GS敗退危機のアルゼンチン、現地紙が不振に陥った5つの真因を列挙
サッカーキング2018年6月23日(土)11時3分
アルゼンチン代表 [写真]=Getty Images
21日に行われた2018 FIFAワールドカップ ロシアのグループステージ第2節で、アルゼンチン代表はクロアチア代表に0-3と完敗。開幕から2試合を終えて1分け1敗となり、自力での決勝トーナメント進出の可能性がなくなった。
世界屈指の攻撃陣を擁しながら、なぜこれほどまでに苦しんでいるのか。アルゼンチン紙『オレ』は「崖っぷちに立たされた5つの理由」という記事を掲載し、同代表の不振の根本的な原因を列挙している。
■協会の迷走
『オレ』がまず挙げたのは、アルゼンチンサッカー協会(AFA)の迷走ぶりだった。2014年7月に、約35年の長期政権を担っていたフリオ・グロンドーナ元会長が死去。重要な決定事項を独断で決めてしまうその独裁ぶりは常に批判の対象となってきたが、絶対的な“ボス”がいなくなったことで、協会内部で権力争いや不正が頻発した。同氏の死から1年後に行われた会長選では、総票数が「75」にも関わらず、候補者2人の得票数が「38」で並ぶという異例の事態に。当然、選挙はやり直されることが決まったが、AFAは国際サッカー連盟(FIFA)による正常化委員会の管理下に置かれることとなった。そして昨年3月に、クラウディオ・タピア氏の新会長就任が決定。それでも、体制の立て直しはおろか、スポーツ面においても方向性が定まらず、名ばかりの協会を前にして選手たちはプレーに集中できる環境を失ったという。
■監督選びの失敗
同紙はまた、チームの“ボス”となる監督の選考においても失敗を犯したと指摘している。アルゼンチン代表は、2016年夏からの2年間で3人の監督がチームを率いている。かつてバルセロナの指揮官を務めたヘラルド・マルティーノ氏が16年7月に代表監督を辞任すると、後任としてエドガルド・バウサ氏が就任。しかし、南米予選8試合で3勝と成績が振るわず、わずか8カ月で解任された。タピア新会長をはじめとする協会の新たな幹部たちが、“正常化委員会が選んだ指揮官”を良く思っていなかったことも、解任の理由だったと伝えられている。ただし、彼らが選んだホルヘ・サンパオリ現監督にしても、セビージャから引き抜くために約2億円の違約金の支払いが発生。その成果は、辛うじて手にしたロシアW杯出場権と、グループステージ敗退の危機という受け入れがたい現実である。
■育成年代も混乱
協会の混乱は、A代表だけではなく、各年代別代表にも悪影響を及ぼしているという。“お家騒動”によって、2016年のリオデジャネイロ五輪は参加すら危ぶまれ、U-20代表から内部昇格を果たした臨時監督と、クラブから招集を拒否された主力に代わって緊急招集された選手たちで構成されたチームは、グループステージであえなく敗退。その後、協会を運営していた正常化委員会は、各年代のユース代表監督の選考に手間取ったすえ、クラウディオ・ウベダ氏をU-20代表監督に任命した。だが、同氏はもともと候補リストにも入っていなかったというオチ付きだった。結局、昨夏に行われたFIFA U-20ワールドカップ韓国2017でも、アルゼンチン代表はグループステージで敗退。将来有望な若い選手たちはAFAの迷走の“犠牲者”となっており、育成プロセスが再び正常に機能するまでには、かなりの時間を要すると伝えられている。
■“メッシ”というジレンマ
「メッシは代表で浮いている」、「代表チームはメッシの能力を生かし切れていない」、「世界最高の選手が輝く環境が整えられていない」。近年のアルゼンチン代表には、こうしたフレーズがついて回ってきた。それはチームを率いるすべての監督にとっての悩みでもあった。その上で『オレ』は、今大会は特に、10番をつける不動のエースが敵の格好の餌食になっていると指摘する。また、メッシに対するチームメイトたちの気遣いが度を過ぎているために、「彼らの良さまで失われている」と分析する。メッシ自身もここまでは孤立し、存在感が希薄になっている。期待されたリーダーシップを発揮することもできていない状況だ。
■“3年連続のファイナル敗北”という亡霊
『オレ』が最後に挙げたのは、メンタル面についてだ。アルゼンチン代表は、2014 FIFAワールドカップブラジルの決勝戦でドイツに敗れて、準優勝に終わった。すると、コパ・アメリカ2015とコパ・アメリカ・センテナリオ USA 2016でも、決勝で敗戦。3年連続のファイナル敗北という屈辱を味わった。選手たちはその苦い思い出を今も払拭できず、プレッシャーに打ち勝つ方法を探し当てられていないという。国際大会になると、「また失敗するのでは?」という恐怖に襲われ、誰もが不安になる。「間違いなく、この悪循環から抜け出すのは難しい」と同紙は記事を結んでいる。
