WEC:BoP変更で10kg増となったコルベット、ライバルの速さに対し「さらなる調整を」
IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップのGTル・マンクラスを主戦場としながら例年、ル・マン24時間レースにスポット参戦しているコルベット・レーシング。彼らが走らせるシボレー・コルベットC7.Rは6月12日に交付されたBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)によって最低重量が10kg増加する調整を受けたが、この決定に対し同チームのプログラムマネージャーを務めるダグ・フィーハンは再調整を望んでいる。
コルベット・レーシングは昨年、レース最終盤までアストンマーチンの旧型バンテージGTEとLM-GTEプロクラスの優勝争いを展開し、最終的に63号車コルベットがクラス3位でチェッカーを受けた。
例年同様2台体制で挑む今季のル・マンでは、6月3日に行われたテストデーでトップタイムをマークしたポルシェ911 RSRから約1.6秒差のクラス10番手、11番手に留まっている。
そうしたなかで発表された最新BoPは、ポルシェの性能(=数値)を維持しながらコルベットの重量を増加させる、すなわち性能を抑制するものであり、陣営にとっては期待を裏切る調整となった。
しかし、フィーハンは「10kg増えたマシンの最低重量はバラストを積んで走っていたテスト時と同じであり、ウエイトの増加分を実質的に減らすことができた」と明かしている。
「(GTEクラスの)BoPは非常に多くのアングルから各車の性能が考慮されているため、調整値の変動は毎回とても興味深い。今回、我々のマシンは実数値で10kgの重量増となるが、(テストの結果を見れば)むしろウエイトを減らされているほうが理解しやすいだろう」
フィーハンの証言とおりであれば、2台のコルベットとクラス最多タイの4台体制で参戦するポルシェはテストデーと同じ条件で本戦を迎えることとなる。
また、彼はコルベットの記録したパーソナルベストは80km/h規制となるスローゾーン区間を含んでいることを合わせて報告しており、これが事実であれば、ポルシェとコルベットのタイムギャップは1.6秒よりも小さい可能性がありそうだ。
ただし、フィーハンは走行初日となる13日(水)にコルベットが最速になるかと問われれば「それはまったく期待できない」という。
「コルベットがタイムチャートの一番上に居ないことは明らかだ。ポルシェとフォードの2台が最速とみて間違いない。ただし、我々は自分たちの立ち位置を把握しているし、そのなかでいかに最善を尽くせるかを理解している」
「ラップあたり1秒のギャップであれば彼らと勝負することできる。ただし1秒を超えるとなると難しくなるだろうね。そうした場合にはBoPのさらなる評価が行われることを期待しているよ」
「技術的な観点から考えれば、遅いクルマのラップを向上させるよりも、飛び抜けている2台のクルマを遅くするほうが簡単なはずだ。しかし、我々にはその決定権がないんだ」
■アストンマーチンはブーストの増加による性能向上に自信
アストンマーチン・レーシング(AMR)は、新世代のバンテージAMRに適用されたBoPの変更がテストデーでの大幅な遅れを解消するのに役立つだろうと考えている。
2台の新型マシンを投入するAMRはテスト時に苦戦を強いられ、トップのポルシェからは実に5秒以上のギャップが発生。この結果を受けて最新BoPではターボの最大過給圧が引き上げられている。
AMRのテクニカルディレクターを務めるダン・セイヤーズは、Sportscar365に対し「追加のブースト圧は3%のエンジンパワー増大に相当する」と語った。
また、バンテージAMRには燃料消費の増加に伴う燃料タンクの容量拡大が認められて、最大搭載量がクラス最大の105Lに変更されている。
「(BoPの変更は)確かに効果があるだろう」とセイヤーズ。「それが十分であるかどうかはまだ分からないが、最新のBoPが我々をトップグループにより近づけると信じている。しかし、変更された数値はチームが要求したほどではないのも事実だよ」
「予選では、3分49秒台に入ることを期待している。トップ10入りに入れればそれはとても印象的なことに感じるはずだ。それくらい激しい戦いになるだろう」
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