トロロッソ・ホンダF1密着:初日から速さを見せるも、2戦連続のPUトラブルが不安要素に
10年ぶりにフランスGPが復活した。1991年から18年間行われたマニ-クールで開催されたフランスGPでは、ホンダは優勝することができなかった。
しかし、今回フランスGP復活の地として選ばれたポール・リカールでは強かった。86年と87年にナイジェル・マンセルがウイリアムズ・ホンダで2勝し、88年から2年間はアラン・プロストが2回優勝。86年から4連勝していた。
だが、ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターにとっては、ポール・リカールはあまりいい思い出がないらしい。
「夜遅くまでサーキットで仕事をしていたら、ゲートが閉まっていて、出口を求めてサーキット内をホンダのレンタカーが何台も連なって探し回っていたことがありました」(田辺)
じつは田辺TDがゲルハルト・ベルガーのレースエンジニアとなってF1を戦い始めた90年以降、フランスGPでホンダは勝利していない。そういう意味では、ポール・リカールで開催される28年ぶりのフランスGPは、リベンジする良い機会だった。
しかし、フランスGPは初日からつまずいた。
まずフリー走行1回目を開始してすぐ、2人ともパワーユニットに違和感を覚え、状況を無線で訴えてきた。
「PUのデータの設定に適切じゃなかったので変えました」(田辺)
これで本来のスピードを取り戻したトロロッソ・ホンダの2人だが、今度はガレージ内の電源に問題が発生し、すべてのテレメトリーとタイミングモニターの情報、そして無線の機能も失ってしまった。
セッション開始から40分になろうとしていたタイミングだったが、チームはドライバーと無線でコミュニケーションが取れなかったため、幸いブレンドン・ハートレーはピットインしてきたが、ピエール・ガスリーはタイム計測に集中していたため、走行を継続。最初のセッションの序盤40分で使用したタイヤのうち1セットは返却しなければならないというレギュレーションに違反してしまった。
フリー走行2回目では、今度はハートレーのパワーユニットに別の問題が発生した。
「ドライバーが無線で異常を知らせてきたのと同時に突然、データ上でも異常が確認されたので、クルマを止めるように指示した」(田辺)というハートレーのマシンは、すぐにコース脇に止まったものの、排気管から炎が上がっていた。
「機械的に破損が認められたため、残念ながらPUをすべて交換します」(田辺)
カナダGPに続いて、2戦連続のトラブルに田辺TDの表情は厳しかった。
アクシデントやトラブルに見舞われた初日のトロロッソ・ホンダ。それでも、ガスリーは2回のフリー走行ともトップ10内に入るスピードを披露。2日目以降はトラブルフリーを期待したい。
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