ホンダF1田辺TD予選後会見:ガスリーのPUデータ異常はMGU-Kに問題「個体独自の事象で他車に影響なし」
2021年F1第8戦シュタイアーマルクGPの予選で、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは初日フリー走行の好調を持続し、2番手バルテリ・ボッタス(メルセデス)にコンマ2秒近い大差をつけ、前戦に続くポールポジションを獲得した。単年度の2戦連続ポールポジション獲得は、ホンダにとっては1991年以来となる。
ほか3台もすべて予選Q3に進出。そんな状況をホンダF1田辺豊治テクニカルディレクターは、「今週末のクルマの仕上がり、ドライバーの気持ちの入り方もいい形できている」と総括。「4台完走、4台入賞」という目標が田辺テクニカルディレクターの口から出たのも久しぶりのことだった。
一方で初日、ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)車に出たパワーユニットトラブルに関しては、「詳細は調査中」としながらも、「あくまでこのMGU-Kの個体独自に出た事象で、ほかのコンポーネントにも、ほかの3台にも影響はない」という見解を示した。
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──予選では4台がトップ10に入りました。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):ここまでの2日間、ホンダパワーユニットを搭載する4台はいい形できていると思っています。予選でも(マックス・)フェルスタッペンが2戦連続のポールポジションを獲得してくれました。(セルジオ・)ペレスはQ1の出だしから少しうまくいかなくて、ペースが乱れて5番手。(ピエール・)ガスリーが4戦連続の6番手。角田裕毅も8番手に入ったのですが、残念ながら3グリッド降格ペナルティで11番手でした。
レースではいろいろなことが起きると思いますが、今週末のクルマの仕上がり、ドライバーの気持ちの入り方もいい形できています。4台完走、4台入賞で締めくくればと思います。レッドブルとしては、ホームサーキットでの初ポールポジションでもありました。そこもいい結果でした。
──予選結果は、マシンパッケージの実力がレース以上に直接的に反映するものだと思いますが、この結果をどう評価していますか?
田辺TD:予選もレースもチーム力が評価される場だと思いますが、そのなかでも予選はマシンとドライバーの能力が表れます。そこで2戦連続で、しかもまったく違うコース特性のサーキットでポールポジションが獲れたことは、いいパフォーマンスになってきたと感じます。
しかも、この短いコースで2番手以下にコンマ2秒の大差をつけました。ちょっと突出した形の予選結果が出せたかなと思います。レースペースにしても、フリー走行では4台ともにいい走りができています。それをレース本番に結びつけることができればと思っています。
──前戦のフランスGPと違い、比較的ダウンフォースをつけた仕様、しかも標高700mの高地で空気が薄いなかでのポールポジション獲得は、ポール・リカール以上にパワーユニットの性能によるところが大きいのではないですか?
田辺TD:いえ。いつもながらですが、マシンパッケージ全体のもたらした結果と考えています。
■初日に起こったガスリーのPUデータ異常はMGU-Kのみに問題
──初日のピエール・ガスリーのパワーユニットトラブルですが、3基目のMGU-Kを投入しました。不具合の出たMGU-Kはもはや使用不能なのか、まだ調査中なのでしょうか?
田辺TD:これから調査ですね。
──まったくダメになったわけではない?
田辺TD:初日の際も、最後まで機能はしていました。あくまでデータ異常が出たということです。それが何を意味するのか、詳細を調べて最終判断します。
──データに異常が見られたのはMGU-Kだけですか? ほかのコンポーネントには、トラブルの出るリスクはないのでしょうか?
田辺TD:はい。データ異常はMGU-Kに限られていて、ほかはいっさい問題ありません。さらに言えば、今回の問題はこの個体独自の事象でした。そこは確認できています。ですので、ほかの3台に影響はありません。
──製造上の問題だったのでしょうか? だとしたら、他車のパワーユニットにも問題が出る可能性があるのではないでしょうか?
田辺TD:ありません。といいますか、そのつもりで持ってきていますが、実際に何が起きたのか、どうやって作られたものなのかまで遡り、全部追いかけます。ただ仕様的に言いますとかなりの数をすでに使用していますし、開発部門でも十分確認しているので仕様的な問題ではありません。ほかの3台に波及しないと判断したのは、そういうことです。
──確認ですが、MGU-Kは昨年から変わっていないのですよね?
田辺TD:新骨格と呼ばれる今年のパワーユニットは、おもにICEに大きな改良を加えているわけですが、それに合わせる形でMGU-Kも性能、信頼性向上に対応するようにしています。なので昨年と同じかと言えば、違います。
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