モナコの不運がボッタスのF1キャリアを左右か。メルセデス後には魅力的な選択肢なし
F1モナコGPでリタイアを強いられた際のバルテリ・ボッタスの苛立ちは察するに余りある。たやすく手に入ったはずの表彰台が、ピットストップ作業の大失敗によって奪われたのだ。
モナコはF1カレンダーのなかでも最も厳しいコースのひとつだ。そこでボッタスは、週末を通してチームメイトのルイス・ハミルトンを上回っていた。2017年のモナコでも同様で、ボッタスはポールポジションから0.045秒差の3番手だったのに対し、ハミルトンは予選Q2で不運もあり敗退した。
ボッタスは今回のモナコで走り切っていれば、チャンピオンシップにおいてチームメイトとの差を大きく縮めることが可能だったが、彼の過失ではない理由によってリタイアせざるを得ず、そのチャンスを失った。
決勝後、ハミルトンはチーム、マシン、戦略について声高に批判した。ジェームズ・ボウルズの戦略により早めのピットストップを行ったがピエール・ガスリーのアンダーカットに失敗、その後、セバスチャン・ベッテルやセルジオ・ペレスにも前に出られたことに、ハミルトンは腹を立てていた。一方でボッタスの振る舞いは、彼がいかにこのチームにふさわしい人物かを示していた。
「ものすごくがっかりした。ペースは良かったんだ。簡単ではなかっただろうが、マックスを最後までプッシュしていくことができただろう」とボッタスは語った。
「あれがヒューマンエラーであろうが、テクニカルトラブルだろうが関係ない。とにかく解決策を見つける必要がある。もしヒューマンエラーだったら、担当したスタッフをサポートする必要がある。そして僕たちはそこから学ばなければならない。それが今僕の頭にある最も重要なことだ」
ボッタスのトラブルにヒューマンエラーの要素があったことを考えれば、メカニックたちは彼に非常にいい印象を持っただろう。ボッタスは、何かがうまくいかないときに誰かを名指しで非難したりはしない。誰かがミスを犯したときですら、そのスタッフをかばってくれる人物だということを、チームスタッフは分かっている。
■「呪われている」かのように不運なボッタス。今季好結果を挙げられるか
このように、ボッタスは良きチームプレイヤーであり、予選でハミルトンに勝つ力を持ったドライバーであるにもかかわらず(今年は5戦中2回勝っている)、2022年のメルセデスのシートを確保できないかもしれない。ボッタスは2017年にメルセデスに加入して以来、毎年1年ずつの更新でこの5年を過ごし、複数年契約がオファーされないことに不満を持ってきた。ところが来年に向けては、ついに契約が延長されない可能性があるのだ。チーム代表トト・ウォルフは、ボッタスの代わりに若きジョージ・ラッセルを起用する必要性を感じている。ハミルトンが引退する時に備え、すでにメルセデスに馴染んでいる前途有望なラッセルを確保しておきたいからだ。そしてその状況をボッタスはよく承知している。
イギリスのメディアは、ラッセルが来年に向けすでにメルセデスとの契約を締結したと考えている。しかし実際には、ウォルフは、ハミルトンとの新契約を結ぶまでは、2022年のセカンドドライバーを選ばないだろう。
ボッタスは彼の将来をできるだけ早く決めたいと考えているが、現実にはメルセデス以外に興味を持てる代替案はない。フェラーリとマクラーレンについては、現在のドライバーたちが少なくともあと1年契約下にある。レッドブルは基本的には育成プログラム出身者からドライバーを選ぶため、選択肢とはならない。
チームの序列を下げて、アルピーヌやアストンマーティンを検討するとしても、どちらもシートに空きが出ることはなさそうだ。アストンマーティンのケースでは、ベッテルが複数年契約を結んでおり、ランス・ストロールはチームオーナーの息子だ。アルピーヌでは、フェルナンド・アロンソが複数年契約下にあり、エステバン・オコンはメルセデス傘下を離れて現在所属するアルピーヌと長期契約を結ぶものと広く予想されている。
つまり、今年の終わりにベッテルかアロンソが予想外の引退を決めることでもない限り、この2チームに加入することはできないだろう。
アルファロメオ、ハース、ウイリアムズにまで目を向けてみると、ハースはすでに来年も今季のラインナップが継続されることが決まっている。そして、この4年半に17回のポールポジション獲得と9回のグランプリ優勝を果たしたボッタスにとって、アルファロメオとウイリアムズは、魅力的な選択肢ではないだろう。
こういった状況を考えると、モナコでのリタイアがボッタスにとってどれほどの痛手だったかが分かる。メルセデスとの来季契約を実現するためには、良い結果を出して彼らを納得させる必要がある。モナコの週末には、ハミルトンより確実にいいペースで走るという、いかなるドライバーにとっても困難な仕事を成し遂げていた。しかしボッタスはトラブルでリタイアしなければならず、リザルト上はノーポイントに終わった。
ボッタスの不運は今では伝説になりそうなレベルだ。ウォルフ代表は、「バルテリはほとんど呪われているようだ」と同情を示している。しかしチームや親会社が決断を下す際に、考慮するのはあくまで結果だ。だからこそ、ボッタスには今すぐ大きな幸運が必要だ。メルセデスのシートを失った場合、彼のF1キャリアは危機的状況を迎える。F1に残るには、後方グリッドで走ることを検討しなければならないからだ。
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