「GTLM消滅は悲しいが、GT3こそが未来」と“プロ”クラスに上がったウェザーテック・ポルシェのマクニール/IMSA&ル・マン
IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTLMクラスに参戦しているウェザーテック・レーシングのドライバー、クーパー・マクニールが、2年連続で挑むル・マン24時間レースと“プロクラス”への移行、そして来季IMSAで新たに採用される『GTDプロ』クラスへの見通しなどについて、考えを明らかにした。
ポルシェがファクトリープログラムを停止したことにより、シボレーとBMWのみがワークス参戦している今年のIMSA・GTLMクラス。しかもBMWはフル参戦ではなく、“ミシュラン・エンデュランス・カップ”のみのエントリーとなる。
そのGTLMクラスに、プロトン・コンペティションのサポートを受けながら、79号車ポルシェ911 RSR-19で今季から参戦しているのがウェザーテック・レーシングだ。IMSAではマクニールがフル参戦し、ほかのドライバーはレースごとに入れ替わる体制を採っているが、ここまではポルシェワークスドライバーなど、錚々たる顔ぶれがエントリーしている。
チームはまた、2021年のル・マン24時間レースのエントリーリストにも名を連ねている。マクニールはル・マンのレースに向け、ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズのレースにもポルシェで参戦。先日のレッドブルリンク4時間レースでELMSデビューを果たしたマクニールは、マット・キャンベル、そしてプロトン・コンペティションのチームボスであるクリスチャン・リードとともに、クラス6位でフィニッシュしている。
マクニールはル・マン前に行なわれるポール・リカールとモンツァを含むELMSの残りのレースにも参戦し、IMSAのレースと合わせてGTE仕様のポルシェでのマイレージを稼ぐ方針だという。
「競争の激しいヨーロッパの雰囲気のなかで、このポルシェ911 RSR-19をもっとドライブしたかったんだ」とマクニールは、Endurance-infoに対し語っている。
「そのための最良で、かつ予算にもっとも見合っているのがELMSだった」
「IMSAのGTLMクラスでも、引き続きドライブする。いずれのシリーズでの参戦も、チームやドライバーたちと確かな関係を築くこと、また僕自身がこのクルマを学んでいくことの助けになると思う」
「目標は、なるべく多くの時間、ステアリングを握ることだ。僕らはGTEプロクラスでル・マンを戦うことになるが、それはおそらく難しいものだ。僕らは世界屈指のチームやドライバーと対戦することになる」
「ル・マンは地球上でもっとも権威のあるレースだ。だから、その大きなレースの前にできるだけ多くの準備をすることが重要になる」
28歳のマクニールは、FIAのドライバー・カテゴライゼーションではシルバーにレーティングされている。昨年のル・マン24時間には、トニ・バイランダー、ジェフ・シーガルとともにスクーデリア・コルサのフェラーリ488 GTE Evoで出場した。
■ル・マンでLMGTEアマクラスに参戦する場合の問題点
GTEプロクラスに再び参戦するという決定は、ウェザーテック選手権とル・マンの間での「確かな継続性」を維持したいからであると、マクニールは述べている。
「僕たちはIMSAでは今年GTLMクラスに参戦しているし、昨年のル・マン24時間ではLMGTEプロクラスでドライブした」とマクニール。
「(昨年のル・マンは)トニーのクラッシュがなければ4位でフィニッシュしていただろうし、もう少し何かがあれば表彰台に立てていたかもしれない」
「LMGTEアマクラスのレベルは非常に高いけれど、(ラインアップに)ブロンズ・ドライバーが必須になるという問題がある」
「ル・マンに出場した経験があり、速く、資金を持つ(ブロンズ)ドライバーを見つけるのは非常に困難だ。GTEプロでは、この種の心配をする必要がない」
「非常に強力なフィールドに直面することは分かっているが、それがアマであれプロであれ、レースは常に難しい。一列に並んで走るような、イージーなレースはない」
「ポルシェ、コルベット、フェラーリといったマシンたちと競争するのは素晴らしいことであり、すごくモチベーションが湧くよ」
「ウェザーテック・カンパニーとして、僕らはお互いに向き合い、最高のライバルを打ち負かそうとしている。これがGTLM、そしてル・マンでGTEプロへとステップアップした理由だ」
「競争のレベルは信じられないほど高いが、チャンスがあることも分かっている。(クラス優勝したIMSA第2戦の)セブリングでは自分たちにペースがあることを確認したが、(開幕戦の)デイトナでもレースが始まる前に問題が起こらなかったら、同じだったと思う」
「プロカテゴリーに移ったことに、後悔はないよ」
ウェザーテック選手権におけるマクニールの次のレースは、ワトキンス・グレン6時間レースだ。キャンベル、そしてマシュー・ジャミネが再びマクニールに加わる。
なお、チームはル・マン24時間におけるマクニール以外のドライバーラインアップを、まだ発表していない。
■2022年のGTDプロクラス参戦は未定。BoPを注視
かようにしてプロカテゴリーを選んだ今年のマクニールだが、来季のIMSAではGTLMクラスが消滅し、GT3車両をベースにした『GTDプロ』クラスに取って代わる。マクニールはGTDプロクラスにおいてオールプロのラインアップを継続するか、プロ/アマとなるGTDクラスへ復帰するかについては、現在のところ未定であると述べている。
「この新しいクラスに関する懸念は、BoP(性能調整)だ」とマクニールは語っている。
「GTDプロとGTDでは、マシンは同じ(GT3)だろう。両クラスでBoPは同じだろうから、現時点でどちらを選択するか明言するのは難しい」
「プロクラスでより良いBoPが得られるのなら、そちらに行く。現在のところ、僕はGTD全体について、より考えを巡らせている」
「新たなGTDプラットフォームが構築されるなかで、GTDプロの一部になれるのであれば嬉しい。ただ、ポルシェ911 RSRは素晴らしいクルマだから、GTLMクラスが消滅するのを目の当たりにするのは悲しいことだ」
「GTLMのマシンがIMSAで走れなくなるのは本当に残念だけど、モータースポーツの世界はGT3へと向かっていると思う」
「もうすぐ、世界中でGT3カーのレースができるようになる。これこそが未来だ」
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