キャデラック、デザイン公開の新型LMDhは最終的なモデルに「かなり近い」/WEC&IMSA
ゼネラルモーターズ(GM)のスポーツカーレース・プログラム・マネージャーのローラ・ウォントロップ・クラウザーによると、GMのブランドが6月9日に公開した『キャデラック・プロジェクトGTPハイパーカー』は、メーカーが意図する最終的なLMDhカーのデザインに「かなり近い」ものだという。
既報のとおり、キャデラックは2023年のWEC世界耐久選手権とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のフルシーズンを戦うための新型プロトタイプカーのデザインを木曜日に公開した。
実車ではなくプレビューとしての公開となったが、ブランドを象徴する特徴的なデザイン要素が散りばめられた車両は、現行DPiモデルの『キャデラックDPi-V.R』と比較しても市販車のスタイリングキューが増加している印象だ。
「私たちがお見せしたのは、(キャデラックが)このクルマでどこに向かいたいか、という方向性です。その点においては完成形とかなり近いです」とクラウザーはSportscar365に語った。
「微調整は入ります。クルマの改善すべきエリアが見つかればより効率的に何かを行い、より良い方法があればいくつかの変更が生じるはずです」
「絶え間ない反復作業と改善が行われ、小さなことを積み重ねてきました」
クラウザーは、リヤウイングのデザインや現在のバックビューミラーの欠如についての質問に対し、LMDhのレギュレーションの観点から、いくつかのコンポーネントは「少し」解釈の余地があるかもしれないと述べた。
「今日お見せできたのは、彼らが何かを作るためにチョークラインを折らなければならなかった『その瞬間』です」とクラウザーは説明する。
「私たちは仕事を進めています。2023年の1月に走るレースがあるのは明らかですからね」
「全体的に見ると……最終的なホモロゲーションのレースカーになったとき、それらが同じものであったことがわかるでしょう」
■新しいエンジンのダイノテストは完了
プロジェクトGTPハイパーカーの搭載エンジンは、ECRチューンのDPiエンジンと同じ5.5リッターの排気量を特徴とする一方、クラウザーはまったく新しい“グラウンドアップ”されたV8パワープラントの開発が、ミシガン州ポンティアックのキャデラック専門チームによって担当されたと語った。
これは、コルベットのC8.Rエンジン・プログラムにも見られる構造で、同じディレクターによって監督されているが担当スタッフは異なるという。
「(プロジェクトGTPハイパーカーはIMSA共通仕様の)ハイブリッドシステムを搭載した、まったく新しいクルマです。それは物事へのアプローチに対して多くの新しい方法を駆り立てました」とクラウザー。
「古いエンジンを使ってうまくやることもできましたが、最初からやり直し、適切なエンジンを作ることもできました。だから、私たちはその選択肢を選んだのです」
クラウザーは、このエンジンがLMDh仕様のハイブリッドパワートレインを使用しているかどうかにかかわらず、すでにダイノテストを終えていることを確認した。
■パートナーの2チームとはテストにおいて「非常に密接に」協力する
キャデラックの最初のシャーシはすでにアメリカに到着しており、クラウザーは今年の夏からサーキットでのテストを開始すると述べた。
彼女は具体的な時期は明らかにしていないが、Sportscar365は最初のテストはチップ・ガナッシ・レーシング(CGR)とアクション・エクスプレス・レーシング(AXR)の2チームとの共同作業となり、今月末に実現するのではないかと考えている。
「両チームは非常に緊密に連携しています」とクラウザーは言う。「目標はできるだけ早く2台のマシンを入手し、それぞれのワークショップに1台ずつ置けるようにすることです」
「しかし当面は1台だけで、インディアナポリスの隣にあるダラーラに収容されますが、AXRもテストに参加します」
「私たちは(パートナーの)すべてをひとつのユニットとして計画してきました。互いに助け合いながらそこに行くことをを計画しています。このプログラム全体が成功するよう、皆を一緒に正しい方向に向かわせるという考え方です」
各シリーズに投入されるクルマの台数について尋ねられたクラウザーは、ウェザーテック選手権に各チーム1台の計2台、WECでは1台がフルシーズンのキャンペーンを行うこを示唆した。デイトナ24時間とル・マンには、パーツの入手状況やACOからの招待次第でさらに多くのマシンを持ち込みたいと考えている。
「サプライチェーンが非常に限られています。現実的に考えて、クルマを増やそうと思ってもパーツの調達が間に合いません」
「とはいえ、現在の計画には満足しています。最初の1年はタイトなままでいいのです。なぜなら、これは非常に複雑な新車であり、私たちはチームが確実に成功するために準備をしたいと考えているからです」
「あまり無理をすると、そこで問題が発生します。なので、初年度としては正しい動きだと思います。私たちはそこからどこに行くかを決めます」
「プログラムは、年月が経てば変わる可能性があります。このクルマでビッグレースに出るチャンスは5回。私たちはそれが理にかなったものになるように進化していくでしょう」
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