50歳ベン・キーティングの執念。3年越しのル・マン制覇で“幻の勝利”の正当性を主張
2022年シーズンのWEC世界耐久選手権LMGTEアマクラスで33号車アストンマーティン・バンテージAMR(TFスポーツ)をドライブしてベン・キーティングは、レース後の技術的な違反により2019年に初優勝を逃した後、今年のル・マン24時間レースで優勝したことで「少し正当性を示すことができた」と感じていると語った。
現在50歳のジェントルマンドライバーは、エンリケ・チャベスとアストンマーティン・ワークスドライバーのマルコ・ソーレンセンとともに33号車アストンマーティンのステアリングを握り、TFスポーツが過去3年間で2回目のGTEアマクラス優勝を果たすのに貢献した。
キーティング自身は2019年に、ライリーが運営するキーティング・モータースポーツの85号車フォードGTでGTEアマ“優勝”を果たしたものの、レース後の車検で燃料に関するレギュレーション違反が発覚。それによりレース結果から除外されクラス優勝は幻となっている。
「僕にとって(今回の勝利が)意味することは、これでル・マンを2度制したということだ」と彼はSportscar365に語った。
「しかし、過去のことが変わらないとすれば(3年後しの優勝で)多少でも当時の正当性が証明されたようでうれしく思う。——結果が確定するとして——レコードブックに載るのはいいことだ」
「1回目については、レースに参加した誰もが、誰が勝ったのかを知っている。今でさえ公式記録として残ることを期待している! それだけ特別なことなんだ」
■23台中19番手からの逆転勝利
TFスポーツのアストンマーティンは、23台がエントリーしたLMGTEアマクラスのほぼ最後尾からのスタートとなり、スローパンクチャーの疑いによるピットストップもあったが徐々に順位を上げていった。
「僕たちは19番手からレースをスタートした。すべてのポルシェが僕たちのクルマよりも1周あたり約2秒速かった。だから、レースが始まったとき、僕たちにチャンスはないと思っていた。トップ6がポルシェに独占されると思っていたんだ」とキーティング。
「文字どおり、ペナルティもミスもオフロード走行もゼロだったのは、このル・マンだけかもしれない。誰もが自分の仕事をやり遂げた。パンクチャーもなく、トラブルもなかった」
「アストンとポルシェの大きな違いは、ブレーキ交換が必要なかったことだ。レース終盤は、確かにロングペダルになっていたけどね」
■セーフティカー導入がTFスポーツの勝利を後押し
また、キーティングは19時間目に唯一導入されたセーフティカーが、ライバルに1周近い差をつける重要な瞬間だったと述べた。
「僕たちにとってセーフティカーが入ったことは本当にラッキーだった」
「我々はセカンドスティントで、マルコ(・ソーレンセン)がタイヤに違和感を覚えたため早めにピットインし、他のクルマのルーティンサイクルから外れた」
「そのため、僕たちはひと晩中クラス首位から4番手、首位から4番手を行ったり来たりしていた。それがセーフティカーによって幸運がもたらされた理由だ」
「ライバルたちは皆、セーフティカーが出る直前にピットインした。僕たちは彼らが(ピットロードに)閉じ込められている間に通り過ぎ、もう少しでラップダウンにするところだった」
「それはレースの結末を変える大きな違いだった」
キーティングとソーレンセンは、獲得ポイントが通常の6時間レースの2倍となるラウンドを制したことでGTEアマドライバー選手権で暫定トップに立った。
ル・マンでの勝利についての感想を尋ねられたとき、彼はブロンズランクのジェントルマンドライバーとして、それは「かなり特別」だと答えた。
「50歳の男が世界最大のスポーツカーレースに出場して競争ができるなんて、今でもとんでもないと思っているんだ」とキーティング。
「プロアマクラスには本当に感謝している。ここには信じられないほど優秀なドライバーがたくさんいるが、僕らがここに来てこのレベルで戦えるというのは、ほとんど現実離れしたことだからね」
「同じマシンとチームで、昨年は2位だった。そこからさらにもう一歩先というのは、とても特別なことなんだ」
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