジエは、エバンスと2ポイント差ながら選手権リーダーの座を守っている。
■ラリーの序盤は「表彰台の一番高いところでフィニッシュできるとは思えなかった」とヤリ-マティ・ラトバラ代表
デイ2でマシントラブルに見舞われデイリタイアを喫したロバンペラは最終日に再出走を果たし、全ステージを走破することで経験を積んだ。また、パワーステージでは4番手タイムを記録し、ボーナスポイント2点を獲得している。
競技2日目に王者オジエと激しく順位を争った勝田は、安定性を重視した走りで最終日のステージを走破。これまでの自己最高位6位を更新する総合4位でフィニッシュしてみせ、開幕から4戦連続で選手権ポイントを獲得した。
「この結果には本当に満足している」と語るのは、TOYOTA GAZOO Racing WRTのヤリ-マティ・ラトバラ代表だ。
「ラリーの最初の段階では、表彰台の一番高いところでフィニッシュできるとは思えなかった。しかしラリーで勝つためには最後のステージまで、すべてのコーナーをクリアしなければならず、最終的に我々は勝つことができたのですから、とても素晴らしい気分だよ」
「この週末、エルフィン(・エバンス)はもっとも安定したドライバーだったし、パフォーマンスも高いレベルにあった。また、チームも本当に良い仕事をしてくれて、多くのポジティブな収穫があった」
「セブ(セバスチャン・オジエ)は3位を獲得してチャンピオンシップに多くのポイントを追加し、(勝田)貴元も過去最高となる総合4位を獲得した。カッレ(・ロバンペラ)にとっては残念なラリーになってしまったが、きっと彼はモチベーションをさらに高め、強くなって戻ってくることだろう」
トヨタが挑むWRCの次戦第5戦は、6月3〜6日にかけてイタリア、サルディニア島で行われる『ラリー・イタリア・サルディニア』だ。今戦に続きグラベル(未舗装路)で争われるこのラリーは、全体的にハイスピードでありながらステージの道幅は狭く、道のすぐ脇まで木々が迫るスリリングな戦いが繰り広げられる。
路面については目の細い砂状のグラベルに覆われているものの、ラリーカーが走行すると砂の下から岩盤や石が現れ、深い轍も刻まれるなどコンディションの変化が大きい1戦となる。また、気温が上昇することも多く、ドライバーとクルマにとって非常にタフなラリーと言える。
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