「試合に出たい!」気持ちがぶつかり合った2006年…「ジーコはすごく苦労したと思う」
サッカーキング2018年6月9日(土)20時37分
大きな期待を集めながらドイツW杯グループステージ敗退に終わったジーコジャパンの真実とは
国際親善試合が8日に行われ、日本代表とスイス代表が対戦した。2018FIFAワールドカップ ロシアの開幕を目前に控え、結果と内容が求められた一戦だった。しかし、前後半で2失点を喫すると攻撃陣も沈黙。FIFAランキング6位の格上を相手に攻守両面で力負けを喫した。
これで西野朗監督就任以降、5月のガーナ戦に続き2連敗。ワールドカップ本戦前、残すテストマッチは12日のパラグアイ戦のみ。以前、不安を払拭できないまま、本番を迎えようとしている。
世界の大舞台で勝ち抜くには、チームとして強固な結束が不可欠だ。元日本代表の中田浩二氏(現・鹿島アントラーズCRO)は「23人がまとまってやれば良い結果が出るんじゃないかと思う」と語る。ロシアW杯へ不安の声が多く挙がる中、中田氏がそう話すのには理由がある。史上初となるベスト16進出を果たした2002年日韓W杯と、グループステージ敗退を喫した2006年ドイツW杯――、中田氏が出場した2度のワールドカップで“チーム”の重要性を痛感したからだ。
豪華絢爛な顔ぶれだった。ドイツW杯の本戦メンバーに名を連ねたのは、中田英寿、中村俊輔の二大司令塔に、1999年ワールドユース準優勝メンバーの高原直泰、小野伸二、稲本潤一、小笠原満男、遠藤保仁、加地亮ら“黄金世代”。中でもテクニックと創造性に溢れた中盤は「歴代最強」とも称されるほどだった。個の能力の高さに加え、海外リーグでプレーする選手も多かった。世界とも対等に戦える――、サポーターの期待は膨らんだ。しかし、本戦の結果は1分2敗でグループステージ敗退。サポーターの期待とは裏腹に、世界の壁の高さを痛感する結果となった。
当時を振り返り、中田氏は一人ひとりの気持ちの強さが災いしたと話す。
「ドイツW杯のときは、メンバー全員が『勝ちたい!』『試合に出たい!』という気持ちが強すぎた。それ自体は良いことなんですけど……。僕も『ベンチにいるときにもっと盛り上げられれば…』とか、『チームをまとめることができれば…』っていう後悔はありますね。でも、どうしても試合に出たい気持ちが強かった。ジーコはすごく苦労したと思う(笑)」
ジーコジャパンは海外組が多かったこともあり、国内組と戦術に対する考え方にギャップが生じた。練習中に戦術を巡って激しく議論するシーンは、不仲説が囁かれるほど大きな話題となった。選手個々が強い気持ちとこだわりを胸にレギュラーを目指したことで“チーム”としての結束力は築けなかったという。
対照的だったのが、自国開催でベスト16進出を果たした2002年の日韓W杯だった。ベンチメンバーだった中山雅史や秋田豊らベテラン勢がトレーニングから積極的に声を出しチームを鼓舞した。その姿に引っ張られるかのように若手、ベテラン、スタメン、ベンチメンバー、立場関係なく1つのチームとして大会に挑み、史上初のベスト16進出を果たした。
「中山さんや秋田さんのように振る舞うことができれば、ドイツでも結果が変わったかもしれない。ワールドカップは短期決戦なので、その期間でどれだけまとまれるかが大事です」
6月14日に開幕するロシアW杯。日本代表はグループステージでコロンビア(FIFAランキング16位)、セネガル(同27位)、ポーランド(同8位)と、いずれもランキング上位のチームと相対する。
※日本代表は6月9日現在、FIFAランキング61位
中でもコロンビアは別格だ。ラダメル・ファルカオ(ASモナコ)、ハメス・ロドリゲス(バイエルン・ミュンヘン)、ファン・クアドラード(ユヴェントス)ら世界トップクラスのアタッカーを揃えている。3月に開催されたフランスとの親善試合では、アウェイにもかかわらず、3-2の逆転勝利を収めた。それでも、中田氏は「そんなに気にしなくていい」と話す。
「コロンビア代表がフランスに勝ったし、ヨーロッパで活躍する選手もいるけど、それは“今”であって、ワールドカップではない。2006年は僕たちも本戦前にドイツとすごい試合をしたけれど、結果がどうだったかと考えると……。どこに照準を合わせるかで結果も変わってくるので、そんなに気にしなくていい。良い選手、強いチームはあるけど、それがそのままワールドカップで同じ力をキープできるかは分からないから」
