「トルシエは臆病なところがあって…」ベスト16進出の舞台裏で築かれた“チーム”の秘密
サッカーキング2018年6月7日(木)18時58分
強固な結束を武器に、トルシエジャパンは日韓W杯でベスト16進出を果たした
4年に1度の祭典を目前に控え、暗雲が立ち込めている。2018FIFAワールドカップ ロシア開幕前最後の国内ゲームとなったキリンチャレンジカップ2018(ガーナ戦)。日本代表は前後半で計2失点を喫すると、得点を奪えないまま試合終了。攻守に不安を抱えたまま合宿地のスイスへと発った。
「チームが上手く機能しないときは、エゴというか、自分だけの意見を主張したり、コミュニケーションが取れていなかったり……、『チームがどう戦う』より個人のことしか考えてなかったりとか。そうなるとサッカーは上手くいかなくなる」
そう話すのは、日本代表として過去2度のワールドカップを経験し、日韓大会ではベスト16進出を果たした中田浩二氏(現・鹿島アントラーズCRO)だ。本番を約2カ月後に控えた4月9日、選手との“コミュニケーション不足”を理由に、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が解任された。ロシアW杯を目前に控えての解任劇は、日本中に波紋を広げた。代わって技術委員長の西野朗氏が監督に就任したものの「日本代表は大丈夫なのか?」そんな声がいたるところから挙がった。それでも中田氏は、「『チームのために何ができるのか?』を考えながら、みんながプレーするとうまく転ぶことがある」という。その言葉を体現したのが、中田氏も出場した2002年の日韓W杯だった。
1998年のフランスW杯で初めて“世界”を経験してから4年、日本代表にとって2度目の大舞台は自国開催だった。たくさんのサポーターの期待を背に、誰も経験したことがない重圧と戦わなければならなかった。そんな中、チームに活気をもたらしたのは、ワールドカップの重圧を知る選手たちだった。
「日韓大会は自国開催で色々なプレッシャーがありました。そんな中、全員が何をしなきゃいけないか考えて、中山(雅史)さんや秋田(豊)さんたちベンチにいる選手が腐ることなくトレーニングから一生懸命やって盛り上げてくれた」
“ジョホールバルの歓喜”を経て、世界への扉を開いたベテランがチームを鼓舞した。ディフェンス陣のレギュラーとして全4試合にフル出場した中田氏も当時を振り返り「チームの雰囲気は本当に良かった」と話す。結束した日本代表は大歓声飛び交うホームで地の利を生かし、快進撃を続けた。
「トルシエがそこまで考えていたかは分からないけど、雰囲気を作れるベテランを置いたことは本当に成功したと思う。2010年の南アフリカW杯も俊輔(中村俊輔)が直前でスタメンから外れたけど、腐らずに一生懸命チームを支えていたと聞きました。ワールドカップではそういうところが大事になってくるのかなと思います」
日韓大会で日本代表を率いたフィリップ・トルシエ監督は、激しい口調とジェスチャーで自身が思い描く戦術を徹底的に叩き込んだ。フランスのマルセイユでもプレーした中田氏は「フランス人自体、プライドが高いですから(笑)」と前置きしながらも、「トルシエは色々と言いますけど、意外と気が小さいところがあって、(強く言うのは)パフォーマンスの意味合いが強いです。メディアが来ているから激しい口調を見せたり。でも、裏では選手に話しかけて、1人ひとりとコミュニケーションを取ってました」と語った。
メディアにパフォーマンするのは選手を守る意味があったのか?という質問に対し、「自分を守ってるんじゃないですか?(笑)」と冗談を口にできるのも、確かなコミュニケーションがあったからだろう。
西野ジャパンに残されたテストマッチは2試合のみ。6月8日にスイス代表と、同12日にパラグアイ代表と対戦し、19日にはロシアW杯初戦のコロンビア戦を迎える。細かな戦術を落とし込む時間が限られる今、チームとして本当の結束力が試されようとしている。
インタビュー・文=加藤聡
「チームが上手く機能しないときは、エゴというか、自分だけの意見を主張したり、コミュニケーションが取れていなかったり……、『チームがどう戦う』より個人のことしか考えてなかったりとか。そうなるとサッカーは上手くいかなくなる」
そう話すのは、日本代表として過去2度のワールドカップを経験し、日韓大会ではベスト16進出を果たした中田浩二氏(現・鹿島アントラーズCRO)だ。本番を約2カ月後に控えた4月9日、選手との“コミュニケーション不足”を理由に、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が解任された。ロシアW杯を目前に控えての解任劇は、日本中に波紋を広げた。代わって技術委員長の西野朗氏が監督に就任したものの「日本代表は大丈夫なのか?」そんな声がいたるところから挙がった。それでも中田氏は、「『チームのために何ができるのか?』を考えながら、みんながプレーするとうまく転ぶことがある」という。その言葉を体現したのが、中田氏も出場した2002年の日韓W杯だった。
1998年のフランスW杯で初めて“世界”を経験してから4年、日本代表にとって2度目の大舞台は自国開催だった。たくさんのサポーターの期待を背に、誰も経験したことがない重圧と戦わなければならなかった。そんな中、チームに活気をもたらしたのは、ワールドカップの重圧を知る選手たちだった。
「日韓大会は自国開催で色々なプレッシャーがありました。そんな中、全員が何をしなきゃいけないか考えて、中山(雅史)さんや秋田(豊)さんたちベンチにいる選手が腐ることなくトレーニングから一生懸命やって盛り上げてくれた」
“ジョホールバルの歓喜”を経て、世界への扉を開いたベテランがチームを鼓舞した。ディフェンス陣のレギュラーとして全4試合にフル出場した中田氏も当時を振り返り「チームの雰囲気は本当に良かった」と話す。結束した日本代表は大歓声飛び交うホームで地の利を生かし、快進撃を続けた。
「トルシエがそこまで考えていたかは分からないけど、雰囲気を作れるベテランを置いたことは本当に成功したと思う。2010年の南アフリカW杯も俊輔(中村俊輔)が直前でスタメンから外れたけど、腐らずに一生懸命チームを支えていたと聞きました。ワールドカップではそういうところが大事になってくるのかなと思います」
日韓大会で日本代表を率いたフィリップ・トルシエ監督は、激しい口調とジェスチャーで自身が思い描く戦術を徹底的に叩き込んだ。フランスのマルセイユでもプレーした中田氏は「フランス人自体、プライドが高いですから(笑)」と前置きしながらも、「トルシエは色々と言いますけど、意外と気が小さいところがあって、(強く言うのは)パフォーマンスの意味合いが強いです。メディアが来ているから激しい口調を見せたり。でも、裏では選手に話しかけて、1人ひとりとコミュニケーションを取ってました」と語った。
メディアにパフォーマンするのは選手を守る意味があったのか?という質問に対し、「自分を守ってるんじゃないですか?(笑)」と冗談を口にできるのも、確かなコミュニケーションがあったからだろう。
西野ジャパンに残されたテストマッチは2試合のみ。6月8日にスイス代表と、同12日にパラグアイ代表と対戦し、19日にはロシアW杯初戦のコロンビア戦を迎える。細かな戦術を落とし込む時間が限られる今、チームとして本当の結束力が試されようとしている。
インタビュー・文=加藤聡
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