批判殺到の藤浪晋太郎に“同情”の声も 泥沼のア軍で浮上する「ほかに選択肢がない」問題
ベンチで悔しそうな表情を浮かべる藤浪。連日、思うような結果を残せずに右腕は苦しんでいる。(C)Getty Images
日本球界屈指のパワーアームの地力が“野球の本場”で問われ続けている。
現地6月5日に敵地で行なわれたパイレーツ戦で、藤浪晋太郎(アスレティックス)は、チームが3-1とリードした6回に4番手で登板。1死満塁という難局での抜擢だったが、連続の押し出し四球と犠飛であっけなく逆転を許した。数字上は1回2/3(30球)を投げて、被安打1、無失点だったが、マウンド上で悔し気な表情を浮かべた背番号11は膝に手をついた。
【動画】164キロもむなしい押し出し。藤浪晋太郎と強打者マカッチェンの対峙シーン
直近8登板で失点を喫したのは4試合目という藤浪。さらに防御率は9.39、与四球率も5.87と不安定さは相変わらずだ。そんな右腕には現地メディアからもシビアな評価が殺到。米メディア『IUSTV』のザケ・シャパイロ記者は「彼との契約はアスレティックス史上最悪の契約だ。とにかく、フジナミはここ(メジャーリーグ)でやれる選手じゃない」と断じている。
一方で藤浪に“同情”する声もある。米野球データサイト『Fan Graphs』で編集や執筆を行なっているジョン・ベッカー氏は「満塁でフジナミを投入するのは確かに選択肢のひとつだ。だけど、他の選択肢がないのは問題である」と指摘。
さらにアスレティックスのポッドキャスト番組『Athletics Rants』のコメンタリーであるクリス・ラザサ氏は「コッツェイ(監督)がフジナミの起用に固執する理由が理解できない。ただ、ほかに選択肢があるわけでもないのだが……」とチームを憂いた。
藤浪に同情するほどアスレティックスの中継ぎ陣、ひいては投手陣の内容が芳しくない。今季の彼らのチーム防御率はメジャーワーストの6.69。先発(7.10)と中継ぎ(6.22)ともに安定感はない。さらに藤浪の課題でもある制球力に至っては他の投手も同じで、チームの与四球率は4.74と悪化し続けている。
つまり1死満塁というピンチにあって、試合前まで防御率12点台だった背番号11をマウンドに送らざるを得ないほど、今のアスレティックス投手陣は“火の車”というわけである。
さらに今のアスレティックスは投手陣だけなくチーム状態そのものが最悪と言っていい。5日のパイレーツ戦での黒星によりアスレティックスは敵地で15連敗……。シーズン最初の62試合で50敗を喫したのは、いわゆる近代野球が始まったとされる1900年以降では1932年のレッドソックス以来2チーム目となった。
そんな泥沼化するチームのなかで、この日も藤浪は最速102.1マイル(約164.3キロ)を記録し、ボールの出力は以前よりも安定してきた感もある。すでに一人のピッチャーの奮起だけではどうにもならないほどアスレティックスの状況は悲惨ではあるが、29歳のサムライは、どうにか改善の兆しを見せられるだろうか。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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