【ライターコラムfrom磐田】暴力行為のブラジル人DFと契約解除…磐田が貫いた「規律あっての組織」
サッカーキング2018年5月26日(土)12時57分
相手選手や相手スタッフに暴力行為を働いたギレルメ [写真]=Getty Images
ジュビロ磐田は15日付でブラジル人DFギレルメと契約を解除した。2日の横浜F・マリノス戦で2枚目の警告を受けて退場処分になった後、横浜FMの喜田拓也に蹴りを入れ、横浜FMのスタッフにも肘打ちするなど暴力行為に及んだ。10日にはJリーグ規律委員会から横浜FM戦の退場による出場停止以外に、6試合の出場停止処分を受けていたが、クラブはそれをはるかに上回る厳しい処分を科した。
磐田の木村稔社長は「(暴力的な行為が)今回が初めてではない」ことを理由に挙げた。2月の春季キャンプ中の練習試合では相手選手へのラフプレーがあり、名波浩監督から前半途中に交代を命じられた。3月の練習中には集中力を欠いたプレーが続き、練習を切り上げさせられた上、4月1日の浦和レッズ戦はクラブの判断で“出場停止”になっていた。
名波監督は「規律あっての組織」とし、「6試合の出場停止後、復帰させたとして、またイエローカードを受けたときに、選手やサポーターはどう思うか。社長や自分の責任も重いものになる。クラブの理念が一本できてきた中であのような行為が出てしまった。クラブの判断は当たり前」と処分は当然とした。
暴力行為の後、ギレルメは横浜FMの喜田を含む関係者に謝罪。翌日には磐田市のクラブハウスを訪れ、事情を説明している。クラブの公式サイトでも、「私が取った行動は決して許されるものではなく、アスリートとしてさまざまな人に夢を与え、手本にならなければならない者として恥ずかしく思う。本当に申し訳ございませんでした」と謝罪文を掲載した。
だが、暴力行為後の行動や謝罪文だけを見れば、なにか物足りない気がしてくる。チームメイトへの謝罪には文面で触れていないし、そうした事実があったことは誰も明かしていない。鹿島アントラーズと2強としてしのぎを削り、3度リーグ制覇するなど黄金時代を築いた名門は、2013年にJ1から陥落。2014年から2シーズンをJ2で戦いながら、OBである名波監督のもと、一丸となって組織力で闘うチームをよみがえらせてきた。そんな中で起こった前代未聞の事件。横浜FM戦後、DF大井健太郎は「(暴力を)止められなかったことを反省したい。彼が反省し、行動していく中で、チームメイトとして支えたい」とゲーム主将としてコメントしていた。木村社長は「最終的に、クラブとして正しい方向に進もうと決断した」と話した。
これまでブラジル、スペインなどのクラブを渡り歩いてきたギレルメだが、磐田が獲得する上での調査段階で、素行への不安は当然あった。監督と衝突し、入団から3日で退団したこともあったという。だが、名波監督や磐田の選手はそれを受け入れ、規律、常識を教えながら、ギレルメの高いポテンシャルをチームで引き出そうとしていた。
ギレルメは現役続行を希望しているという。暴力根絶を目指すサッカー界にあって、あの場面が全世界に配信されてしまった中、ギレルメが心を入れ替え、再出発の道を切り開いてほしいが……。
文=岩田大五
磐田の木村稔社長は「(暴力的な行為が)今回が初めてではない」ことを理由に挙げた。2月の春季キャンプ中の練習試合では相手選手へのラフプレーがあり、名波浩監督から前半途中に交代を命じられた。3月の練習中には集中力を欠いたプレーが続き、練習を切り上げさせられた上、4月1日の浦和レッズ戦はクラブの判断で“出場停止”になっていた。
名波監督は「規律あっての組織」とし、「6試合の出場停止後、復帰させたとして、またイエローカードを受けたときに、選手やサポーターはどう思うか。社長や自分の責任も重いものになる。クラブの理念が一本できてきた中であのような行為が出てしまった。クラブの判断は当たり前」と処分は当然とした。
暴力行為の後、ギレルメは横浜FMの喜田を含む関係者に謝罪。翌日には磐田市のクラブハウスを訪れ、事情を説明している。クラブの公式サイトでも、「私が取った行動は決して許されるものではなく、アスリートとしてさまざまな人に夢を与え、手本にならなければならない者として恥ずかしく思う。本当に申し訳ございませんでした」と謝罪文を掲載した。
だが、暴力行為後の行動や謝罪文だけを見れば、なにか物足りない気がしてくる。チームメイトへの謝罪には文面で触れていないし、そうした事実があったことは誰も明かしていない。鹿島アントラーズと2強としてしのぎを削り、3度リーグ制覇するなど黄金時代を築いた名門は、2013年にJ1から陥落。2014年から2シーズンをJ2で戦いながら、OBである名波監督のもと、一丸となって組織力で闘うチームをよみがえらせてきた。そんな中で起こった前代未聞の事件。横浜FM戦後、DF大井健太郎は「(暴力を)止められなかったことを反省したい。彼が反省し、行動していく中で、チームメイトとして支えたい」とゲーム主将としてコメントしていた。木村社長は「最終的に、クラブとして正しい方向に進もうと決断した」と話した。
これまでブラジル、スペインなどのクラブを渡り歩いてきたギレルメだが、磐田が獲得する上での調査段階で、素行への不安は当然あった。監督と衝突し、入団から3日で退団したこともあったという。だが、名波監督や磐田の選手はそれを受け入れ、規律、常識を教えながら、ギレルメの高いポテンシャルをチームで引き出そうとしていた。
ギレルメは現役続行を希望しているという。暴力根絶を目指すサッカー界にあって、あの場面が全世界に配信されてしまった中、ギレルメが心を入れ替え、再出発の道を切り開いてほしいが……。
文=岩田大五
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