【F1オーストリアGP予選の要点】Q2以降はトラックリミット違反なし。一発の速さで上位チームを凌ぐ速さを見せたノリス
今年のF1第10戦オーストリアGP予選は、トラックリミット違反によるタイム抹消が続出した。ターン6、9、10で計18人のドライバーが白線を超え、タイム抹消された周回は47周に及んだ。一度もトラックリミット違反を犯さなかったのは、シャルル・ルクレール(フェラーリ)とローガン・サージェント(ウイリアムズ)だけだった。
なかでも最大の被害者は、セルジオ・ペレス(レッドブル)だった。Q1はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に0.061秒差まで迫る2番手タイム。しかもこのセッションでは、一度も白線を超える違反は犯さなかった。ところがQ2に進むと、走りの歯車が微妙に狂っていく。
最初のアタックは1分05秒028で暫定トップ。しかしターン9ではみ出し、タイム抹消となる。2セット目のアタックも同じターン9でミスを犯し、3番手タイムが取り消された。これで最下位の15番手。担当エンジニアのヒュー・バードからは、「とにかくタイムを出すんだ」と、指示が飛ぶ。
するとペレスは最後のアタックで、フェルスタッペンに次ぐ暫定2番手となる1分04秒990を叩き出した。しかし今度はターン10ではみ出したとされ、タイム抹消。15番手に終わった。予選後のクリスチャン・ホーナー代表は、、「クルマは速いのだから、Q2であそこまで攻める必要はなかった」と、苛立ちも露わに語っていた。モナコからの3グランプリの予選でフェルスタッペンがポールポジションを独占したのに対し、ペレスは20番手、11番手、12番手と一度もQ3に進めていない。その焦りがあったのは確かだろう。
そんなペレスと対照的だったのが、ランド・ノリス(マクラーレン)だった。この予選でのノリスは、カルロス・サインツ(フェラーリ)と並んで最多の6周のタイム抹消を受けた。そのすべてがQ1セッションの、ターン10でのトラックリミット違反だった。しかしペレスとの違いは、まずは次に進むためのタイムを出していることだ。
これでノリスはQ1最後のアタックで、思う存分にプッシュ。2番手ペレスに1000分の2秒まで迫る素晴らしい走りだった。ターン10ではみ出したことで幻の3番手となったが、その直前に出したタイムで、問題なくQ2に進んでいる。
そしてQ2、Q3では一度もトラックリミット違反を犯すことなく、4番グリッドを獲得した。今回マクラーレンはノリス車だけに、アストンマーティンのサイドポッドにインスパイアされた大幅アップデートを投入。予選一発に限れば、メルセデスやアルピーヌを凌ぐ速さを披露した。
課題はレースペースだが、次のイギリスGPでさらなる改良が予定されている。今季ここまで5位以上の入賞がないノリスの巻き返しが、期待されるところだ。
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