ホンダ田辺TD初日インタビュー:アルボンの“ミスファイヤ”はすぐに調整。「深刻な問題ではなかったが、個体のわずかな誤差は今後の改善部分」
2019年シーズンここまで事故はもちろん、ほとんどミスを犯さずに来たマックス・フェルスタッペンが、初日フリー走行でクラッシュを喫した。マシンは大破し、パワーユニット(PU/エンジン)にもダメージを負っている恐れがある。
一方でピエール・ガスリーは総合3番手に付けた。それらの結果を踏まえ、ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは予選レースに向けて、どんな手応えを感じているのだろう。
──今日はレッドブルを含め、事故が相次ぎました。フェルスタッペンのクラッシュに関しては、パワーユニットへのダメージが心配でしょうか?
田辺豊治F1テクニカルディレクター(以下、田辺TD):それは確かに心配ですけど、心配の度合いが違います。
金曜用のパワーユニットですから。ただもし壊れていたら、この先のやり繰りが非常に難しくなりますけどね。
──目視した段階では、ダメージはそれほどでもない、ということですか?
田辺TD:いえ、少し行ってますね。あまりひどくはないんですが、じゃあどこで線引きをするのか。悩みどころです。これから研究所(栃木県の本田技術研究所HRD Sakura)に戻して、しっかり確認します。
──今日使ったのは、スペック3ですか?
田辺TD:いえ、金曜日はスペック2です。今、スペック3に載せ換えてます。(今回からスペック3を積んだ)アルボンは、初日からスペック3です。
──事故は頻繁に変わった風向きの影響を、受けたようですね。
田辺TD:ええ。風の影響をかなり受けたようですね。直線を走っていても、風向きの変化がわかると言っていました。通常は強い追い風を受けると、リヤのダウンフォースが抜けたりする。それが今日は、ストレートでも左右に揺さぶられると言ってました。われわれが高速道路で、風で挙動を乱すようなものですね。
──事故に遭ったとはいえ、ドライバーのコメントは先週のフランスに比べるとより前向きな印象です。手応えを感じると。田辺さんも、悪くない初日だったと思ってますか。
田辺TD:そうですね。
──フェルスタッペンはロングランを、ほとんどできてないですが。
田辺TD:大丈夫だと思いますよ。
──ガスリーは3番手とはいえ、トップからコンマ3秒落ち。このサーキットで、その差は大きいでしょうか。
田辺TD:ラップタイムが速いですからね。でも、じゃあ倍の距離、倍のラップタイムのサーキットで、コンマ6秒落ちかと言えば、そんなことないですよね。もっと離れている。そこをどう見るかですね。ただクラッシュした2台以外にも、いろんな理由で本来いるべきところにいない人たちがいる。
──ハミルトンやベッテルなどのドライバーですね。
田辺TD:ええ、あと風のタイミングですね。なので3番手だと喜んでる場合じゃないのは、わかっています。
──フェルスタッペンの公式コメントでは、クルマはいいフィーリングだと言ってますが、FP1最後の無線では「ストレートスピードがない。もう戻っていいか」みたいなことを言ってました。何かあったんでしょうか。
田辺TD:問題は全然なかったです。不平というか、状況説明ですね。「ストレートでロスしてる」と。しかし車体、パワーユニットに何か問題があったというよりは、ドライバーの印象ですね。もちろん、よくはないですが。
──スペック3を初めて積んだアルボンは、「ミスファイヤが出た」と言っていました。
田辺TD:深刻な問題ではなかったし、すぐに調整できたんですが、そこはわれわれがまだ足りない部分でもあるんですね。
──というと?
田辺TD:ベンチで問題ないとされた個体でも、実際に走らせるとわずかとはいえ微妙な誤差が出る。そこは今後、さらに向上させて行くべき部分ですね。
──ポール・リカールでの3基には、問題はなかったのでしょうか?
田辺TD:ええ。
──そうすると、コース特性にも因りますか?
田辺TD:その辺が掴めていれば(苦笑)。いろんな要素があると思うんですね。そこを、どう絞り込んで行くかですか。
──明日に向けては、いかがでしょうか?
田辺TD:マックスはロングランを明日、確認することになるでしょうね。それと同時に、予選で100%真価を発揮できるお膳立てをしようと思ってます。
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