WEC:ル・マン・ハイパーカーの出力低下決定も、グリッケンハウスはピポ・モチュール使用を継続
WEC世界耐久選手権およびル・マン24時間レースへの参戦を目指すスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス(SCG)は、LMHル・マン・ハイパーカーのルールが今月11日に変更されパワートレインの最高出力が削減されたものの、現時点で進めている計画を変更する予定はないようだ。
アメリカのスポーツカーメーカーは当初、自社開発のLMH『SCG 007』に670hp(約680ps)を発揮するアルファロメオのV6ツインターボユニットを搭載することを意図していた。しかし昨年、WECの規定変更によってLMHの最大出力が785hp(約795ps)に引き上げられたため、この計画を断念せざるを得なくなった。
SCGはその後、ラリーエンジニアリングのピポ・モチュール社が開発した最大870psを発揮できる3.8リットルV8ツインターボエンジンを採用することを決め、同社との提携の下で車両開発にあたっている。
そんな折、FIA耐久委員会はLMHの最高出力を680psに削減することを発表。これによりWECの新しい規定が、ACOフランス西部自動車クラブとIMSAが取りまとめたLMDhプラットフォームと同じクラスで戦えることになった。
SCGの創設者であるジェームズ・グリッケンハウスは、このルール変更は事実上、自分たちの会社のオリジナルプランにあったアルファロメオ製エンジンを使用することができたことを意味するとSportscar365に語った。
だが彼は、SCGがより強力なピポ・モチュールのパッケージを使い続けることができると考えている。
「昨年の規定変更は私たちにとって、とても破壊的なものだった」とグリッケンハウスは語った。
「我々はアルファロメオとの取引をゴミとして捨てなければならなかった。それには多くの時間と費用を要したが、ピポ・モチュールと新たに契約を交わし組織を再編成することで我々は目標を達成した」
「その後、ACOとIMSAの間でプラットフォームの収束に向けた動きが強くなり、彼らはある種の調整を進めなければならなくなったんだ」
「IMSAは多くのルールを考え出した。そして基本的にそれに合わせる形で、WECは次世代規定車の最高出力と最低重量を減らすことに合意する必要があった」
「その間に私たちはアルファロメオに多額の予算を投じ、さらに870psを30時間連続で発揮することのできるピポ・モチュールのエンジン開発に多くの費用を費やした」
「そして今、より高性能なエンジンは必要ではなくなった。しかし、私たちが使用するエンジンに関しては同じままだ。これからも変更するつもりもない。(デビューまでに)大きな変更はないはずだ」
「また、我々のクルマの重量は900kgであるため、車両重量の削減(1100kgから1030kg)については最初から問題はない」
SCGと同じくLMHコンストラクターとして新車開発を進めているバイコレス・レーシングチームも彼らと同様に、エンジンの問題に直面した。バイコレスはギブソン・テクノロジー社製のLMP1エンジンを使用する予定だったが、4.5リットルV8自然吸気は795psを充分にカバーできるほど強力なものではなかった。
しかし、5月にアナウンスされたエンジン出力の削減ルールによって最高680psとなったことで、オーストリアのチームはENSO CLM P1/01で使用しているLMP1エンジンのサプライヤーとの関係を継続することが可能となっている。
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