ドイツW杯開幕前、日本代表は開催国を相手に2-2の好ゲームを演じた。しかし、全く違った展開となるのが、ワールドカップ本戦だ。6月19日の初戦まであと10日、残されたわずかな時間でどこまでチーム力を上げられるかが鍵となりそうだ。
インタビュー・文=加藤聡
これで西野朗監督就任以降、5月のガーナ戦に続き2連敗。ワールドカップ本戦前、残すテストマッチは12日のパラグアイ戦のみ。以前、不安を払拭できないまま、本番を迎えようとしている。
世界の大舞台で勝ち抜くには、チームとして強固な結束が不可欠だ。元日本代表の中田浩二氏(現・鹿島アントラーズCRO)は「23人がまとまってやれば良い結果が出るんじゃないかと思う」と語る。ロシアW杯へ不安の声が多く挙がる中、中田氏がそう話すのには理由がある。史上初となるベスト16進出を果たした2002年日韓W杯と、グループステージ敗退を喫した2006年ドイツW杯――、中田氏が出場した2度のワールドカップで“チーム”の重要性を痛感したからだ。
豪華絢爛な顔ぶれだった。ドイツW杯の本戦メンバーに名を連ねたのは、中田英寿、中村俊輔の二大司令塔に、1999年ワールドユース準優勝メンバーの高原直泰、小野伸二、稲本潤一、小笠原満男、遠藤保仁、加地亮ら“黄金世代”。中でもテクニックと創造性に溢れた中盤は「歴代最強」とも称されるほどだった。個の能力の高さに加え、海外リーグでプレーする選手も多かった。世界とも対等に戦える――、サポーターの期待は膨らんだ。しかし、本戦の結果は1分2敗でグループステージ敗退。サポーターの期待とは裏腹に、世界の壁の高さを痛感する結果となった。
当時を振り返り、中田氏は一人ひとりの気持ちの強さが災いしたと話す。
「ドイツW杯のときは、メンバー全員が『勝ちたい!』『試合に出たい!』という気持ちが強すぎた。それ自体は良いことなんですけど……。僕も『ベンチにいるときにもっと盛り上げられれば…』とか、『チームをまとめることができれば…』っていう後悔はありますね。でも、どうしても試合に出たい気持ちが強かった。ジーコはすごく苦労したと思う(笑)」
ジーコジャパンは海外組が多かったこともあり、国内組と戦術に対する考え方にギャップが生じた。練習中に戦術を巡って激しく議論するシーンは、不仲説が囁かれるほど大きな話題となった。選手個々が強い気持ちとこだわりを胸にレギュラーを目指したことで“チーム”としての結束力は築けなかったという。
対照的だったのが、自国開催でベスト16進出を果たした2002年の日韓W杯だった。ベンチメンバーだった中山雅史や秋田豊らベテラン勢がトレーニングから積極的に声を出しチームを鼓舞した。その姿に引っ張られるかのように若手、ベテラン、スタメン、ベンチメンバー、立場関係なく1つのチームとして大会に挑み、史上初のベスト16進出を果たした。
「中山さんや秋田さんのように振る舞うことができれば、ドイツでも結果が変わったかもしれない。ワールドカップは短期決戦なので、その期間でどれだけまとまれるかが大事です」
6月14日に開幕するロシアW杯。日本代表はグループステージでコロンビア(FIFAランキング16位)、セネガル(同27位)、ポーランド(同8位)と、いずれもランキング上位のチームと相対する。
※日本代表は6月9日現在、FIFAランキング61位
中でもコロンビアは別格だ。ラダメル・ファルカオ(ASモナコ)、ハメス・ロドリゲス(バイエルン・ミュンヘン)、ファン・クアドラード(ユヴェントス)ら世界トップクラスのアタッカーを揃えている。3月に開催されたフランスとの親善試合では、アウェイにもかかわらず、3-2の逆転勝利を収めた。それでも、中田氏は「そんなに気にしなくていい」と話す。
「コロンビア代表がフランスに勝ったし、ヨーロッパで活躍する選手もいるけど、それは“今”であって、ワールドカップではない。2006年は僕たちも本戦前にドイツとすごい試合をしたけれど、結果がどうだったかと考えると……。どこに照準を合わせるかで結果も変わってくるので、そんなに気にしなくていい。良い選手、強いチームはあるけど、それがそのままワールドカップで同じ力をキープできるかは分からないから」
ドイツW杯開幕前、日本代表は開催国を相手に2-2の好ゲームを演じた。しかし、全く違った展開となるのが、ワールドカップ本戦だ。6月19日の初戦まであと10日、残されたわずかな時間でどこまでチーム力を上げられるかが鍵となりそうだ。
インタビュー・文=加藤聡
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