サッシャ・フェネストラズがSF初優勝。ポールスタートの野尻智紀はジンクス破れず3位【第5戦SUGO決勝レポート】
2022年の全日本スーパーフォーミュラ選手権の第5戦決勝(53周/最大延長時間70分)が6月19日に宮城県のスポーツランドSUGOで行われ、2番グリッドスタートのサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)がスタートで野尻智紀(TEAM MUGEN)をかわしトップに浮上。序盤にセーフティカー(SC)が連続して導入されたため、70分の時間レースとなった第5戦を制し、参戦3年目のフェネストラズがスーパーフォーミュラ初勝利を飾った。
朝からうだるような暑さが続いたスポーツランドSUGO。各車がグリッドに着くころ、一瞬大粒の雨が降り路面を濡らしたが、再び顔を出した太陽がすっかりと乾かし、気温30度、路面温度43度のドライコンディションでレースはスタートを迎えた。
スタートダッシュを決めたのは2番グリッドスタートのフェネストラズ。ポールスタートの野尻も1コーナーに入るところでプレッシャーをかけるが、先頭に出たのはフェネストラズだった。さらに、1コーナーで大津弘樹(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)の2台をアウトからかわした大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)が3番手にポジションを上げる。
中団では、7番手スタートの山下健太(KONDO RACING)と11番手スタートの山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)が1コーナーで接触し、山下がスピン。2コーナーのイン側にストップしてしまう。これによりレースはオープニングラップからSCが導入されることとなった。
この時点で上位陣はフェネストラズ、野尻、大湯、大津、宮田というオーダーに。レースは7周を終えるところでSCが隊列を離れリスタートが切られるが、今度は8番手の牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)をかわそうとストレートでアウト側に並びかけた9番手の松下信治(B-Max Racing Team)が、ブレーキトラブルでバランスを乱し1コーナーでクラッシュ。これで2回目のSCが導入されることになった。
この2回目のSC先導中にレースはピットウインドウが開く10周目を迎え、フェネストラズから大津までの上位4台がピットロードへと舵を切るが、5番手につけていた宮田を筆頭に牧野、平川亮(carenex TEAM IMPUL)、ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)、関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)、小林可夢偉(KCMG)、三宅淳詞(TEAM GOH)がステイアウト。そしてピット作業で大湯が野尻をかわし、タイヤ交換組の中で2番手に浮上した。
15周目を迎えるところで、レースは2度目のリスタートが切られた。ここからは、先頭でクリーンエアのなかでプッシュする宮田が、暫定8番手にいるタイヤ交換組のトップ、フェネストラズに対しピット作業分のマージンを築けるかに注目が集まった。17周目には9秒、18周目には10秒、19周目には11秒と、宮田は順調にフェネストラズとの差を広げていく。フェネストラズの後方では大湯と野尻のバトルも白熱。お互いにオーバーテイクシステム(OTS)を使いながらの接近戦が続くが、野尻はなかなか決定的なチャンスを作れずに周回数が進んでいった。
宮田とフェネストラズの差は、29周を迎えたところで20秒に到達するが、ピットロードの長さとピット作業時間を考慮すると、宮田としては安全マージンといえる36秒までギャップを築きたいところ。フェネストラズはまだタイヤ交換を終えていない7番手三宅、6番手可夢偉らのペースにつかまってしまい、思うようにラップタイムを上げられない。その間に宮田はフェネストラズとの差をさらに広げていった。
しかし、トップの宮田が37周目を走行中、残りレース時間15分を示す表示があらわれる。序盤にSCランが続いたことで、53周を走破するよりも早く最大レース時間の70分に到達してしまうことになったためだ。
ここまでタイヤ交換作業を引っ張っていた上位7台は、続々とピットイン。宮田、牧野に続き、3番手を走行していた平川は39周を終えるところでピット作業を行い、暫定14番手でコース復帰。宮田は46周までトップに残り、最後にタイヤ交換へと向かったが、右リヤタイヤの交換に手間取り、牧野の逆転を許し暫定6番手となってしまった。
これで47周目、ついにトップに返り咲いたフェネストラズは、49周目のチェッカーを受け念願のスーパーフォーミュラ初勝利を決めた。2位には野尻の猛追をしのぎ切った大湯が入り、今シーズンのベストリザルトを記録。野尻は今季2勝目には届かなかったが、3位表彰台を獲得した。
4位には、終盤のピット作業でフレッシュタイヤを武器にチームメイトの大津をかわした牧野が、野尻に対し0.1秒磨まで詰め寄ってフィニッシュ。途中までスーパーフォーミュラ初勝利が見えていた宮田は最終的に6位フィニッシュとなった。
その後ろに続いたのは平川。16番手と後方グリッドながら、スタートダッシュでポジションアップした後、終盤にはフレッシュタイヤで怒涛のオーバーテイクショーを披露し、7位フィニッシュでポイント獲得を果たした。この結果、ランキングトップの野尻と2位の平川との差は17ポイントに。今シーズン4人目のウィナーとなったフェネストラズがランキング3位に急浮上した。
次戦となる第7戦は7月16〜17日に静岡県の富士スピードウェイで開催される。2022年シーズンも後半戦に突入し、21台の戦いはより熾烈を極めることになりそうだ。
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