(記事/Footmedia)
世界屈指の攻撃陣を擁しながら、なぜこれほどまでに苦しんでいるのか。アルゼンチン紙『オレ』は「崖っぷちに立たされた5つの理由」という記事を掲載し、同代表の不振の根本的な原因を列挙している。
■協会の迷走
『オレ』がまず挙げたのは、アルゼンチンサッカー協会(AFA)の迷走ぶりだった。2014年7月に、約35年の長期政権を担っていたフリオ・グロンドーナ元会長が死去。重要な決定事項を独断で決めてしまうその独裁ぶりは常に批判の対象となってきたが、絶対的な“ボス”がいなくなったことで、協会内部で権力争いや不正が頻発した。同氏の死から1年後に行われた会長選では、総票数が「75」にも関わらず、候補者2人の得票数が「38」で並ぶという異例の事態に。当然、選挙はやり直されることが決まったが、AFAは国際サッカー連盟(FIFA)による正常化委員会の管理下に置かれることとなった。そして昨年3月に、クラウディオ・タピア氏の新会長就任が決定。それでも、体制の立て直しはおろか、スポーツ面においても方向性が定まらず、名ばかりの協会を前にして選手たちはプレーに集中できる環境を失ったという。
■監督選びの失敗
同紙はまた、チームの“ボス”となる監督の選考においても失敗を犯したと指摘している。アルゼンチン代表は、2016年夏からの2年間で3人の監督がチームを率いている。かつてバルセロナの指揮官を務めたヘラルド・マルティーノ氏が16年7月に代表監督を辞任すると、後任としてエドガルド・バウサ氏が就任。しかし、南米予選8試合で3勝と成績が振るわず、わずか8カ月で解任された。タピア新会長をはじめとする協会の新たな幹部たちが、“正常化委員会が選んだ指揮官”を良く思っていなかったことも、解任の理由だったと伝えられている。ただし、彼らが選んだホルヘ・サンパオリ現監督にしても、セビージャから引き抜くために約2億円の違約金の支払いが発生。その成果は、辛うじて手にしたロシアW杯出場権と、グループステージ敗退の危機という受け入れがたい現実である。
■育成年代も混乱
協会の混乱は、A代表だけではなく、各年代別代表にも悪影響を及ぼしているという。“お家騒動”によって、2016年のリオデジャネイロ五輪は参加すら危ぶまれ、U-20代表から内部昇格を果たした臨時監督と、クラブから招集を拒否された主力に代わって緊急招集された選手たちで構成されたチームは、グループステージであえなく敗退。その後、協会を運営していた正常化委員会は、各年代のユース代表監督の選考に手間取ったすえ、クラウディオ・ウベダ氏をU-20代表監督に任命した。だが、同氏はもともと候補リストにも入っていなかったというオチ付きだった。結局、昨夏に行われたFIFA U-20ワールドカップ韓国2017でも、アルゼンチン代表はグループステージで敗退。将来有望な若い選手たちはAFAの迷走の“犠牲者”となっており、育成プロセスが再び正常に機能するまでには、かなりの時間を要すると伝えられている。
■“メッシ”というジレンマ
「メッシは代表で浮いている」、「代表チームはメッシの能力を生かし切れていない」、「世界最高の選手が輝く環境が整えられていない」。近年のアルゼンチン代表には、こうしたフレーズがついて回ってきた。それはチームを率いるすべての監督にとっての悩みでもあった。その上で『オレ』は、今大会は特に、10番をつける不動のエースが敵の格好の餌食になっていると指摘する。また、メッシに対するチームメイトたちの気遣いが度を過ぎているために、「彼らの良さまで失われている」と分析する。メッシ自身もここまでは孤立し、存在感が希薄になっている。期待されたリーダーシップを発揮することもできていない状況だ。
■“3年連続のファイナル敗北”という亡霊
『オレ』が最後に挙げたのは、メンタル面についてだ。アルゼンチン代表は、2014 FIFAワールドカップブラジルの決勝戦でドイツに敗れて、準優勝に終わった。すると、コパ・アメリカ2015とコパ・アメリカ・センテナリオ USA 2016でも、決勝で敗戦。3年連続のファイナル敗北という屈辱を味わった。選手たちはその苦い思い出を今も払拭できず、プレッシャーに打ち勝つ方法を探し当てられていないという。国際大会になると、「また失敗するのでは?」という恐怖に襲われ、誰もが不安になる。「間違いなく、この悪循環から抜け出すのは難しい」と同紙は記事を結んでいる。
(記事/Footmedia)
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