F1 Topic:ホンダ、スペック3のパワーユニットは航空エンジン研究開発部門の技術を応用
ホンダがF1第8戦フランスGPを直前に控えた6月19日、フランスGPに『スペック3』のパワーユニット(PU)を投入することを発表した。
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターによれば、「今回はパフォーマンスの向上を図るためにICE(エンジン)とターボのアップデートを行っています」と言い、こう続ける。
「現在、F1のPU開発においては、更なる競争力向上を目指し、ホンダのさまざまな開発部門との間で連携を深める事を進めています。特にレース部門との技術的な共通点が多く見られる、航空エンジン研究開発部門との関係を強化し、昨シーズン途中に行ったMGU-H(熱エネルギー回生システム)のアップデート時には、同部門の支援をも とにした技術を適用、信頼性を大幅に向上させました」
ホンダは昨年、F1のパワーユニット開発をレース部門のエンジニアだけでなく、研究所のほかの部署のスタッフとも連携して行なっていた。その中には航空エンジン研究開発部門、つまりホンダ・ジェットの開発に携わっていたスタッフもいた。
「シーズンの途中で、研究所のスペシャリストを集めて、開発の方向性についていろんな議論を交わしました。その結果、開発が加速度的にスピードアップしました」(山本雅史マネージングディレクター)
もうひとつ、今回のスペック3はターボーチャージャーもアップデートされている。
「今回のターボーチャージャーのアップデートでは、これまでIHIと取り組んできたターボにおける空力設計の分野でも、航空エンジン開発部門が有する知見と技術を反映しています」(田辺TD)
ホンダは昨年の11月に、IHI(旧石川島播磨重工業)と2年間のテクニカルパートナーシップ契約を締結したことを発表した。ただし、ホンダは2015年の復帰参戦時からIHIよりターボの供給を受けているほか、1980年代の第2期F1活動時で多くの栄光をつかんだときに使用していたターボもIHI製で、両社は以前から密接な関係を築いている。
あえてこのタイミングで発表したのは、「ホンダF1のターボがIHI製であることを公表することで、F1が技術的に非常にレベルの高い世界であることを、IHIスタッフの方がホンダとともに共有し、かつIHIのスタッフの士気を高めることになるから」と山本マネージングディレクターは説明していた。
田辺TDは「今回のアップデートではまだ上位のPUマニュファクチャラーに追いつくだけのパフォーマンスレベルには至っていないと考えています」と、依然としてフェラーリやメルセデスといったトップ2に追いつくところまで至っていない模様だが、ホンダのPU開発がこれまでになく加速度をあげていることをうかがわせる。
今回のスペック3投入で、第14戦イタリアGPでのスペック4投入は現実味を帯び、フェラーリ、メルセデスとのギャッブも大幅に縮まるものと考えられる。
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